転生竜娘はまったり生きたかった 〜魔法も剣術も無いけど竜の力ならあります〜
Yuki - Nocturne
第一章 冒険者になる
プロローグ 片桐悠菜
課長と言っても面倒見が良さそうだから、とかなんか仕事できるから、みたいな理由で無能な部下達を寄せ集められた吐き捨て場のような課を任された。
大きな会社になると下手に部下をクビにして変に会社の情報を広められるより、有能な人物を一人犠牲にして丸く収めるほうが早いのだ。
やってもやっても意味のないような仕事ばかり回され、部下たちはまともに使い物にならないので仕方なく悠菜がやる。
残業が増える、部下を叱ればヘイトも溜まる、やりたいこともできない。
モチベが下がれば仕事も遅くなる、残業が増える⋯
(負のループかーんせぇ⋯)
「はぁ⋯」
ため息をついてもついても疲れはたまるばかりだった。
(いつからこうなったんだろ⋯実家帰りたいなぁ⋯)
もともと悠菜はのんびりまったりがモットーの女の子だった。
家でゆっくりするのが好きなので、必ず定時で帰れるように仕事を早く終わらせた。
それがこうも裏目に出てしまったというわけだ。
もう四ヶ月ほど前から残業は過労死ラインの80時間を超え、今月に至っては100時間に迫るペースだ。
(今日も始発終電⋯明日も始発終電⋯明々後日も⋯)
考えるとどんどん頭がくらくらしてきた。
(⋯あれ、これやばいやつ?)
視界が暗くなってくる。
「ちょ、そこのお姉さん!!危ない!!」
向かいのホームのサラリーマンおじさんが何か叫んでいるようだ。
その時、ふらつく悠菜の足は点字ブロックを踏み越え、空に踏み出した。
「あ――」
悠菜から見ると世界がスローモーションになったような気分だった。
ホームに落ちたからなのか、過労なのか、電車にひかれてしまったのか。
分からないが、意識は虚空に消えていった。
⿴⿻⿸
ぬるま湯につかっているような、気持ち悪いような、心地良いような感じがする。
目は開かない、声も聞こえない、何も感じないが、何かを感じているような感じがする。
(感じ感じって⋯変な感じ⋯)
『災難でしたね、片桐悠菜』
声を感じる。決して聞こえていない。
(⋯誰の声だろ⋯)
『私はこの世界です。分かりやすく言えば神様、ですかね?』
(神様⋯てことは私、死んじゃったのかな⋯)
『えぇ、ですが、あなたは人間の愚かな行いにも負けず、自分の夢を最後まで叶えようとしました。』
自分の夢、家でゆっくりまったりだろうか。
確かに上司にも部下にも板挟みの状態でもスローライフを求め続けた。
『あなたを他の世界へ転生させます、いいですね?』
(転生⋯ほんとにあるんだなぁ⋯何になるんですか?)
『最ものんびり者の生物にですよ』
(最高じゃないですか⋯)
『喜んでもらえて何より、では片桐悠菜、あなたをドラゴンとして異世界に転生を』
(あ、やっぱり可愛い女の子がいい)
『えぇっ!あっ、間に合わないかも、あっ』
意外と人間味に満ち溢れた神様だ。
なにか慌てた様子だったが、悠菜はどんな姿に転生したのだろうか?
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