【ハロー感動物語】2017年3月10日【あかりと颯太】【二分の一成人式の1年前】

優希【団子って人】

3月1日(水)朝。ひな祭りが近づき、雛壇にお雛様とお内裏様を飾る桜(お母さん)とそれを見守る颯太とあかり

桜が飾っている。女の子の祭り、桃の節句と言われる雛祭りには不可欠な雛壇に、お内裏様とお雛様を。


「お内裏さ〜まとお雛様〜♪」

呑気に歌いながら飾っているので颯太は(わざわざあかりのためにご苦労様です、ママ……)と呆れ半分苦笑い半分だった。まあ確かに颯太には女の子の行事そのものを馬鹿にするところがあるのだが、一応颯太には歴史と日本語の学(がく)がある。何故なら颯太には前世の、大正時代に生まれ大正時代の戦争で亡くなった記憶があるからだ。颯太は弟、あかりは双子の姉。前世は新山颯太は黄原涼太郎という名前があり、新山あかりには赤穂照(あかみのてる)という男に相応しい名前があったはずだと颯太は確信(?)している。とにかく颯太は、あかりがいずれ大正の頃を思い出して男に戻ってくれるはずだと信じていた。何故なら二人は大正時代には友達だったはずだからだ。……まあ、照の時に涼太郎に恋していた記憶までは思い出して欲しくはないですけれど、と颯太は静かに呟いた。


あかりは颯太の気持ちなんぞには気づかないで、「今日も良い日だ、今日の給食も楽しみだな〜女の子の祭りか!さいっこうだな!!!」


「僕はあかりを嫁には送りたくないので、もう1日遅く飾ってもよかったのに……そうすりゃ『一夜飾り』ですから、あかりは嫁に行き遅れます」


「好きな男の子は(友達が)沢山いるけど、まだ嫁に行くとか実感湧かないな〜」

あかりはそう元気よく言って、お母さんとお父さんの作ってくれたスクランブルエッグと卵かけ納豆ご飯と、卵焼きと唐揚げと春巻きとポテトサラダと……などなどを食べまくった。


「ああそうですか、良い限りです」

「颯太ったら成績はあんまよくないくせにすぐ難しい言葉使うよな〜〜」


「あかりがばかなだけですよ」と颯太は渋い顔をした。

3歳の乙葉が桜のスマホでヒ○キンさんを見ていた。すごく熱中していたようにのちの桜は振り返る。そしてそのヒ○キンさんが、のちの乙葉会(大勢の友達同士の集まり。地区班などから成る)を作るきっかけになるなんて。人生好きなことして生きてても何とかなるものだ。『好きなこと』こそ人生を豊かにしうるのだから。


8:00、颯太が先に出て行くと、「私も学校に行かないと!💦」とあかりもランドセルを背負って通学路を駆け抜けた。

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