与作の衝動

与作

10/27、ドカ鬱

 職場に赤ちゃんが来た。

 本当に可愛くて無垢そのもので、自分が近づくことすら気が引けた。

 その子の母親もとても嬉しそうで、幸せということが本当に伝わってきた。

 私もそろそろ子供も産んでもおかしくない年だと思った。

 なんなら結婚適齢期である。


 しかし私がやっていることといえば、家に帰って味気の無いインスタント食品を食らい、YouTubeなどの中身の無い娯楽を聞き流し、ひたすらSNSに眼を通して時間を費やす。

 他にやるべきことがあるだろうに。

 私は何かをやってると思いたくて、虚構に忙しくしているが、結局は何も成してないのだ。

 成せていない。

 小説なんてものを書いてみているが、実のところ私の幼稚さが溢れる瑣末な文章の羅列に過ぎない。

 こんなものが人生の何の役に立つのだろう。


 私は私の人生から逃げ続けている。ずっと。

 生まれた時から今まで自分で決めたことなんて何も無い。

 周りが進めるまま、道を外れないように、一歩一歩、確かめながら這いつくばってきた。

 あの子はいい子だ。素直で賢い。自慢の子ども。羨ましい。

 いつまで誰かの幼い子供でいるつもりなのか。

 いつ私は誰かの親になれるのだろう。


 でも文を書くという事だけは、誰からも与えられていない。

 これだけは、私のものでありたい。

 誰にも奪われたくない。

 大事な大事な私の子どもだ。


 それはそれとて赤ちゃんが欲しい。

 私だけの可愛い子ども。

 早く出会いたい。

 

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