第2話

「なんだよ、ボクたちの国じゃん。


 キミは徳川共和国を知らないの?」


「はぁ~っ?」


 セリーヌは目を剝き、地図を凝視。


徳川共和国の地図は日本地図っぽい。


「ていうかさ……、


さすがにこの地図、ジョークでしょ?


なんで本州の東半分しかないのよ」


「本州ってなあに? 東半分?


 京の都より西は、薩摩諸藩連合UHS。


 隣の国だよ」


「北海道もないじゃないの」


「えっ? 北海道ってなあに?」


セリーヌは地図を指さしてトントンと叩く。


「ここよ、ここ」


「そこは、ロシア連邦のエゾ州だよ。


 僕たちの国じゃないんだ」


「はあぁ~? マジ~?」


セリーヌ、頭を抱える。


「それにさ、


ここに東京って書いてないんだけど!」


「トーキョー? なにそれ」


「ここよ、ここっ!」


セリーヌ、地図を連打。


「そこは江戸市っていうんだよ。


ちゃんとここに書いてあるじゃん。


今、ボク達がいるところ」


「うっそぉ〜〜〜〜〜!!!」


セリーヌは両手で


頭を掻きむしりながら


窓に向かって大きなため息。


「ああー、頭が変になりそう」


ココが言う。


((パラレルワールドに


迷い込んだのかもね))

 

翔太、スマホを取り出す。


ビデオ通話をワンタップ。


「おじさん、こんばんは」


「やあ、翔太、こんばんは。


 どうかしたの?」


「あのね、100年後から


 ボクのひ孫とかいう女の子が来てね。


 変なことばかり言うんだよ」


一郎は驚いた表情になったが


柔軟な考えの持ち主なので


すぐに真顔に戻った。


「今、紹介するね」


そう言って翔太はスマホを彼女に渡した。


セリーヌがぺこり。


「初めまして。


 翔太くんのひ孫で、セリーヌといいます。


 100年後からタイムマシンで来ました」


「こちらこそ初めまして。


 翔太の父親の兄で唯野一郎といいます」


 横から翔太が口を出した。


「おじさんはね、凄いエスパーなんだよ」


「へえ~、どんな超能力があるんですか?」


「テレキネーシス、つまり念力だね」


 セリーヌは一郎を凝視。一郎は照れ笑い。


「それで、翔太の言う変なことって?」


「日本が三つに分かれているって言うんです。


徳川共和国と薩摩なんとか。


それに、北はロシア連邦のエゾ州、


なんていうんですよ」


「うん、その通りだよ」


「えっ? ホントに?」


「ああ、本当だ」


「え~~~。そんなぁ~~~」


              つづく

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