第9話「冷めたプリン!?」

人生は

積み重ねただけ

本当の意味に近づける

 憂塚先生 著 AnyWay. より引用


「白瀬よ」

「なんでしょうか先生」

「カツ丼が食いたい」

「また食欲にモノを言うつもりですか」

「ハハ、食い意地があれば、ハングリー精神も、尊ばれる」

「まったく、そのように著名な言葉を乱用して」

「だが白瀬、言葉は万国共通、つまりな腹が減っては戦は出来ないんだ」

「なに危うげなこと言ってるですか」

「安心しろ白瀬、あくまで平和を守る戦争だ」

「何を突飛おしないことを言って、平和と言いつつ、さぼってますよね仕事?」

「ハハ、また何を言うか、人間とは本来おおらかな生き物だ、これは至って普通の情景だよ」

「ソファーの上で、漫画を読みながら、コーヒーを飲む、これのどこが、普通ですか」

「まて白瀬、考えてもみろ、私がここでのんびり出来る理由も、世界がめぐまれた環境下にあり、また誰もが最低限度の生活をできると言う、ここ日本の素晴らしさ、例えここで、あぐらを掻いても、金は出てくるんだ、水のようにな」

「なに、無職万歳発言してるんですか、働けると見込まれたら、その福祉制度も使えませんよ」

「なに、私はここまで立派な人間だ、人間国宝に認定してもらい、みなから支援金をもらってもいいだろ?な、白瀬」

「なに、訳のわからないことを言ってるんですか、人は生きて生きて生きる、これが大事です、怠けるだけに幸せは見出せないと思いますよ」

「何を言う毎日、漫画を読めたらそれで最高ではないか」

「楽あれば苦あり、何事もしわ寄せはあります、なのですべてを幸福にしたいなら、仕事にも意欲的に取り組んでください」

「ごもっともなことを言うね、白瀬よ、それは実に実用的な答えだ、しかし世のすべてが満場一致で褒めてはくれんだろ、幸せに仕事をしてる人は、たぶん少ないよ」

「なぜそんなことが言えるですか」

「社畜という言葉を口にする人がすべからず居るからさ」

「またまた、そんなSNSで見るような、言葉を拾ってきて、例え社畜でもですね、仕事上がりの一杯は最高だってつぶやいてますよ」

「確かに難があれば、それだけ自由時間は大きな癒しになる、しかし先ほど問題にあげた、仕事中を楽しく感じる、これには至ってないだろ」

「それでも社会で友人関係が生まれるのも仕事の強みではないですか」

「確かに働けば、人脈はおろか、恋人だって作れるかもしれない、しかし、どうだ、モテない男で人間関係すら破滅している人だっているだろ」

「先生はほんとに、すべての人に共通する会社勤めの希望をお探しなんですね」

「そうだ、私だって仕事が嫌だ、どうする明確な希望はあるか、なー白瀬」

「そうですね、ではこう思ってはどうでしょう、仕事は家族、みんなで生きよう、どうでしょう」

「仕事を家族だと、何を言う、そんなアットホームな職場、ありはしないだろ」

「でも先生、私と居てアットホームに暮らせてません?」

「そうだが、しかし、ま、いいか」

「ふふ、先生ってやっぱり、理由なんてどうでもいいんじゃないですか」

「どういうことだ?」

「つまりですね、何事も、誰かと居れば、何かが生まれる、それが不幸であっても、明日は幸せに感じるかもしれない、人間は案外、直感で感じる、そんな簡単なものだと思いますよ」

「そうか、そうか、なんとも、人間は、単純な生き物なのだな」

「はい、そうです、だから何気なく笑えたら、それで幸せです」

「では社畜には、気楽に構えろというべきか」

「ええ、それでいいでしょう、誰にとっても、すべてが嫌なわけはありません、代価もある分、楽しみだって膨らみます、だから大丈夫、一概、仕事は悪いとは言えませんよ」

「そうだな、わかった白瀬、では、君に言おう、」

「なんでしょう」

「家族になろう」

「え?」

「あ、いや、」

「それってつまり結婚ですか先生???」

「いや、前もって言っていたアットホームな職場にあやかって使った言葉だ、勘違いだ白瀬」

「でも顔真っ赤ですよね、」

「この表情は関係ない、仕事上のもつれだ、たく」

「へーそうなんですねー、ではもっと家族サービスしてあげまーす」

「何をする白瀬、待て待て」

「はい、デザートのプリンです」

「なんだ、ありがとう、高いものだろこれも」

「社畜には、褒美が無くては、いけませんから、とびきりサービスですよ」

「そうか、う、うまい、うまいぞ」

「先生、このままゴールインしますか?」

「なんだゴールインとは、サッカーか?」

「違います、結婚ですよ」

「そうか、それはそうだな、まだ君を養えるほど立派ではないからな、まだ男になり切れていない、だからまだ早計だな」

「なんですかーそれー、いいですよそれでも、早めに一緒になりましょ?」

「待て待て、考えてみろ、私は仕事に追われ、君を見るゆとりがない、それでは、結婚しても大事にできないだろ」

「先生って乙女、くすぐるちょっとしたハンサムですよね」

「なんだ、かっこいいと言ってくれたのか」

「いえ、違います、とびきり、イケてるって言ったんです」

「何が違うんだ、まったく、変わりないだろ」

「いいえ、ありますよイケてるって意味は、超えちゃってるって意味ですから」

「つまり、抱え切れない、ほど良いってことか」

「はい、そーでーす。」

「まったくそれならそれでいい、とにかくプリンありがとう、それと理想を超えても愛してろよ」

「何言ってるんですか、先生、キャキャ」

「勘違いするな、ドを越えた恋ほど危ういものはない、つまり愛していけるなら、気を強く持てという快苦だよ白瀬」

「へーそーですかー、ま、いいですよ、先生は私のものなんですから、誰にも超えさせません、私がとりますから、どんなに高くてもとりますから」

「まったく熱い女だ、そろそろプリンが冷めるぞ、食べたらどうだ」

「え、私にくれるんですか、」

「ま、ほめてくれたし、アットホームな職場を目指しているからな、ほら食え、冷えるぞ」

「冷えるって、ふふ、ま、先生ありがとうございます、今日も素敵な日になりそうです」

「そうだぞ、仕事は山積みだ、まだまだ精を出せよ」

「はいせんせ!」

「よし来た!」


そして二人は

冷めたプリンを食べながら

どこかアットホームな日々を生きた。

ああ、幸せはきっと

とめどない


だから今日もがんばる

誰かに越される前に超えてやる

愛を思わせて好きにさせる

それが私、

白瀬の愛だ


ね、先生、

見えてますか、

この私に映るあなたのかっこよさが

ああ、ああ

あなたにも私を見てほしい

見てほしいです

ね、せんせ、

いつか恋のラインに届くように

頑張ります

ね、待ってて先生。

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