単純な生活
踊る猫
20251027
朝、目覚める。目覚めばなに悪い夢にとっ捕まったようで、その余韻が残っていたがいまとなってはなんだったのか思い出せない。毎朝のルーティンであるシャワーと洗濯を済ませたのち、7時50分からおこなわれる英会話関係のZOOMミーティングに参加する。今日の話題は「女性にとって『女子会』がいかにだいじか」という話題で、それについてあれこれ英語で話すことになっていたのだけれどいざフタを開けてみると割り当てられたメンバーがぼくふくめて男性ばかりで、しかもぼく以外在米経験ありの流暢なベテラン。なので文字どおり胸を借りつつ「あくまでぼくの勝手な印象ですが、女性は概して社交スキルに秀でていておしゃべりをとおして適度にストレスを発散する術に長けているのではないかと思います」とかなんとか英語で話す。こうした機会をこなすことで自分の英語が向上していればいいのだけれど……と思い、かつ「こうした機会」をつくってくださる方々への感謝の念をあらためて感じる。
その後、総合病院に行く。今日は休みで、午前中にその病院にてぼくの発達障害にかんする医師との定期的な面談があったのだった。そこで待ち時間中、高草木光一『鶴見俊輔 混沌の哲学』などを読んだりして過ごす。医師との面談ではぼく自身がさいきん悩まされているフラッシュバックのことと、その件である発達障害の支援施設の方に相談してつながらせてもらったことなどを話す。4週間後が休日なので、3週間後に次の予約を取り付けて手続きを済ませて薬を受け取り、そして近くにあるイオンに行く。
ぼくは音楽を好んで聴くのだけど、Spotifyにてさいきん配信されはじめたブルース・スプリングスティーンの『ネブラスカ』のスペシャル・エディションを聴きつつイオンで時間をつぶす。高草木光一の著作ももちろんおもしろいのだけれど、読み通すのがしんどくなってきたので(勝手なぼくの飽きっぽさによるものだ)本を多和田葉子『研修生 プラクティカンティン』にスイッチしてそちらを読み進める。多和田の自伝的なできごとを下地に書きつづったとおぼしきこの作品は、したがってシュールな想像力の発露というよりはリアリズムの文体・構成が採られていて、地味で平板にも感じられるストーリーなのだけれどこちらの心をかくじつにつかんで離さない力がある。底力、と言っても過言ではないだろう。ほかに今日はやることもなかったので、ときおり音楽をドナルド・フェイゲンに変えたりしつつちまちま読み進める。
この小説の主人公は名を持たない。そして、どうやら日本人で女性でもあるようなのでついつい多和田葉子自身のことを書いたと受け取ってしまいそうになる。それはもしかしたらごく愚かしい誤読のはじまりでもあるかのようでコワいのだけど、でも多和田自身のことを語っていると「仮に」受け取るなら、1982年に会社員として勤めはじめたばかりの多和田がふとしたはずみで小説を書きはじめる、そんな「ビフォーアフター」というかさいしょの1行が「降りてきた」瞬間があるようで興味深い。ぼくにとってその「さいしょの1行」はなんだろう、とあれこれ考える。まだ小説を書くことをあきらめきれていないんだろうか。
ともあれ、そんなこんなで午後を『研修生』を読んだり『ネブラスカ』を聴いたりして過ごす。ふと、開いたスマートフォンから「ライフログ」のすすめとして手帳がいろいろリコメンドされた記事を読む。ぼくはふだんはごく安い手帳をつかって日々の予定を管理している(スマートフォンのアプリを使うこともあるが、メインは紙の手帳だ)。ライフログ(逐一「その日その日なにをやったか」についての記録)はあまり記録はしていない。以前に日記を書いていたことはあったけれど、いろいろあっておざなりになってけっきょく辞めてしまった。でも、『研修生』効果からかまた日記を書いてみるのもいいかなあと思うようにもなった。
夕方ごろ、グループホームの方からあたらしく買い求めたパソコンが届いたとの知らせをLINEにて受け取る。夜になり、さすがに『ネブラスカ』づくしや『研修生』づくしで過ごすのも飽きたので、ぼく自身の中の澱を出してしまう作業も兼ねて佐伯一麦『渡良瀬』の書評を書き記す。パソコンが明日、なにもなければぼくの部屋に入ってセッティングも済むはずなのでそれを機に書きかけていたぼくの小説や、あるいはDiscordなどでの英語のレッスンを楽しめればと思った。夜も更けて、スイッチしてB・B・キングやエリック・クラプトンなどを聴いたりさいきん古本で買い求めた佐伯一麦『鉄塔家族』を読むともなく読んだりしていたら消灯時間になってしまった。実は明日も休みなので、まあボチボチやろうと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます