14 ドラゴン
山岳地帯についたのでとりあえず登ることにした。
ここにきて思ったのは、多くの鳥が空を飛んでいるということだ。
いつ襲ってくるかわからないので警戒を怠ることはできない。
俺には遠隔攻撃手段がないから先に倒しておくというのもできない。
挑発をピンポイントで鳥に当てればこっちに向かってきて倒せるんだろうけど、先ほどの反省から挑発はあまり使いたくない。
警戒しつつ登るしかない。
ここにはドラゴンを探しにきたのだけど、どこにいるのだろうか。
イメージ的には頂上付近にいる。
まあ適当に頂上まで行くとしますか。
いくら人の手の加わっていない山岳地帯であろうとも、俺には身体能力強化と全能力強化がある。
余裕でスイスイと登っていく。
それにしても俺の今登っている山は結構高い。
3000mくらいはあるのではないか?
陽が沈む前に登り切れるかな?
「クワァー」
登っている最中に鳥が突撃してきた。
警戒を怠っていなかったので、それには反応して、突っ込んできたところに剣を合わせて両断した。
『山岳鳥を討伐しました』
『鳥肉を獲得』
『5ポイントを獲得』
『参加者初の山岳鳥の討伐を確認』
『低酸素耐性LV1を獲得』
おお!初討伐だったのか。
こんなにたくさんいるのに初討伐ということは、おそらくプレイヤーは山岳地帯にいないということだ。
前回みたいな協力してボスを倒すみたいなことはできないな。
まあ最初からそんなこと期待していなかったけど。
その代わりにこの山岳系のモンスターは全部が初討伐になるということだ。
まあ今のところ同じ鳥しかいないけど。
それから数時間にかけて山を登った。
時折、鳥が攻撃してきたが、一撃も受けることはなく、全部倒した。
そして、頂上付近に近づく頃には陽が落ちようとしていた。
結局、頂上付近に来るまでに山岳鳥しかいなかった。
「ここで寝るのなんか嫌だなぁ。寒いし」
陽が暮れようとしているので眠るか迷う。
だが、そんなことを考えていれば嫌な気配がした。
これは自分よりも強い奴が近くにいる感覚。
「ガアアアアアアア」
いや、まじか。
俺の目の前には体表が赤い巨大なドラゴンが現れた。
足が4本あり、巨大な翼が生えた全長10mはあるであろうドラゴンだ。
強い。
ボスゾンビやボスの鳥、名前は確か鳥竜だったかな?
それらよりも圧倒的に強い。
「鑑定」
———————————————
LV2 ファイヤードラゴン
炎属性の攻撃を得意とするドラゴン
———————————————
レベル2だと?
ボスゾンビは1だった。
鳥竜は鑑定を撃ちたかった時に射程外だったから確認できていないけど確か報酬の時にLV1って言ってた気がする。
だけどこいつはレベル2
俺の感覚も俺よりも強いと言っている。
逃げるか?
いや、せっかくここまできたんだ。
俺は剣を抜く。
「ジャイアントキリングだな」
こっちが不利な点は純粋に戦闘能力が低いのと、足場が悪い。
人の整備がされていない山なんてこんなもんか。
有利な点は俺の攻撃が届く点だ。
有利と言えるのかはわからんが、前回のボスの鳥と違って飛んでいる高度は高くない。
少しジャンプすれば届く。
俺はドラゴンに向かって走り出す。
ドラゴンは口から火炎弾を出してくる。
だが、その攻撃はあまり脅威ではない。
口に炎を生み出してからそれを発射するまで約1秒
それくらいの時間があれば避ける体制に入れる。
問題は前足の爪だ。
どのくらい攻撃速度があるのかはわからないが、もし攻撃を受けてしまったら一発アウト。
近づかないと攻撃できない俺にとってはリスクがかなり大きい。
俺は前足を警戒しつつドラゴンに接近する。
俺が接近するとドラゴンは予想通り前足で攻撃してくる。
単調だが、結構速い。
その攻撃を避けてから攻撃の姿勢に移ろうとしたが、もう片方の足でさらに攻撃してくる。
咄嗟に回避をすることができたが、攻撃する隙が見当たらない。
俺がジャンプをすれば攻撃は届くだろうが、落下中は無防備
そこを狩られておしまいだ。
いや、いい方法があるか。
今度は前足で攻撃する瞬間に跳び上がり、攻撃される前にドラゴンの元に届く。
攻撃で隙を晒したドラゴンは俺の接近を許してしまった。
そして、首に剣を振るう。
殺った。
確実に首に入る。
「かっった」
その首は切れなかった。
鱗に弾き返された。
そして、空中に無防備でいる中でドラゴンは攻撃してくる。
「浮遊」
その攻撃は浮遊を使うことによって回避し、地面着地することができた。
浮遊があれば、だいぶリスクを軽減しながら着地できる。
だが、新しい問題が出てきたな。
攻撃を届かせるのも難しいのに、もし届いたとしても鱗を断ち切れない。
そして、この炎だ。
ドラゴンは俺が地上にいると、火炎弾を常に撃ってくる。
避けるのは難しくないが、鬱陶しい。
もし被弾すれば一撃で死ぬだろう。
こういう硬い敵の場合、物語でテンプレなのは内側から倒すというものなのだけど、俺はその肝心の内側への攻撃手段を持っていない。
ホセがいれば結構楽になりそうなんだけどなぁ。
あいつの巨大化銃弾は役に立つし。
ああ、でもどっかで炎に焼かれて死にそう。
まあ無いものを考えても仕方がない。
本格的にどうするかを考えなくては。
そうしないと今も続いている火炎弾にいつか焼かれて死ぬ。
案としては、鱗のない場所を攻撃することだ。
鱗のない場所を探す。
多分お腹には鱗がない。
そこを切り裂けばダメージを与えられるはず。
だけど、お腹はドラゴンの足の射程圏内
斬っている最中に攻撃されれば終わりだ。
足が届かないのはドラゴンより上にいる場合だ。
一旦背中に乗ることを目指すか。
そこなら火炎弾も足による攻撃も届かない。
俺は再度近づき、攻撃してきたところでまたジャンプして攻撃を避ける。
だけど今回はドラゴンがジャンプした先を狙ってきた。
「浮遊」
浮遊でなんとか回避したが、ジャンプによる上昇は浮遊によってなくなってしまい、届かない。
俺は地上に降り、浮遊のクールタイムが明けるまで地上で回避に専念する。
このドラゴンは馬鹿じゃない。
一度行った行動は次で確実に狩ってくる。
ボスゾンビとは違うのか。
ボスゾンビならいくら同じ行動を続けても学習しなかったのに。
火炎弾を当たらないのに撃ち続けているのはリスクがないから。
俺が遠距離攻撃手段を持っていないことを察知されているのか。
挑発を使おう。
これならかなり低いところに降りてきてくれるだろう。
問題はあの超質量に突進されて対処できるか。
足場が悪いので無闇矢鱈に横に回避することも難しい。
だけどそれしかない。
挑発を使って背中に乗る。
乗った後のことはその時に考えよう。
「挑発」
「グアアアアアアアア」
ドラゴンは俺が挑発した瞬間に突進してくる。
単調な突進、避けるのは簡単なはずだ。
ミスれば確実に死ぬ。
一発勝負
ドラゴンが突撃してきて俺の目の前に来た瞬間にジャンプをする。
ドラゴンは俺が急に飛んでもそれに合わせて急上昇することはできない。
そして、背中の上に乗ることができた。
ドラゴンは俺を振り落とそうとしてくるが、巨体な分、足場となる場所も多い。
ドラゴンは急速に飛ぶ速度を上げて、俺を落とそうとしてくる。
俺は剣を鱗と鱗の間に突き刺し、それを掴むことによって振り落とされないようにする。
振り落とされないからといって攻撃手段がないことには変わりない。
一応狙えば鱗と鱗の隙間に剣を突き刺すことができるが、そんな程度では何時間かかっても倒せない。
いや、翼ならどうだ?
翼にも鱗があるが、他と比べて薄い気がする。
鳥も片翼を切り落としたら飛べなくなっていた。
斬れるか?
斬れなかったらそのまま落下だ。
でも方法がそれしかないならやるしかない。
ドラゴンは速く飛んでも落とせないと思ったのか、自身の身体を左右に揺らして落とそうとしてくる。
今がチャンスだ。
剣をドラゴンの身体から抜き、背中を足場にジャンプする。
そのまま落下の勢いを利用して翼の根元を狙う。
そして、翼に俺の剣が届き、そのまま勢いで斬る。
全力の力で剣を振るう。
硬い。
だけど、斬れないほどじゃない!
