同人誌的な一幕

女装男子と僕、どっちが好きなの!?

 僕と大樹は付き合いだした。男女の仲になったともいう。


 いとこだから、ある意味では禁断の恋である。もっとも中世の王族ではよくあった話ではあるらしいのだが、今は現代だ。


 それはいいのだ。家族を納得させればいいのだから。問題は真奈斗だ。


 大樹は女装男子が好きだ。趣味についてとやかく言いたくないし、今までは黙認していたが、モヤモヤする。


 真奈斗に大樹を取られるつもりは無いが、嫉妬心はあるのだ。


「女装男子と僕、どっちが好きなの!?」


「『私と仕事、どっちが大事なの』みたいに言われても……」


 てなわけで、僕は大樹に迫っていた。その返答は、『どっちも好きだぞ!』だった。なんの疑問も含まれてない、気持ちのいい返事だった。内容に目を瞑れば。


「大樹の浮気者~!」


「推しは女装男子で、好きな子は莉奈じゃダメか?」


「大樹の言う推しと好きな子は、同じ熱量な気がするの~! もっと僕を見てよ!」


「メンヘラ莉奈もアリだな」


「僕はメンヘラじゃない~!?」


「ていうかさなんか、この怒られ方。俺の母さんを思い出すな」


「えっ……」


 大樹の母親は数年前、癌で亡くなった。発覚した時には既に末期で、施しようがなかったらしい。


 僕のママの兄の妻なため、血のつながりこそは無いけど、大樹はシンパシーを感じ取ったのかもしれない。


 大樹曰く、これでもマザコンだったらしい。彼の母親が亡くなった日に一生分泣いたと豪語するほどには。


「えっと、急にシリアスぶっ込まれても対応に困るよ~?」


「まあまあ、母さんに免じて許してくれ。これからはもっと莉奈を見るからさ」


「ずるいなぁ。まあいいけどさ~」


 大樹からそういう言葉を引き出すことには成功したが、真奈斗は危険だ。不穏分子だ。


 まったく、どうして弟を警戒しないといけないのだろう。

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