第18話 領地に行く(4)

前話もお楽しみいただけましたでしょうか? 本話もお楽しみいただけるように書いて参りたいと思います。




アレンも少しアイディアが尽きてきたので苦しくなってきた。だから一晩考えることにしたのである。


「アーリア殿、貴殿にも子はいると思うが子はどの様に遊んでいる?」

「はい公爵閣下、我が子たちは主に勉学そして剣術、女子は、礼儀作法などを学んでおり、あまり遊ぶ時間などございません」


「そうか。子供たちはできるだけ野山を駆け巡り領民たちと接する方が良いぞ。その時間を少しとってやると良い」


「はい、おっしゃる通りにいたします」

「そこでだ、ただ遊ぶと言っても何をしていいか分からないだろうから、公園と言うものを作りそこに遊具を設置し、そこで子供たちを遊ばせるのだ」


「これはそれほど場所も金もかからん。まずアーリア殿の領地で実績を積み、その後その遊具を他の領地へ売れば良いのだ。それがうまくいけば他国へ輸出すれば良いのだ。これは良い産業となるだろう」


「なんと素晴らしいアイディアなのでしょうか。私、公爵閣下のお知恵の奥深さに驚きを隠せないでおります。誠にありがとうございます」

「ところで、どのような遊具を思いついているかな?」


「遊具など見たことも聞いたこともございません。もちろん私も子供の頃にそんなもので遊んだこともございませんので、全く思いつくことができません。ご教示くださいませ」


「やはりそうか…まずは砂場だな。これは小さな子供たちが砂で遊ぶ場所だな。ここは1つの区画として、小さな子たちだけが遊ぶようにしたら良いと思う」


「さらに次は滑り台。これは鉄などの金属で作り、ある程度大人の身長位の高さがよろしい。これに一方は階段をつけ、もう一方はなめらかな。1枚の金属板を斜めに取り付け。子供がここを滑り降りると言う遊具だな。当然、落ちないよう滑る板の左右にも板を取り付けなければならないぞ」


「次はブランコ。これは滑り台と同じように鉄などの金属で作るのだが、まずは1本の長い金属の筒を作る。これは丈夫に作らないといけない」


「そしてその金属の筒の端と端に同じように金属の筒を連結し、その4本の筒を斜めにはさみ角45度位の角度で作り、土中にしっかりと埋め込む。そうしないと抜けて倒れたら大変なことになるからな。ここはしっかり作るんだぞ。」


「はい、閣下」


「これに鎖を下げその鎖の先端に木の板を取り付ける。木の板は絶対に外れないようにしないと、子供が大怪我をするから注意するのだぞ。上の支柱に鎖を巻きつけるのではなく、その鎖で何かベアリングのようなものをつけ、スムーズに鎖が前後に動くようにするのだ。そこに子供が座って前後に漕ぐのだ」


「次に鉄棒だ。これは細い3センチ位の子供が握れる位の鉄の棒を、2メートル位横に伸ばし、それを鉄のもっと太い10センチ位の支柱で支える。これの高さを変えていくつか繋ぎ合わせておけば良い」


「後は勝手に子供たちがここに登ったり回転をしたり、色々な事を考えて遊びを作ってくれる。まぁこんなところか。当然これも安全が第一だから、絶対に折れたりしないように作るのだぞ。鉄の棒は中を中空にしたほうが丈夫になるからな」


「ありがとうございます公爵閣下。でも公爵閣下はなぜそのように新しいものを生み出すことができるのでしょうか?」


「それは常に何かないかなと考えているからだ」

実は単に日本にあったものがここの世界ではないので、それを思い出して、利用しているだけなので実に申し訳ない……いかにも自分が考えた様になっているところが……。


この事は、いずれ子供たちの遊具と言う産業を生み、公園と言う文化も生み出した最初の会話であった。この会話が発端になりアーリア領は遊具の一大産地となったのである。当然、この領地にも各街に金貨100枚、領都には金貨250枚を落としていった。


アーリア領を出発したアレン一行はハーリアー伯爵領に入った。ここは伯爵領だけあって広い。抜けるのに9日間かかる。でもここを抜ければ自領に入れる。ここも各地に金貨100枚ずつ落としていき、伯爵の領都に着いた。ここでもやはり盛大な出迎えがあり夜にはパーティーが開かれた。


パーティーを開いてくれるのはいいが、俺は少しパーティーに疲れてきている。しかし、各領主は俺とは違い初めて接してくれるのだ。俺も同じようにしっかりと歓迎を受ける姿勢でいなければならないと思っている。


「アレン公爵閣下、私どもの領地にもお寄りくださり、本当にありがとうございます。今まで公爵閣下がお通りになってきた各領地においての、閣下のご威光は全て聞きを読んでおります。ぜひ私にも何か良いアイディアをご教示願えませんでしょうか?」


やっぱりそうきたか。それはそうだよな。今までのところ全てアイディアを出してきたんだから、伯爵だからといって断るわけにはいかないよな。仕方がない何か考えるか。俺は何か良いアイディアがないか知恵を絞ってみた。


そういえばまだ自転車というものがなかったな。自転車なんかどうなのだろうか?…でも舗装路がないからだめか。だったら、乗り心地の悪いこの世界の馬車に、サスペンションをつけたらどうだろうか?…これなら行けそうだな。よしこれを提案しよう。


「ハーリアー伯爵、貴殿は馬車の乗り心地についてどう思う?」

「はい、椅子のクッションは厚くしておりますが、どうしても長い時間座っていると、尻と腰にはかなりきついと思います」


「そこだよ。注目するところは。馬車と車輪の間にサスペンションと言うものをつければ良いのだ。サスペンションと言うのは道の凹凸を、車輪を通して馬車に直接伝えないための装置だ。これで乗り心地は格段に良くなるはずだ」


「なるほど、そのようなものがあるのですね。どのようなものかご教示いただければ助かります」


「それは車輪と車軸と馬車本体の間に板状の鉄を弓状にして重ね、それを車体に取り付け道の凸凹の揺れを、直接馬車の車体に伝えないようにするための装置だ。先ほど言った馬車と車軸の間に、何枚も板状の弓形の鉄の板を重ねたものを、その板バネの中央を固定しそれぞれの板が多少スライドするようにするのが肝だ。後は自分たちで創意工夫し作成してみると良い」


「承知いたしました。公爵閣下、素晴らしいアイディアをありがとうございました。後は我々の創意工夫で頑張ってみたいと思います」伯爵領の各街にも金貨100枚を同じく、領都には金貨250枚をそれぞれ落としていった。


やっと我が領地内に入る事が出来た。我が領地は湖に接している。この湖が多くの国々の水源となっている。この湖から大きな川ドナウセーヌ川が流れており、そこから支流が各地に分かれていき、それを皆水源として使っているのだ。全長約25,000キロ支流を合わせると約128,000キロになる。


湖の名前はカースピ湖、アールプス山脈から流れ込む。それがドナウセーヌ川に流れ込み全世界の水源となっているのである。ここを守らないといけないのである。以前のここの領主たちは、隣国からのスパイ活動である。勧誘に引っかかり自国を売り渡すようなことをしてしまった。(地球でも同じようなことが行われているような気がしないでもない)


この地を任された以上、俺は隣国を跳ね除けて逆に自国に取り込んでしまおうと考えている。湖と山脈を湖側から見たときに、湖の左端から山脈の一部2/3が全て俺の領地だ。そして右側の1/3位が隣国の領地となっている。それを奪うのだ。


簡単に奪えるものではないと思う。大勢のスパイを送り込んで敵国の領主を籠絡していかなくてはならない。なかなか大変な仕事である。このためにスパイを要請する組織を作り、男女合わせて1,500人を既に送り込んであるのだ。


この1,500人が既に仕事をしており、成果が出始めている。これは俺が始めたことではなく既に王家が10年以上前から行っていることなのである。それを俺が引き継ぎこれからさらに進めていこうと思っている。


また、俺は戦争をする用意があるので、自領に来て最初にやる事は各街を任せている、代官たちを集めこのことを話すことである。そして戦争の準備をさせることである。ただし俺とリリーは強いのでほぼ2人で戦争は、片付いてしまうと思っている。うまくいけば隣国をそのまま吸収してしまおうかとも考えている。


俺は、自分の領地の領都であるアレクサンドルに入った。既に早馬で知らせを受けていた代官たち全員が集まっている。その人数は53人だ。まずは明日全員との顔合わせのパーティーがある。その翌日から領地の運営状態を聞き、その後1週間後から戦争の打ち合わせとなる。


この戦争は俺が起こしたいような言い方をしているが、実は王国全体の意思の表れなのである。前回俺がここに来ることになった理由が、隣国からのスパイ活動及び前任の伯爵及び子爵の籠絡にある。国の重鎮たちはどうしてもこのことが悔しく許せなかったらしい。そこに俺がこの領域に来ることになったので、白羽の矢が立ったと言うことだ。


まぁ俺としては、死者を出さずに、とっとと終わらせて、隣国の領地を乗っ取ってしまえば良いと考えている。とにかく死者を出さないことが大事である。



本話もお楽しみいただけましたでしょうか? 次話もお楽しみいただけるように書いて参りたいと思います。またブックマーク等していただけると作者として励みになります。よろしくお願いいたします。

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