第27話 ダンジョン最奥はバグっていた ― 古代精霊(?)との遭遇
遺跡の奥へ進むほど、空気がひんやりしていく。
石壁には青い紋様がゆっくりと脈打ち、
まるで生き物みたいだった。
「なあミナ。これ……絶対なんか出るやつだろ?」
『観測上、敵性反応は――』
「出るんすね! よっしゃ、任せろっす!」
ジロウが胸をドンと叩いた。
『――ゼロです。』
「ゼロかよ!」
踏み込んだ先――
そこは意外にも、広い円形の部屋だった。
中央には、ぷよぷよした透明の
球体がぽつんと浮かんでいた。
「……おいミナ、スライムか?」
『いえ。古代制御精霊の可能性が――』
その瞬間、球体が震えた。
「ピィ……」
「鳴いた!?」
「かわいいっすねリクさん!
ペットにしましょう!!」
「いや絶対違うだろ!」
球体……いや精霊(仮)は、ぷるぷる震えながら
リクの足元をぐるぐる回り始めた。
『反応解析……好意的です。
あなたを“管理者”と認識したようです。』
「管理者!? 俺、ダンジョンの
管理者になっちまったのか!?」
ジロウが叫んだ。
「最強じゃないっすかリクさん!
人生裏ステージ入ったっす!!」
「やかましいわ!」
精霊(仮)が光を放つ。
部屋全体の紋様がすーっと消えていき、
遺跡が静かになった。
『遺跡のエネルギー出力、停止。
外部への影響もゼロになりました。』
「つまり……クリア、ってことか?」
『はい。ダンジョン攻略です。』
ジロウが両手を挙げて喜んだ。
「やったあーー!! 初ダンジョン! 初クリア!!
いやぁ異世界って最高っすねぇ!!」
「お前、ほとんど何もしてねぇだろ。」
「テンション担当っすよ!」
『実績解除:“ポンコツ三人旅、
はじめての遺跡クリア”』
「ミナ、その称号やめろ!!」
精霊(仮)がリクの膝にくっついて「ピィ」と鳴いた。
「……ついて来たいのか?」
『おそらく。観測波形がリクに同期しています。』
「名前……どうするっすか?」
「えっ俺が決めるの?」
「管理者っすよ?」
「やめろその肩書き!」
少し考えてから、リクは笑った。
「じゃあ……“ピィ”。」
「そのまんま!!」
『登録完了。ユニット名:ピィ。』
精霊(仮)は嬉しそうに弾んだ。
⸻
遺跡の出口が光に包まれる。
「よし、帰るぞ。
冒険は……まだまだ、これからだ。」
ミナがゆるく光りながら言った。
『次の目的地――村の“感謝祭”が設定されています。』
「え、感謝祭?」
「遺跡止めたから、英雄っすよリクさん!!」
「いやいやいや、そんな大げさな――」
と、言いながらも少しニヤけるリク。
ピィが肩に乗り、ミナが微笑むように揺れ、
ジロウは相変わらずテンションMAX。
そして三人+1匹は、朝日のさす草原へ歩き出した。
⸻
冒険は、笑ってる方がちょうどいい。
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