サバイバー
@perushan
あの日
家を出たとき、
あの家のドアを閉める音が、
まるで自分の命を守るための最後の合図みたいに感じた。
「逃げた」んじゃなくて、
「生き延びた」んだ。
あのままだったら、自分が自分でなくなってしまっていたから。
親のことを憎んでいるわけじゃない。
むしろ、今も心のどこかで「わかってほしかった」と思っている。
でも、もう同じ形で関わることはできない。
あの頃に戻ることは、もうできないんだ。
ときどき夢に見る。
親が年を取って、小さくなって、
私の名前を呼ぶ夢。
そのたびに、胸の奥が痛くて、
でもどうしても電話ができない。
“戻ったらまた壊れてしまう”って、
体が覚えてるから。
たぶん、親は悪気がなかった。
でも、悪意がなくても人は人を傷つける。
そして子どもは、
その傷をずっと抱えて生きる。
それでもね、
私はあなたに感謝してる部分もあるんだ。
生きる力をくれたこと、
逃げても生きていいって、今なら思えるようになったこと。
それは確かに、あなたの血を引いてるから。
だから、
もう会わなくてもいいかもしれない。
でも、
あなたがどこかで静かに幸せでいてくれたらいい。
それだけで、
少しだけ心が軽くなる。
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