春の芽生え
つきみゆづ(旧・ゆづっこ)
プロローグ・いつもの日常
ー白峰高校の学生寮の朝
角部屋に暮らしてる女の子ー
習慣で何となく目を覚ます
何となく顔を洗う。何となく髪を梳かす。
(今日はまだ暖かいから、縛らなくていいかな。)
そのままのセミロングで、制服に袖を通す。
朝食を食べに食堂へ向かう。
周りはワイワイと食事を楽しんでる…
今日は焼き魚定食…
ほどよく焼かれた鮭と食欲をそそる彩の筑前煮、ほかほかの温かいご飯に一息出来る豆腐のお味噌汁…付け合わせは食堂のおばちゃんのこだわりの漬物が添えられてる
(ここの食事は美味しいらしいけど…胃袋に入ればいいかな?)
食事が終わると部屋に戻り
今日の時間割りと昨日出た宿題等たくさん詰まった鞄を肩にかける。
髪が決まらないとか、お化粧のノリが悪いとか、そんなのは自分とは無縁。
(そんなもの、自分には必要がない。)
着れればいい。暑いか寒いかで決めればいい。
ーそれが、小高愛の朝の日常である。
ー都会から少し離れたアパートの朝
そこの3階角部屋に暮らす男性ー
目覚まし時計で目を覚ます。
床には雑誌とかコードやら紙袋やら…
(片付けなきゃな…)
と思いつつ帰ってくると余裕がなくなるから足の踏み場が確保できるぐらいにして放置する 。
顔を洗い、髭を剃る…シャツとネクタイとスラックスを着て寝癖を整える。
鏡に写ったのは無難に社会人として生きてる男。
朝食はパンとコーヒー…それだけじゃあれかと卵を出し、目玉焼きをこしらえる。
少し半熟がいいな…慣れた手つきで卵を割り入れてセット。パンもほどよい加減になるようにする
コーヒーはインスタントだがりょうにとっては癒しの一時…コーヒーの匂いはりょうの朝を少しだけ明るくさせた。
朝のニュースを確認しつつ出来上がった朝食を食べる。
ニュースのお天気お姉さんがニコニコしながら天気の解説をしてる
「笑顔って本当に大事だよな…笑ってなきゃな…そうでもしないときっと…」
コーヒーでパンを流す。
食べ終えると歯磨き。
鏡で最終チェック…自然に笑えてる。
(俺はこれでいい…愛想を振り撒けてれば。)
ジャケットを着て仕事の鞄を持ち、玄関を出ると
そこには
人当たりはいいが
どこか飄々としてる普通のサラリーマン…
ーこれが笹原りょうの日常
愛は春風に吹かれながら教室へ歩く。
りょうは電車の窓から見慣れた景色をぼんやりと見て、思う。
「このまま…どこに向かうのかな?」
——これは、愛を知らない女の子と、愛に逃げられた男のお話。
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