第9話 遠過ぎる幸せ

関水を結婚式の二次会、三次会へ送迎した後、孤独な車内で、式場で見た幸せそうな夫婦を思い出していた。

--俺は今後、結婚できるのだろうか?幸せそうだな。いいな。俺何してるんだろ。就職有利にする為に部活入ったけど、こんな生活してて、就職なんてできる気がしない。


...一生奴隷かな。


そんな事を考えてる内に関水が戻ってきた。

関水「じゃあ、帰るか。俺眠いから寝るわ。」

関水「寝るからラジオとか付けるなよ。」

「...わかりました。」


連日の疲労からか意識が朦朧としていた。静寂な世界で、助手席から聞こえるいびきが眠気を誘った。


前の信号が赤信号に変わった。俺は信号が変わった事に気づかなかった。そして、そのまま交差点に入ってしまった。


ブーー!

クラクションが鳴り響く。我に帰りハンドルを右に切り、寸前のところで衝突を免れた。


--はぁ、助かった。

安堵した瞬間、助手席から裏拳が飛んできた。鼻から一気に血が吹き出した。


関水「俺を殺す気か?お前いい加減にしろよ!いいから車出せ!」

また、関水は眠りについた。


血と涙でぐちゃぐちゃになりながらハンドルを握る俺を、月灯りは残酷にも照らしていた...

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