そして、剣を振り抜く。
「グァアアアアアアアアア」
俺の剣がドラゴンの剣を斬り裂いた。
ドラゴンは片翼が斬れた瞬間に墜落していった。
その巨体は山を転がり落ち、少ししたところで止まった。
鳥の時は翼を斬った時点で動けなくなり勝利が確定したが、ドラゴンの場合はそうはいかない。
戦車の装甲を持った火を吐く戦闘機が火を吐く戦車になっただけだ。
転がったことによってだいぶダメージを与えることはできただろうが、死には至らない。
ドラゴンは起き上がり、火を吹きながら4本の足で地面を走ってくる。
そこで俺はとあるものをショップから購入した。
そして、剣をしまい、購入したものを手に持つ。
手には棍棒が握られていた。
「撲殺してやんよ」
剣は鱗に通らない。
だけど、鱗があろうと衝撃は通る。
ドラゴンは俺に向かって足による攻撃をしてくるが、先ほどまでと違い、地上にいる。
先ほどまで地の利は向こうにあったが、今は俺の方にある。
その攻撃を回避してまた背中に乗る。
そして、棍棒をドラゴンの頭に叩きつける。
「グァアアアアアア」
ドラゴンは首を振っている。
間違いなくダメージは通った。
だけど、棍棒は今の一撃で壊れて無くなってしまった。
剣は不壊だったから雑に扱えたが、棍棒の場合はそうもいかない。
だけど、棍棒など所詮2ポイントで買える。
無限に買って撲殺してやる。
そしてそこからは一方的だった。
ドラゴンが攻撃をしてきて、それを避ける。
そして、頭を殴りつける。
その攻防が1時間ほど続いた。
辺りは既に真っ暗になっている。
1時間ほどが経過し、ついにドラゴンが力尽きた。
「ふぅ。究極の泥試合だったぜ」
そしてドラゴンは光となって消えていった。
『LV2ボス ファイヤードラゴンを討伐しました』
『ドラゴンの牙を獲得』
『ドラゴンの骨を獲得』
『200ポイントを獲得』
『称号ドラゴンスレイヤーを獲得』
『龍特攻LV1を獲得』
『火炎種の討伐を確認』
『スキル炎耐性を獲得』
『参加者初のファイヤードラゴンの討伐を確認』
『スキル???を獲得』
『???は現在使用できません』
『参加者初のLV2ボスの討伐を確認』
『称号導く者を獲得』
『称号導く者を既に持っているので称号導く者を消去し新たな称号を獲得します』
『称号???を獲得』
『称号???は条件を満たしていないので入手することができませんでした』
『魔剣が解放されます』
『称号魔剣使いを獲得』
『魔剣が解放されたことによりスキル???を解放します』
『魔剣スキル炎 下位を獲得』
『ボスのソロ討伐を確認』
『100ポイントを獲得』
『参加者初のLV2ボスのソロ討伐を確認』
『称号孤高を獲得』
『称号孤高を既に持っているので称号孤高を消去し新たな称号を獲得します』
『称号王者を獲得』
『スキル全能力強化LV1を獲得』
『同種スキルの獲得によりスキル全能力強化をレベル4に上昇させます』
『スキル威圧を獲得』
『報酬を以下から選択してください』
『拳銃の獲得 魔剣スキル闇 スキル覚醒』
『参加者初を10つ獲得を確認』
『スキル上昇権を4つ獲得』
・・・え?
待て待て待て待て待て
情報量が過去一多いんだけど。
『ボスが討伐されました。次のステージまで残り3』
うるさいよお前
今はそんなことどうだっていい。
なんか色々手に入れたんだけど、全然整理ができていない。
とりあえず選択肢を選んでから整理しよう。
前回、ボスゾンビを討伐した時にも出ていた選択肢。
今回も拳銃の獲得、魔剣、スキルの3つか。
前回はスキルを選んだんだっけ。
『拳銃の獲得 魔剣スキル闇 下位 スキル覚醒』
拳銃の獲得はないな。
多分俺の戦いについていけない。
剣の方がモンスター相手には有効だ。
魔剣スキルっていうのがどういうのか分かってないんだよなぁ。
でも確か魔剣スキル炎ってのは手に入れたんだよな。
あーどうしよ。
覚醒っていうのもよくわからんしな。
魔剣スキルにしてみるか。
下位っていうくらいだから進化もするだろうし。
「魔剣スキル闇 下位で」
『魔剣スキル闇 下位を獲得』
さて、情報を整理しよう。
「スキル・称号」
———————————————
スキル
共通言語
偽装
隠密
ジャイアントキラー
アンデットキラー
挑発
威圧
鑑定LV2
身体能力強化LV1
反応強化LV3
韋駄天LV1
棒術LV1
体力強化LV1
腐食耐性LV1
全能力強化LV4
浮遊LV1
低酸素耐性LV1
龍特攻LV1
炎耐性LV1
???
魔剣スキル
炎 下位
闇 下位
称号
剣の使い手
モンスター討伐
スピードファイター
殺人
殺人狂
ジャイアントキリング
ドラゴンスレイヤー
王者
魔剣使い
???
———————————————
なるほど。
なんかいっぱい増えたってことしか分からんな。
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