共犯
水谷メメにアドバイスを賜ったあと、その足で大樹の元に赴き、話し合いをすることにした。
「大樹ってさ。真奈斗みたいな女の子ぽい男の子が好みなの?」
「違う。断じて違う」
大樹はキッパリと言い切った後、『信仰と付き合ってみたいという感情は別だから』と豪語した。
「俺は女装男子という概念が好きなだけで、それはそれとして普通に女の子好きだよ」
「どういうこと~? 僕にはさっぱりだ……」
「異性は恋愛対象に入ってるって認識してくれたらいいよ」
信仰は女装男子と大樹は言った。推しとも呼ぶのだろうか。なんにせよ、その線引きが僕には分からなかった。僕が誰かを推すようになれば分かってくるのだろうか?
「あと、貧乳より巨乳が好きだな。って、どうしたそんな怖い顔して?」
さらっと、虎の尾を踏む大樹。僕はあからさまに不機嫌な表情を作り顔をそむけた。ぷいっした。
大樹には内緒にしているコンプレックス。貧乳はこと。
もはや、まな板に近いこれのせいで、幼い頃からよく男子と間違われてきた。
そんな環境なので、小さい頃は本気で男子と勘違いしていた故に、一人称僕は誕生した。直そうと努力はしているが長年の積み重ねは大きく、矯正は上手くいっていない。
「まあ、好きなタイプと付き合う人は違うから。外見や雰囲気とかよりも、一緒にいて安心できる、精神的に満たされる相手と俺は付き合いたい。莉奈がまさに理想の相手なんだよ」
そう大樹は言ってくれるのは嬉しい、嬉しいけど内心複雑ではあった。どっちみち僕は、大樹の理想の体型じゃないんだなという現実が。
「でもなんで俺たち、いとこなんだろな。いとこじゃなかったら大っぴらに交際できるのに」
「困るよね~。パパや奈緒、そして兄さんに付き合ってることがバレたら糾弾されるだろうし」
ママは好きな人と付き合えばいいじゃないというスタンスなので、多分大丈夫。
「結婚とまでになったら、父さんを説得しなきゃいけないの、しんどいよ。それに俺たち共通の祖父母が厄介だ」
血統は、大樹の父親と僕のママが兄弟。すなわち、僕たちには同じおじいちゃん、おばあちゃんがいる。
「前途多段だねぇ~。まあ、大樹を好きになっちゃったんだから仕方ないよね」
「最悪、駆け落ちも視野に入れてるよ」
「駆け落ち……うん。僕たちがこのまま好き同士で、家族の了承を得られなかった場合だね」
大樹はコクンと頷いた。
僕たちは今のところ共犯だ。いけない関係なのは分かっている。でもそれは前提だから、関係を諦める理由にはならない。少なくとも、僕はそう思っている。
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