禅羅院なつこは性格が悪い!なつこ戦記第一章〜フォーエバーなつこ〜《AIと作者が交互に執筆する小説です》

弐屋 中二(にや ちゅうに

第1話 カオスの始まり 《AIが書いた回です》

放課後の教室は、春の陽射しが差し込んでいるにもかかわらず、妙に重苦しい空気に包まれていた。


「ねぇ、聞いてる?」禅羅院なつこは、黒板の前で立ち止まった女子生徒の前に仁王立ちになっていた。長い黒髪を後ろで束ねた彼女の目は、まるで獲物を見つけた猫のように細められている。「今日の掃除、あんたがやるって言ってたよね?」


「え、でも、昨日も私が...」


「ぬっころす」なつこは、まるでそれが普通の挨拶であるかのように呟いた。唇の端が微妙に吊り上がり、相手の女子生徒の顔が青ざめるのが見えた。「約束を破る奴なんて、生きてる価値ないじゃん」


教室の隅では、物水木すぐるが教科書を閉じる音がした。優しげな表情の彼は、いつものように介入しようとしたが、なつこは鋭く振り返った。


「関係ないでしょ、すぐる。別にあんたのことなんて気にしてないし」


「でも、みんなで協力するのが...」


「協力?」なつこは鼻で笑った。「私が協力なんて必要と思ってる?笑わせないでよ」


すぐるの表情が曇った。彼は確かに、クラスで一番の善人で、誰にでも優しく接する。だからこそ、なつこの悪意のようなものが、彼には理解できないのだろう。


「なつこちゃん」すぐるは、珍しく真剣な声で言った。「君は、本当は優しいところもあるって知ってる」


「は?」なつこの眉が跳ね上がった。「なに言ってんの?気持ち悪い」


だが、その瞬間、教室の窓が激しく揺れた。外では、普段なら平和な商店街の方向から、奇妙な音が響いてきた。低い地鳴りのような音に混じって、まるで何千もの声が同時に叫んでいるような不気味な響き。


「なに、あれ...」教室にいた生徒たちが、一斉に窓に駆け寄った。


商店街の中心、老舗の和菓子屋『松風堂』の前に、巨大な黒い渦が出現していた。渦は徐々に形を変え、最終的にまるで地獄の門のような巨大な穴になっていく。穴の奥からは、赤黒い光が漏れ出し、周囲の空気が歪んでいるように見えた。


「うわ、マジかよ...」誰かが呟いた。


なつこは、窓から身を乗り出して商店街を見つめていた。普段なら他人事のように笑っていた彼女の顔に、初めて困惑の色が浮かんだ。


「あれ、本物...?」


突然、なつこの体が硬直した。彼女の黒い瞳が、一瞬で真っ赤に染まる。全身から黒い煙のようなものが立ち上り、教室の床に広がっていった。


「な、なつこちゃん!?」すぐるが駆け寄ったが、彼女の体に触れた瞬間、強い衝撃で吹き飛ばされた。


なつこの体は、空中に浮き上がった。黒い煙が、まるで生き物のように彼女を包み込み、次第に形を変えていく。制服の上から、黒いローブのようなものが纏わりつき、額に奇妙な紋様が浮かび上がった。


「我はポポンゲス、地獄の悪魔なり」なつこの口から、明らかに別の声が発せられた。「この娘の体を借りし者、悪魔神官ハイパーなつことして、汝らに告ぐ」


教室中の生徒たちが、恐怖で凍りついた。すぐるだけが、なつこの変化に驚きながらも、彼女を助けようと一歩を踏み出した。


「なつこちゃん、しっかり!」


だが、その時、教室のドアが開いた。転校生のニコラ・テンペストが、冷静な表情で立っていた。銀色の髪に碧い瞳の彼女は、まるでこの異変を予期していたかのように、一歩一歩近づいてくる。


「遅すぎたわね」ニコラは、浮遊するハイパーなつこを見上げた。「ポポンゲス、約束は違うはずよ。彼女を普通にさせて」


「フン、人間ごときが命令するな」ハイパーなつことしてのなつこは、嘲笑った。「だが、時間はない。隕石に乗った宇宙人たちが、もう地球に向かっている」


「宇宙人?」すぐるが驚いた声を上げた。


ニコラはため息をついた。「ええ、私たちの星から来た追っ手よ。あなたたちの街に、特別なエネルギーが集まっているから」


突然、ハイパーなつことしてのなつこが、ニコラをまじまじと見つめた。赤い瞳に、奇妙な光が宿る。


「お前...ゲイだったな」


ニコラの表情が一瞬硬直した。「な、なにを...」


「この娘の記憶を読んだ。お前が、あのすぐるに惚れていることも」ハイパーなつこは、にやりと笑った。「面白い。すぐるもゲイだし、ちょうどいいじゃないか」


すぐるの顔が真っ赤になった。「ち、違う!私は...」


「否定することないわ」ニコラは、意外にも素直に認めた。「確かに、すぐるくんのことは...」


だが、その瞬間、ハイパーなつことしてのなつこの表情が一変した。ポポンゲスの制御が一瞬緩んだのか、本来のなつこの意識が顔を覗かせた。


「え、ちょっと...」なつこの声に戻った。「ニコラがゲイって...それに、すぐるも...?」


彼女の頬が、見る見るうちに赤く染まっていく。普段は悪意しか見せない顔に、初めての困惑と、それ以上の感情が浮かび上がった。


「ま、まさか...私、ニコラに...」なつこは、自分でも信じられないような声で呟いた。「惚れてる...?」


教室の空気が、さらに複雑に入り乱れた。悪魔に乗り取られた少女、秘密を暴かれた転校生、そして混乱する優しい少年。そして、迫りくる宇宙人たち。


「とにかく」ニコラが、話題を変えようとした。「宇宙人との戦いを始めるには、まずこの状態をなんとかしないと」


「戦うのはあなたたちだけよ」ハイパーなつこが、再び制御を取り戻した。「私は、この娘の体を使って、地球を守るだけ。感情なんて、邪魔だ」


だが、その言葉とは裏腹に、なつこの心の中では、新たな感情が芽生え始めていた。これまで他人を見下すことしかしてこなかった彼女にとって、ニコラへの感情は、まるで未知の病気のようなものだった。


「私...どうすれば...」なつこの意識が、ポポンゲスに抗うように呟いた。「初めて、こんな気持ち...」


商店街では、地獄の門がますます大きく開き始めていた。そして、空の彼方から、赤い隕石のようなものが、確実に近づいてきている。


三人の明日は、一体どうなるのか──その答えは、まだ誰にも見えていなかった。

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