第2話 百合フラグ!発芽!
シュテラ魔法学校――それは、王国でも屈指の貴族達が通う由緒正しき学校にして、ユメマジのメイン舞台。
荘厳な時計塔、空を泳ぐ魔法灯、そして中庭の噴水のきらめき……うんうん、何回見てもテンション上がる。
……いや、テンション上がってる場合じゃねぇ。俺、ルシエル王子にお姫様抱っこされて登校中なんだが。
「まだ痛みますか?急いでいたとはいえ、本当に申し訳ない……」
俺、アイリスのことを優しい眼差しで見つめてくるルシエル。確かこの出会いのイベントで好感度は初期ボーナスのプラス5。
会ってしまったものは仕方ない。どうにか好感度を下げなければ。
「第1王子たるもの、遅刻だなんて…」
「減点だ」そう、「減点だ」と言え!!!下民に生意気な口をきかれれば、優しいルシエルでも流石に不愉快になるはずだ!
「げ……げ……元気いっぱいですね!! 」
む、む、無理〜〜〜そんなのアイリスの解釈じゃな〜〜い!!!
「あはっ……ハイ、元気いっぱいな所をお見せしてしまいました。それにしても、僕のこと知っているんですね?」
「そりゃ、この国の王子様ですから……」
「はい。僕は第1王子、ルシエル・アルディーニと申します。ここで出会ったのも何かの縁。君の名前は?」
「アイリス・フローレンス……」
「アイリス。素敵な名前ですね」
ピロンッという効果音と共にルシエルの頭の上から小さなピンクハートが立ち上る。
やっちまった〜好感度アップだぁ……くぅ〜……しかしっセリフ選びは我ながら最高だった。アイリス、マイ、エンジェル。
◾︎◾︎◾︎
「はぁ……疲れた。第1攻略対象のことは一旦保留。まだいける。いけるはず……」
ご丁寧に保健室に運ばれ手当を受けた俺は、学長の像が佇む中庭へ来ていた。
えーと……この辺で確か、寮とか学校内を案内してくれる子が来るはず。
「あっ、あのっ!」
お、来たな……このゲームではアイリスの友人設定のキャラクター、リファ・マーガレットだ。
深緑のセンター分けショートカットで、琥珀色のポップな瞳と薄いソバカスがチャームポイント。そして――
「ひょわぁっ!」
噴水前ですっころぶリファ。
彼女はドジっ子キャラである。
「いてて…」
「大丈夫?」
「あっハイ!お見苦しいところをすみませんっ!えっと、えっと、中等部二年の編入生、アイリス・フローレスさん……で、合ってますか?」
「うん。気軽にアイリスって呼んでね〜」
転んだリファに手を差し伸べる。
本来は特にこんなアクションをするシーンはないが、俺の目的は「百合ハーレムの後彼女ゲット」。攻略対象以外の「女の!」好感度を上げたいわけで。
「あ、ありがとうございます!私、リファ・マーガレットです!寮が同室なので、その……頼りないかもしれませんが、私が案内役を務めさせていただきます!」
俺、アイリスの手を取り立ち上がったリファはバインダーを大事そうに抱え、顔を真っ赤にしてこちらを見あげてくる。琥珀色の瞳は涙の量が多いのかウルウルだ。
かっ可愛い〜〜!!!身長こんなにちっさいんだ?!
プレイヤーからは「あざとすぎる」とのことで、特に女性からは不人気キャラ!男性からは「キュートアグレッション」「泣かせたい」なんて下劣な二次創作が横行する始末!!
あざといがなんぼのもんじゃい!可愛かろうが!
「では、早速学校の方から案内させていただきます!!こちらです!」
やる気充分に一歩踏み出した瞬間。石畳に足が引っかかり二度目の転倒。
するのを俺は知っている!!
倒れかけたリファの体を後ろから抱きとめ、引き寄せる。転ぶのが分かっていれば、アイリスの体でも支えることは容易だ。
腰を抱いて密着し、耳元に唇を寄せ、ここで!決めゼリフ!!
「まったく……そそっかしい案内人さんだなぁ〜」
明るく活発なアイリスのイタズラっぽい低音の囁き。
「は、はひっす、すみません!ありがとうございます!!」
「いつでも倒れていいよ。私が絶対受け止めるからね?」
トドメにアイリススマイル!
「は……はぃ」
リファの頭の上に、ピロンッ。好感度ハートが浮かぶ。
っしゃァ!逆張り成功!!!この調子でどんどん行くぜ!百合ハーレム計画!!
お次はいよいよ、大本命悪役令嬢ノエルとの出会い……
気合い入れていくぜ!
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