流れ星(Meteor)を掴まえて〜第二夜
「ちょっと、レイン!!」
げっそり隈が浮き出て青ざめたレインがふらふらと地下からリビングへと帰ってきた。
「あぁ、おはようセイラ」ニヤリと笑う姿が怖い。
「とにかく座って!食事はとれそう?」
「そうだね。お腹すいて来たかも」
セイラは自慢の野菜を使った栄養満点なスープをテーブルに置くと、レインはあっという間に完食してしまった。
ふんわりパンにベーコンとチーズ乗せた皿も完食。
「ランジェの作った野いちごのジャムあったよね?」もう1つふんわりパンに手を伸ばす頃には顔色は戻り隈は消えていた。
「あるよ。レイン、窶れてるけど根詰めすぎじゃない?」
「えっ痩せた?ラッキー」
「や・つ・れ・た だよ。みんな心配してたんだから」
「あぁごめんね。つい楽し⋯いやみんなの喜ぶ顔が早く見たくてね」
⋯今楽しくてって言おうとしたな。
セイラがため息をつくと、静かに扉が開いた。
「「レイン!!」」
ランジェとアーダが駆け寄る。
「おはよう。心配かけたみたいでごめんね」
「ううん」泣きそうな顔のランジェにふと罪悪感がよぎるが、
「お疲れ様。出来たんだね?」アーダの言葉で罪悪感は一瞬で消え去る。
「今夜だよ?楽しみにしてて!」
「「「!!!」」」心配と期待の入り交じった反応だった。
そして夜。
「始まるよ」
大樹の周囲に幾つもの魔方陣がほんのり光を発している。
幻想的な光景に圧倒されていると、宙から星が降り始めた。
「こんなにたくさんの流れ星、初めて見るよ」
星は合図し合ってるかのように、次々と順に尾を引き流れていく。
レインはひとつひとつ真剣な眼差しで流れを追いながら、ブツブツ数字を呟いている。
「次!」レインが叫ぶと大樹の上に大きな魔方陣が浮かび上がり流れ星は大樹目掛けて飛び込んで来た。
「「「うわぁっ〜」」」間近に迫る星屑の煌めきにどよめきが起こる、
飛び込んたはずの星屑はふっと消え、そこにはキラキラとした輝きが大樹を取り巻くように光を撒き散らしていた。
⋯時よこの輝きに永遠を。ここに留まり永久(とこしえ)に大樹様を守り給え
レインの祈りに魔方陣は答えるように一つづつ消えていき、星の輝きだけがキラキラと大樹の上で点滅を繰り返す。
レインの大掛かりな魔法を目の当たりにしたセイラとランジェは興奮し言葉も忘れたように見つめている。
アーダはホッと張り詰めていた緊張から解かれ、猫姿に戻っているのにも気づかない。
持てる力を全て込めたレインの目からポタリと雫が落ちる。
「素敵な魔法をありがとうレイン」
「本当。奇跡を見たんだね、私達」
「もう、レインったら」そっとハンカチを渡そうとして猫の姿の自分に気付くアーダ。アーダに代わりレインへハンカチを差し出すセイラ。ハンカチを見て自分が泣いている事に気付き驚くレイン。そこへランジェが飛びついて来た。
「レイン、無理しなくていいんだよ」
「本当。心配かけて、でもこんな素敵を魅せてくれて嬉しいよ」
「この莫迦レイン。寿命が縮まったよ」
温かい皆の言葉に涙は止まらない。
冗談を口にしようとしたが、嗚咽に変わる。
⋯みんな、みんな、大切な仲間だよ。何時までも変わらない。星の輝きのように眩い時を忘れない。思いが込み上げ言葉にならないけど、伝わっているのはみんなの目に浮かぶ涙を見ればわかる。
ぐしゃぐしゃに泣きながら「ありがとう。大切な流れ星(Meteor)達」
やっと言葉が出た。
4人は順に右手を重ねて頷き会う。
「「「「Meteor最高!」」」」
レインは鮮明な記憶の渦から我に返り再び煌めく大樹を見上げた。
あの時の魔方陣が大樹に刻まれ何時までもキラキラ輝くあの日の流れ星。
⋯あの魔法は私の力じゃなくみんなが起こした奇跡だよ
今でも輝く流れ星の煌めきのように、色褪せない想いが込み上げてくる。世界の果ての森は平和が満ちている。
⋯素敵な出会いに感謝を
⋯何時までも永遠にここで紡がれる奇跡に感謝を
レインは一歩づつ噛み締めながら大樹の扉へ続く階段を登って行くのだった。
※Meteorはモデルとなった現実の4人が若かりし頃やっていたバンド名です💦
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