俳句と散文 「星流る」
よひら
流れ星地平線には農夫の背
これで今日の作業は終了だ!
班長の声が遠くでした途端に笛の音
ようやく終わったと心の中で呟く
強制収容所の労役といえども冬の寒さには勝てない
いや、極寒の夜まで作業をなびかせても結局囚人は疲弊し、
収容所側にもメリットがない、それだけだ
班長の声に従って宿舎までだらけた整列をしてトボトボと歩く
急激な空腹感
しかし収容所の食事がどんなものかは、この半年で体重が10キロ落ちたことでもわかろうというものだ
気分を変えようと違うことに考えを巡らす
サンクトペテルブルクからの手紙が今日は届いているかな、
と、ありもしない想像を巡らす(誰から手紙が来るというのだ)、
昔の同志は、みなさっさと転向して、暖かい部屋でぬくぬくと過ごしているか、いつ摘発されるか分からないという恐怖でおびえているか、どちらかであろう、全く一人ババをひいちまったもんだドジ
ふとわれにかえって周囲を見回す
今宿舎に向かって歩いている囚人たちはおおよそ30人くらいか、
人殺し、強盗、窃盗、性犯罪、などの物的な暴力犯から、詐欺等の知能犯、それに俺のような政治犯までごちゃまぜになっている
肉体は疲労困憊しているのだが、意識があちこちに飛んでいる
そのときだった
目もくらむような閃光で、暗かった夜が白昼のように光に照らされたと思ったとたんにヒュルヒュルヒュルヒュルヒュル〜〜〜!という落下物の音、
ふせろ〜〜〜〜〜!
と班長の絶叫
反射的に地面に倒れ込み、頭と耳の穴を指でふさぎ、口を半開きにして爆風に備える
どっか〜〜〜〜〜〜ん!!!!!という大爆音、大爆風、砂埃
爆撃?
クリミアでの戦闘状態は知っているが、このシベリアの大地の遥か彼方に爆撃なんてあるわけがない、すると飛行機かヘリの墜落か?
続く(Cont.)
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