第十話:水源の封鎖と、初めての防御
翌日の夕刻。
滄海
美咲は禊に言われるまでもなく、その異常を感じ取っていた。彼女の体表に、微かな水の膜が震えている。美咲が座っている部屋の床下、大地の中を流れる清浄な水流が、禁呪によって固く閉じ込められようとしているのだ。
「
「待って、
美咲は反射的に叫んだ。このままでは、訓練で使える清浄な水がすべて失われる。それは、美咲が生き残るための手段を奪われることに等しい。
「駄目です、龍神様!」
しかし、美咲の決意は固かった。彼女は装束の袖を握りしめた。
「昨日、
美咲の瞳には、かつての平凡な高校生の迷いはなかった。そこにあるのは、生きるために戦う者の強い光だ。
「…承知いたしました。この水守
美咲と
地下には、巨大な清浄な水脈が脈打っていた。その水脈の周囲には、青白い光を放つ禁呪の札が無数に貼り付けられ、水流を硬化させ、封鎖しようとしていた。
その中心に、
「美咲…!」
「間に合いましたか…!」
「清浄化(せいじょうか)!」
「邪魔をするな、水龍の臣下!」
美咲は、その一瞬の殺意の波動を、修行で身につけた『速習の剣』の能力で感じ取った。
(来る…速い!)
美咲の体が、
「避けた…だと?」
「
「龍神様、今の防御は完璧です!ですが、反撃はまだ早い!」
その時、地下水脈の上部を覆う岩盤が、突然黒い瘴気と共に崩れ落ちた。
「ふん。騒々しいな」
「
辰砂の出現により、戦場は
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