かいてあるとおりによめたらいいのに~英語のスペリングのこと~

ヤスイ・テツカズ(安井鉄和)

ドイツ語との比較

第1話 かいてあるとおりに よめるのは すばらしい

 わかいころ、わたしはドイツ語を学習した。ちゃんと身についたとはいいがたい。完全に落ちこぼれたが、後悔はない。むしろ、学校でドイツ語を選択したのは正解あるいは最適解だったとおもっている。なぜなら、わたしにとってドイツ語はとてもむずかしかったので、おそらく独学では無理だっただろうとおもうからだ。


 ドイツ語の単語の綴りは、つねに発音どおりに書くとはかぎらないが、ルールを知れば書いてあるとおりに発音できる。すばらしいとおもった。


 文字と発音のルールは、かなり単純であるようにおもわれた。例外はあるが、それらは、はっきりと例外である。しかも、あまり多くないという印象。


 ならいはじめてから数年後、ドイツ語の正書法改革が実行された。書きかたに合理性をもたせるためらしい。


 そして、正書法改革というのは、ほかの言語でもおこなわれていることである。


 しかしながら、英語は文字と発音の関係が複雑なのに、ほとんど手つかずのままだ。地域によって、各個人によって、発音がことなるから? そんなのは、ほかの言語でもおなじことだろう。


 おおきなチカラには おおきな責任が ともなう。英語の正書法のカオスは、地球規模での大迷惑。そんなに いやなら やめちまえよ って いう こえも きこえてきそうだが、とくに わかいうちは そうはいかないだろう。


 いまや、わたしは さほど わかくないし、これからさき、英語の正書法改革が実行されたとしても、わたしにとっては 手おくれ かもしれない。そもそも、生きているうちには実現しないかもしれない。それでもやはり、期待してしまうのだ。学習の負担が軽減され、つかいやすくなるのは、よいことだ。


 理論上は、英語の読み書きのハードルが下がることになるが、実際は、おぼえなおしのテマと過渡期の混乱が心配される。それはそれで大問題だ。

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