沖縄旅行ダイジェスト(3、4、5、6、7日目)





大人しくケージに入ったと思いきや、突然


「ニャァンニャァーン!? ニャァァァァ…………アォォォォ! アォォォォ! アォォォーン!?」


未来から来た預言にゃが暴れている。


「こいつ、ぜんぜん未来見えてないんじゃね?」


冷たい目でユウリがつぶやいた。





◇◆◇◆◇◆◇





ヴィラに戻ってすぐ、俺は両親に打ち明けた。


「あの……旅行来たこのタイミングで、言うのもなんなんだけど……」


「おお、どうした? 悩みごとか?」


「猫、飼いたいんだけど……」


「猫?」


リビングの扉を開けると、すき間から入ってきたエラクルがテーブルに飛び乗る。


「あら? 野良猫? ……にしては綺麗すぎない?」


母の言葉を聞き、得意げに目をつぶる猫。


ふわふわの尻尾を下に垂らし、ペコリと頭を下げて言う。


わたしは『エラクル』。未来から遣わされた預言者――『エラクル』よ」


「「あ……」」


目をそらし、口をつぐむ両親。


気まずい沈黙。


“しゃべる猫”が目の前にいるという、疑問や驚きは一切ない。


猫は鋭く言い放つ。


「あなたたち――どうしてネタバレしたの? 救世主のこと?」


「いや……それは……なぁ?」と父。


「ちょっとその……流れっていうか……」と母。


両親とエラクルのやりとりを見て、両者は知り合い、あるいは上司部下の関係であると俺は感じた。


(おお、知り合いか!)

(これでたぶん「飼える」だろ!)

(いや……「飼う」ってゆーか、「お迎え」とか「同居」って言ったほうがいいのか?)


ともかくエラクルを家に置くことを了承した両親は、すぐ近栄こんえいさんに連絡をとる。


「ええ――そうなんです。ですからすぐに手配をお願いできますか? はい、はい、ええ――まぁ……見た感じは『どこかから逃げてきた風』ですね……」


「逃げてきたわけじゃないわ」


「え? あぁ……そうですね。もし飼い主が見つかった場合は諦めます。え、チェックアウトまでに? はは、それは別にかまいませんよ。では――よろしくお願いします」


父がスマホを置くと、再びエラクルが口をはさむ。


「だれにも飼われてないわ」


近栄こんえいさんが言うには、野良猫(?)を保護する場合いくつか手順を踏む必要があるらしく、今すぐにそれを進めたほうがよいとのことだった。


――――――――

・迷子猫の確認(警察、専用サイト、SNS)

・動物病院での検査(必要であれば病気の治療や手術、ワクチン摂取など)

・警察への届け出(マイクロチップなしの場合)

――――――――


そのことを伝えると、エラクルは顔をしかめる。


「もちろん知ってる」


「なんか原始的なシステムでごめんな……」


「注射は痛いけど――『必要な過去』だもの」


すぐヴィラに届けられる新品ケージ。


タオルを詰め込むと、エラクルは大人しく中に入って丸くなった。


「しばらく眠るわ。次会うのはチェックアウトの前よ」


「おお……未来予知すげー……」


ユウリがエラクルに向かって指を伸ばす。


しぶしぶ鼻チュ。


「ユウリ、あなたと馴れ合うつもりはないわ」


「そりゃどーも」


ケージの扉をそっと閉めると、ユウリは指で「印」のようなものを結んだ。



――「猫言葉キャッ・トーク



エラクルの首に現れる光の輪。


それは一瞬で縮み、首輪のようになって消えた。


みたところ身体に変化はない。


「なんの魔法だよ?」俺はたずねる。


「うるせーやつを、かわいくしちゃう魔法?」


「なんだそりゃ?」


耳をぴくりと動かし、猫が顔を上げる。


文句でも言いたそうな目でユウリをにらみつける。


「ニャオン」


猫が、猫のように鳴く。。


「ニャ……ニャ……オン?……」


エラクルは散々暴れた後、無事に動物病院へと搬送された。





◇◆◇◆◇◆◇





目が覚めると、沖縄旅行はまだ3日目だった。


(まじか……)

(八話も使ったのに……)

(今日含めてあと5日も残ってるのか……)


そこで俺は「ダイジェスト」という方法を使うことにした。




――3日目



俺の水着が一着しかないことを問題視したユウリとヤオ。朝から“いつメン”で水着を買いに行くことに。


行き先は――ジャコスモール西森イリムイ


シンプルな花柄バンドゥビキニ、チュールフリル付きの黒のオフショルビキニ、白いシアー素材のワンピース一体型水着、ギンガムチェックのドロストワンピース水着。


昼過ぎまでプールエリアで過ごし、夕方以降は各々の家族と過ごした。



――4日目



家族で美々海ちゅちゅうみ水族館へ。


近栄こんえいさんが用意してくれた船でクルージングしながら水族館へ行く途中、焼け焦げた小さな船を目撃。


船の揺れとあいまって吐き気をもよおす。


水族館の後は観光っぽい観光をして楽しんだよ。



――5日目



誰が言い出したのか、いつメン家族と全員で瓜之ウリヌ島のダイビングツアーへ。


先日買った水着を着ていったが、ウエットスーツを着脱する際、フリルや紐が邪魔すぎてムカつく。結局ダイビングショップにあった、フツーの黒ビキニを購入。


水着って服と違ってコーデしにくいから、結局セットで買うしかなくて一生増えてくんだろうな。


空からみた夜景が綺麗だった。



――6日目



なぜか朝からメンタル不調。


家族で森の奥にある滝へいくも、ほとんど何もできず、ずっと座って本を読んで過ごした。


女装しすぎて脳がバグってきているのか、とにかくやる気なし。


最終日はゆっくり過ごして、家に帰ったらさっさと男に戻ろう……。


爆食いした後、爆睡。



――7日目(最終日)



まじか……。


女の子の日レディース・デー」が始まった。


まさか、女になっても洗面台で自分の下着を洗うことになるとは……。


ベテラン女性陣のサポートにより心理的・物理的被害は最小限だったが、落ち込んだ気分は戻らない。


今まで考えもしなかったような、いろいろなな不安が一気に押し寄せてくる。


この身体のこと、将来のこと、友人関係、予言者が言った――「あなたは世界を救うの、主に少子化問題において」という言葉。


あれってつまり……「妊娠させまくる」か「妊娠しまくるか」って意味だよなぁ……?


(いやいやいやいや!!!!)

(前者はともかく後者はヤバいって!!!!)

(「童貞妊婦」とかイミフすぎるし、男脳は出産の痛みに耐えられないんでしょ!?!?)


ゔあ゙ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!


「ぴえ……つら……」


昼食には赤飯を食べた(まじだよ!?)





◇◆◇◆◇◆◇





Fフェムスコア:★★☆☆☆(30)【咲きかけ】


みため   :★★★★★(100)【△】こなれ感

のめり込み :★★☆☆☆(20)【△】満足感

ドキドキ  :★★☆☆☆(20)【▼】レディースデー

なじみ   :★☆☆☆☆(10)【△】レディースデー

拡張スロット1:(未解放)

拡張スロット2:(未解放)


――――――――


【パラメーター指標】

0〜20:好奇心(ノリ)

21〜50 :趣味(ハマりかけ)

51〜80 :自己表現(楽しみとして確立)

81〜100:陶酔・依存(生活の一部・やめられない)

100〜:日常(新しい生活のスタート)




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