第14話
いざ、実食。
「はふはふ」
うーん、ほんのりしたレンコンの甘味しかなくてせめて塩もしくは砂糖どっちか欲しいというのが正直な気持ちだけど。
「もっちもちで、おいしぃ!」
すりおろしたレンコンに片栗粉混ぜて焼いて作る蓮根餅。
いも餅とか大根餅とかいろいろあるけど、あれ系のやつよ。
このもっちりとした食感。
そして、時折シャキシャキとレンコンのかけらがアクセントになっている。
「はぁー、お腹いっぱい」
食べ終わったらごろりと寝転ぶ。
んー、石がごろごろしてるから、ツボ押しマットみたい……。
「さすがに、板の上で寝るのはいいけど、ツボ押しマットは無理っ!」
のんびりしたいのはやまやま。 何とかしないと。
布団は無理。布がそもそもない。
じゃあ、藁を敷き詰める?
いや、現状地面からの湿気吸い放題だし、変な虫が湧きそう。
このままでは日が暮れちゃう、どうしようか。どうする?諦めてその辺で寝る?
スライムだけが脅威だなぁ。
いや、スライムがいるからオークやゴブリンがいないけど、何とか防げないかな……。
風の精霊がまた突風で飛ばしてくれるなら大丈夫かな?寝ている間にしょっちゅう飛ばされるのも大変だけど……。
「あ、そうだ、布団は無理でも、地面に寝るよりは……」
森にはたくさんの植物が生えている。
村ではそれを利用していろいろな物を作っていた。
私は木の板1枚の上に寝かされていたけれど、エルフたちはベッドで寝ている。
木で作られたベッドじゃない。
ラタンとか藤とかで編まれたベッドだ。もちろん違う植物かもしれないけど、蔦で編んであるから、硬すぎなくて布団がろくにないエルフの村ではまずまずの寝心地と言える。
「蔦ならあちこちある」
それからは時間との勝負。日が落ちるまでに間に合うかな。
蔦を集めて、池に近い森に適当な木を見つける。2本、落ちてこないように枝にかませて、40センチくらいの高さに2つの木をまたいでぐるぐると蔦を巻き付けていく。その巻き付けた横糸ならぬ2本の横蔦に、縦方向に蔦を5センチくらいの距離をとりながらぐるぐる巻いていく。それから今度は縦の蔦に、横に上下上下上下と交互に蔦を通していく。
「できたー!」
60センチ幅で150センチくらいの長さの蔦で編んだベッド風ハンモックの完成!
さっそく寝転んでみる。
ぎしりとしなって沈み込む。
「うん、壊れなさそう。まぁ、ちぎれたとしても40センチの高さから落ちるだけだから大丈夫」
「今日はこれでいい。また今度改良しよう」
すでに日は沈んで、月明かりで作業を続けていた。
「おやすみなさい」
そのままベッド風ハンモックに寝転がる。
「ああ地面より快適。でももう少し大きさ欲しいな」
頭の中で、これからのことをメモする。
土器の続きを作る。
かまどを作る。
石器を作る。
食べ物を探す。
岩塩探す。
蜂蜜も、探したいな。
蜂蜜は採取が難しいかなぁ。でも甘いもの食べたい。
甘いもの……さとうきびとか生えてないかな?
いや、甜菜でもいいな。
甜菜は、別名サトウダイコン。砂糖のように甘い大根。
まぁつまり、土の中の植物。
エルフが見向きもしない植物だ。だから、今まで知らなかっただけで、探したら見つからないかなぁ?
いや、待てよ?
レンコンも前世のものよりも細かった。
現代のレンコンは太くて食べ応えがあるように品種改良されているらしい。
甜菜もそうだ。原種は、ビートだとか。砂糖が作れるって分かってから品種改良して現代の甜菜になっているらしい。でもって、大根の仲間じゃなくてフダンソウの仲間。フダンソウはホウレンソウみたいに葉っぱを食べるる野菜で……。
「なるほど。ほうれん草みたいに葉っぱが食べられそうな植物の地下に、お宝は眠って……」
眠って……。
眠い……おやすみなさい。
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