第26話:中枢神経系⑥


シーナ剣術と日ノ国剣術。


技としての現れ方・表現する流儀が違うだけで、その深奥――中枢にある本質部分は、シーナ剣術も日ノ国剣術も同じなのかもしれない。




――オウカは、日ノ国刀を振る。


戦闘訓練ということも忘れ、ひたすらに日ノ国刀と対話しているかのように。


時の流れも忘れて、無心で日ノ国刀を振り続けている。




シーナ武術と日ノ国武術が、自分の中で融合を始める――


――いずれ、自分の流儀を生み出すための準備段階にあることを、体感的に自覚しているのかもしれない。




――懐かしさを、感じる。


いつ以来だろう、こんな感情は。


心の底から、衝動が こみ上げてくる。




――無邪気な少女の様な 微笑みを浮かべるオウカの顔を、朝日が照らしていた。






――”小悪で反応をうかがい、大悪の実行の可否を判断”


個人レベルでも組織レベルでも、日常的に行使されている事だ。


そして、国家レベルでも。




――だが、その様な 小悪による査定 の段階はとうに過ぎている


小悪は、北夕鮮にとって大悪実行の大義名分を得る為の、火種。


北夕鮮による大悪実行は、計画者にとって ”その先” への、布石。




巨大な悪意に、突き動かされ──


”世界最悪 独裁国家” 北夕鮮は、本格的な日ノ国侵攻を秘密裏に決定していた。


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