照明会社でバイトして最高の女性に出会えましたが巨漢の五十代先輩に奪われそうです!
戸羽主任
第1話 石田加奈さんと出会いました
舞台照明チーフらがバトンを降ろしてやろうかと言ってる。
だがしばらくまだ俺は粘ってうなっている。
二十歳の見習い照明技師としてはまだ納得がいっていない。
ああでもない、こうでもないといじったあげく光は予想外の方向に回っている。
「そっち違った!」
「また変わる!」
ああ照明を歌にするならきっと題名は「動かざる蓋」だ。
「灯体の羽根」「エリスポ」「トレーシングペーパー」
抑え込まずに、いじりすぎずにうまくやりすごす。
「赤ゼラで色つけたら?」
金星が夕空に浮かぶテクニック。
主人公のせつない心境の表現。
羽根と光量でしぼり、たたみ、なんとか距離と広がりを。
ようやく壁穴の光がちゃんとした星のように見えてきた。
「これで良くないか?所長に見てもらおうか。」
「あっ!そこの人物!」とチーフが叫ぶ。
入口側の所に若い女の子が立っている。
チーフが慌ててバトンを止めた。
「そこよけて!」と声をかける。
その女の子はびっくりしてとびのいた。
金星が隠れてしまった。
「ああそっちじゃない!」
こっち?あっち?と女の子は指差しながらまどってついに笑っている。
そのままとどめておいて最後にちょっとだけ羽根を叩いた。
「心地悪くない」
OKが出て終了
「何か用?」と俺は彼女に尋ねた。
「い、いえ。」驚いてこちらを振り向いた顔は、女優さんでも驚かない、
長い髪の毛できちっとした姿勢の美人。自分が石田加奈だと名乗ったあと、
「西川さんはいらっしゃいますか?」と聞いてきた。
「西川さん?」俺は少し考えた。
「西川さんってあの、大きな?」
「そう、です。」とその娘は言った。
西川さんというのは白髪頭のとにかく体の大きな五十がらみのベテランチーフだ。
「あ、今、照明をしこみおわってすぐおりてくるとおもうよ。」
階段のある方を指さした。
「君は?」
「え、私は。」少し悩んでいった。
「西川の家族のものなんですが。」
「へえ。」と俺は言ったが、名前が違う。「娘さん?」
「ええ、いえ、そうではないんですが、あの親戚で。」とおどおどと言った。
俺はその物置に入って、明かりを付けた。
「待ってるといいよ。すぐにあかりをつけるから。」
彼女はしばらく周りを見渡していたが電灯の下で見ても凄い美人だ
「君はどこの人なの。」俺は、軍手を外しながら聞いてみた。
「ええと、富山の方です。あの付近の。」と言った。
「何しに来たの?」
「いや、ここで、人を紹介してくれるというので。」
「何の?」
「お見合いの。」
驚いてしまった。こんな若くてお見合いなのだ。見知らぬ誰かといきなり結婚するのだ。
「お見合い・・・」
「ヘンですよね。いきなり」と彼女は少し笑った。
よく見ると、化粧をしているが自分と同じ二十歳そこそこに見えた。
「座ってれば。」と俺は椅子をだした。
化粧の独特な匂いがした。
「見合いっていうのは、その、ここの人間?」
「そう聞いてますけど。」
「誰だろう。」俺は口に出して考えた。彼女が俺の顔を覗き込んだ。誰かが気になるの
だろう、でもその端正な顔と、瞳に見つめられ、その真剣さにドギマギしてしまった
それで思わず「君は美人だね。」と言ってしまった。
彼女は真っ赤っかになった。
「いや、ほんと。」俺まで真っ赤っかになった。それぎり話は出来なくなった。
降りてきた巨漢チーフの西川先輩は汗をかきかき彼女を見て慌てた。喉がつかえて声が出ない。
「よろしい よろしい、あとよろしく頼む」とようやく言い、娘をつれ慌てて外へ出た。
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