第2話 クッションバイト

さて、やると決めたまではいいが家族にはどう説明しようか。

行くのは単身なんだが、ハッキリ言ってまともな仕事じゃねぇ。

事故物件ったら人がピーされたり、ピーしたり、ピーな事件があったりした場所だろう。

怨念が籠ってたりヤバい蟲が湧いて来たり幽霊なんかも出てきたりするイメージしかない。


怖いかって?全く怖くない。

寧ろ何か出てきたら倒せばいいくらいにしか考えてない。

困るとしたら突然の停電とか水が腐って飲めないとかぐらいなんじゃ?

『はぁ、妻になんて言おう』


こんなうだつの上がらないおっさんにも一応嫁に来てくれる奇特な人は居る。

転落人生を歩み出す前も入れれば今の嫁さんで四人目、、、つまりバツ3。

どうしてそんなにバツがついてるかって?

んなもん、一回目の時の嫁が浮気して別れてから、ダークサイド落ちして、女を口説く付き合う即同棲、結婚って考え無しな事を繰り返しただけだ。

フツメン以下でもやりようによっちゃ結婚くらいはできるさ、問題は継続、飽き性って訳じゃないけど何か違うって感じたらもう無理なんだ。

自分でも呆れるクズっぷり。

っと、家に着いちまった。マジでなんて言おう??適当でいいかもう。

『ただいまー、仕事?みたいなもん決まったわ』

「おかえりなさい。ホントに??」

久々妻の顔を真っ直ぐみた気がする。

『あぁ、ちとわけアリな物件に寝泊まりするだけの仕事だ、もちろん俺一人で行くけどな。』

この一言にあからさまに警戒心丸出しの妻。

「大丈夫なとこなの??」

『んま、こんな仕事俺じゃなきゃ出来んだろ?』

「そうだろうけど、、、、いつから行くの?」

『四月の十五日からだな』

「すぐじゃん、なんか必要なのとかある?」

『着替えと身体ひとつで行くわ、守秘義務契約ってぇもん結んだから詳しくは言えんけどね』


ごめんね、ヘタこいたら俺は多分帰って来れないなんて言えんよ。


『じゃあ、準備するから』



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