【 雲ノ朝夕 -くものちょうせき- 】
はろ
九鮫なつ × 夜束らの
すれ違う、嘘二つ。
「なぁなぁ、らのって好きな人いねぇの?」
「は、はぁ!? い, いねぇよ、!!!」
俺の突然の問い掛けに、
らのが思わず椅子から飛び跳ねる。
勢いある咆哮に少し驚いたが、この様子を見るからに…、、怪しい。
「え、何焦ってん?いるの??」
俺はそう聞きながら、にやにやと覗き込む。
らのは、俺の顔を手で押し返してくる。
「何で急にそんなこと聞いてくるんだよ。」
らのは冷静を装っているつもりだろうか。
筆箱のチャックを、カチャ、カチャ、と繰り返しながら開け閉めして、拗ねた様子で聞いてくる。
…面白い、少しからかってやろうか。
俺は真剣な表情で言い放つ。
「…俺さ、好きな人がいて。らの にもいるのかなって…気になった。」
俺の予想外の返答に一瞬、目を見開いた らの。
だがすぐ、
いつもの眠たそうな目に、元の顔に戻る。
らのは視線をまた手元の筆箱に落とす。
そして少し…間が空いてから、
「そうなんだ、僕にはいないよ。笑」
淡白にそう言う。
それは少し寂しそうに見えた。
らのは椅子から立ち上がり、
俺の方に身体を向ける。
何故か視線が合わないまま…らのは続ける。
「良かったね、応援してるよ。」
ぽん。とすれ違いざまに、俺の腕を叩く。
そのまま教室の後ろへ歩いていき、らのは後ろのドアから出ていった…。
俺は、しばらくその様子を眺めていた。
何か、……怒らせてしまっただろうか。
本当は、俺には好きな人はいないし、ちょっとしたからかい、嘘のつもりだった。
…好きな人の有無も分からず終い。。
そしてあの反応…
彼にとって…
触れて欲しくないことを聞いてしまったのか…
悪いことをしてしまったと、俺は反省した。
「…放課後、何か奢るか。」
俺は、少しだけ重い足取りで、窓際にある自分の席に戻った。
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