キラシャの恋の物語
KINさん
第1章 未来社会 ① ドームの世界
未来のドーム社会
そこで暮らす人たちは 何を楽しんで
どう暮らしているのでしょうか?
―未来の地球―
あらゆる街が、繰り返される紛争や戦争、山火事、温暖化による海水面の上昇、豪雨、地震による津波などによって破壊され、荒廃した時代もあった。
その後、古い建物を壊して整地し、空気のない宇宙でも暮らせる建物をと、いろんな場所でいろんな形に建設されたドームが、お互いにつながり合って繁栄した。
理想の生活を目指すユートピア・エリアや、自由な生活を目指すフリーダム・エリアなど、2つのタイプのエリアが、その時代の経済活動をリードしていた。
宇宙開発に貪欲なエリアや、食料の増産や技術開発に意欲的なエリアが、必要とされる物資の供給を行い、生活を支えている。
いろんな民族が共存するアフカ・エリア、多数の民族が入り混じったオリエント・エリア。
民族間の階級の厳しいヒンディ・エリアなど。
これら民族の違いが、また新たなエリアを生み出し、エリア内にも外にも、貧富の差はさまざまに広がっていた。
特徴を生かした小さなエリアも点在し、周りのエリアと経済や技術を提携し合って、共存共栄を図っている。
キラシャの暮らすドームは、北半球の小さなエリアにある。
何度も地震や火山の爆発などに見舞われながら、長い年月に位置を移動し、形を変えて、成り立ってきた島のエリアである。
磁力の働きが強いのが特徴で、マグネティック・フィールド、MFi―エムフィ・エリアと呼ばれている。
エムフィ・エリアは、点々とした島のドームで成り立っているが、ごく微小なマシンを駆使した医療技術の発達で、先進エリアと認められるようになっていた。
もうすぐ11歳になるキラシャは、ドームのスクールで、クラスの男の子と仮想空間でのアクション・ゲームや、未来のスポーツを楽しんでいる。
クラスの中でもとびきり元気なキラシャは、冒険好きな男の子とドームから外に出たくて、ドームの外へ出る許可証を取ろうと、午後の厳しい訓練に参加していた。
ドーム内の澄んだ空気に慣れてしまった未来人。
特殊なマスクをつけないでドームから出てしまうと、呼吸をしても外の空気の成分がうまく身体に取り込めず、倒れてしまう人もいる。
このため、調整された空気しか知らない子供達は、訓練しないでドームの外へ出ることを禁止されている。
スクールの行事や競技のために、ドームの外に出る生徒もいるが、訓練後の許可証が発行されないと参加が認められない。
見慣れた植物や動物ばかりのドームに、たいくつしていたキラシャは、まだ自分の目で見たことがない、自然に満ち溢れた広い外の世界に、人並み以上のあこがれを抱いていた。
子供の家では、大勢の子供達が、にぎやかな日常生活を繰り広げ、平日は子供の家で生活し、土曜・日曜の休日は保護者の所でホームステイする。
もっとも、子供の保護者は、血のつながった親ばかりではない。
休日に子供を引き取る実の親は年々減り、子供を育てることで、その成長を楽しみにする代理の保護者が多い。
キラシャは、休日になると、冒険好きな友達や年下の子を引き連れて、外海で船長をしていたおじいさんの冒険話を聞きに、”ケア・ホーム”へ通った。
おじいさんのお話は ドームの生活では 見ることのできない世界だ。
子供達は目を輝かして 初めて聞く話に夢中になった。
その子供達の多くは、自分のおじいさんや、自分の両親が誰なのかも知らない。
このドームの最上階には、子供が学ぶスクールと、寝泊りする子供の家と、病気やケガの時に利用する病院が併設している。
同じ階には、スクールでの学習に役立つ博物館や歴史館、さまざまなアート・ミュージック・ダンス・ミュージカル・ドラマ・カラオケなどを楽しむ施設もある。
子供達が楽しんで遊べる仮想空間もある。
例えば、子供達がゲームの中に入り込んで、謎を解き、恋をして、仲間を作って、みんなで敵を倒して得点をゲットして、新たなストーリーを作り出す。
また、未来に進化した、多くのスポーツの練習場や試合会場もある。
ここは子供だけでなく、大人も楽しんで利用できるから、仕事を終えた夕方から夜まで、多くの人に趣味を通じた出会いを提供している。
スポーツや趣味で知り合って、結婚を決める人達が大勢いるので、現代のように出会いがないから結婚できないという問題は、解決されているようだ。
ただ、その出会いが結婚に結びつくかは、ケース・バイ・ケースだ…
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