謎のエイリアン X
Kay.Valentine
第1話
或る晩
田村雄太がコンビニのバイトを終えて
家路につこうとしていると
キキキーッ
という急ブレーキの音が聞こえた。
続いて
「なんで駐車場の真ん中に座ってるんだ。
バカヤロ」
という怒鳴り声。
慌てて外に出てみると
広い駐車場のど真ん中に誰かが座っている。
急停車した車から
ドライバーがとび出してくるところだった。
雄太は慌てて座り込んでいる男のところに
駆けつけた。
「こんなところに座ってちゃだめですよ」
そして、怒り心頭のドライバーに
「まあまあ、落ち着いて」となだめた。
「もう少しで轢いてしまうところだったよ。
まったくとんでもない奴だ」
「どうもすいません。
よく言ってきかせますので」
ドライバーも
とりあえず落ち着きを取り戻したようで
「ボケてんじゃないの。
頭だいじょぶかねえ」
と捨て台詞を残して車に戻った。
雄太は男に強い調子でさとした。
「夜、暗い時に駐車場に座ってたら
車に轢かれてしまいますよ。
ふつうはそんなことしないけどねえ。
どこから来たんですか」
「ワタシ、ベラ星カラ来タネ」
「はぁ……」
「ちょっと冗談はやめてくださいよ。
警察呼びますよ」
雄太がスマホで110番を回そうとすると
左手で持っていたスマホが
突然、空中に跳び上がった。
「え~~~?」
「ワタシ、
今、アナタノ手ニ反重力波をアテタヨ」
「わっ、わわわっ。ホントに宇宙人だ!」
「アナタ良イ人ネ。
ワタシ今アナタノ心ヲ読ンダネ」
「え~~~」
「握手ネ」
雄太はノリがいいので
宇宙人のこの言葉にすごく嬉しくなった。
恐る恐る右手を出して宇宙人と握手した。
宇宙人といっても外見は地球人と変わらない。
手も暖かい。
少し安心した雄太は
宇宙人にいろいろ訊いてみたくなった。
「どちらの星って言いましたっけ」
「ベラ星ネ」
「どこにあるんですか」
「銀河ノ渦ノ中心ニ向カッテ25光年ネ」
「へえ~~~。
そんな遠くからどうやって来たんですか」
「ワープシタネ」
「すんごい。本物だ」
彼は目を丸くして
そしてあきれた様に宇宙人を見つめた。
彼はノリがいいので
すぐに親しみを持ったようだ。
「よし。じゃあ、ボクが地球人代表として
あなたのおもてなしをしましょう」
「アリガトネ」
というわけで
たまたま今日が給料日で
自分のコンビニで
お金を引き出したばかりだったので
雄太は
町でいちばん高級なステーキハウスに誘った。
つづく
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