抜いちゃった(後編)
莉奈が風呂に入っている間、悶々とした時間を俺は過ごしていた。
「……ついにやるのか。一線を越えるのか」
待てよ、つまり莉奈は家に家族が居ないって分かってバナナチョコを持ってきたって、いや考えすぎか。
いけないいけない、この異常事態にこそ冷静にならなくては。
懸念する点を挙げるとすれば、初めてがすぐに終わってしまう可能性だ。それだけは避けなければならない、めちゃくちゃ気まずいし、めちゃくちゃカッコ悪い。
しかも今、ありえないぐらいアレがギンギンである。このままでは彼女が風呂を上がる前に放出してしまうだろう。
ひとまずここは一発抜いて、いやダメだ。これをしてしまうと、今日は再起不能になってしまう可能性がでてくる。
「閃いた! 妥協案、軽めに抜けば!」
◇
部屋にはたくさんの使用済みティッシュ。その隅で静かに横になっている俺の姿があった。
「ふぅ……やっちまったぜ」
左手には女装姿の真奈斗の写真。つまりそういうことである。好きな子で抜くことが出来ないタイプなのだ俺は。
アレはシナシナになったし、俺は所謂賢者モードになって、何も感じない。
「うん。どうしよっかな」
◇
台所に戻ると莉奈がタオル姿でオロオロしていた。この姿見ても何も感じないということは、本当に全てを出し切ってしまったのだろう。
「あれ、大樹~。どこに行ってたの~?」
「ああ、うん。少しな」
「じゃあ、大樹もお風呂に……」
「あのですね、なんと言いますか。今じゃないかなって」
さっきまでノリノリだった彼女はどこに行ったのか、今は困惑した表情で俺を見つめている。
「……えっ? どうして? さっきまで身体を重ねる流れだったじゃん? 目もバキバキで、獲物を狙う獣の目してたじゃん? な、なんで?」
「あはは」
「いや、あははじゃなくてね?」
「今日はもう暗いから莉奈の家まで送るよ」
彼女に服を着せた後、俺は莉奈を玄関に誘導した。
「待ってよ! 誰も居ないんだから泊まってもいいじゃん! 僕だって覚悟してきたんだよ! 勝負下着だって友達と相談して……!」
「いやでもね。男女がアレする時に装着するアレしても百%避妊できるわけじゃないじゃん」
「長いからゴムでいいでしょ。そんなこと言ってたら何も出来なくなるよ!? そもそもさ、さっきまでズボンの上からでも分かるような、ありえないぐらいデカかったじゃん! バレバレだったよ!? どうして今、引っ込んでるの!」
「あはは」
「それやめて」
そんなこんなで、無事莉奈の家の前まで彼女を連行することに成功した。
「でもさ、これからも一緒に居るんだからさ。別に今日じゃなくても良くない?」
「なんとなく思っていたけどさ。大樹もしかして自家発電してないよね? 覚悟決めた彼女を目の前にして抜いてたりしてないよね?」
「あはは」
「本当にそれやめて?」
「まあ、色々あったけど」
「勝手に締めようとしないでくれない?」
「俺は未来永劫、莉奈と一緒に居るつもりだから、今日じゃなくてもいいかなって思ってたんだけど、莉奈は違う?」
「えっ? その、それは……あはは~」
莉奈は酷く赤面した。
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