キミの声〜3rd〜

@nakakonoko

1 凛

第1話





「CM……ですか…?」





「youth oceanだよ。キミもこのブランドは分かるだろ。コスメの覇権を取ってるとこから直々にオファーが来てね。是が非でもお願いしたいということらしい」




youth ocean…明るい配色が若い世代に人気で、何年か連続で賞を受賞しているコスメブランドだ。


高校生大学生でも届きやすい価格帯、それでいて質も良いのでティーンズに圧倒的に支持されている。






でも……






「CMということは顔を出すということですよね…」




「なにを当たり前のことを。キミの曲でキミの顔で広告したいと言ってくれてるんだ、引き受けない選択肢はないくらいだ」





ここは事務所の会議室。



少し離れたところに私のマネージャーの秋名琴葉、もとい、こっちゃんがいて。




テーブルを挟んで目の前の恰幅の良い社長が前のめりに熱くなっている。




「……この話は…SHINを通していますか?」




「………正直なところ、音楽の活動以外の仕事はSHINを通すつもりはないんだよ。あくまでも音楽分野でのプロデュースを許可してるんでね。所属してる事務所はうちだから。Wolfeyesに守られて気が大きくなってるかもしれないけど…この業界、そんなに甘くはない。キミは仕事を選べるほど偉くはないからな」



…………。




何も言い返せなかった。




私は偉くない。




そんなのは分かってる。十分弁えてる。





けど、SHINが慎重に大事に丁寧に育ててきてくれたのに…




これは…どうなんだろう。




「ちなみにSHINに泣きついたところでもう何も変わらない。この仕事は凛が個人的に受けた仕事だ。そこはしっかりSHINにも説明させてもらう」




どういう意味…?





「凛の意思で仕事を受けた、ということを心に留めておくように」



「え…それは……嘘になりませんか?」



「意思確認をしてキミが話を聞いたからそこで成立したんだ。嘘ではないだろう。大人の世界はこういうものだよ。うちと上手く関係を築いていきたいならこういうことも飲んでもらわないと」



「…………わか…りました…」




社長の圧がすごい。



飲み込まざるをえない雰囲気だった。




終始意味が分からない話。




私が頭悪いのかな。




私が普通じゃない?





よく分からない。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る