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柚月なぎ

第一章 ようこそ幽世へ

■ 幽世への誘い



 幽世かくりよ

 永久に変わらない神域。


 かつて人間ひとの世に棲んでいたひとならざるモノたちは、時代がすすむとともに共存できなくなり、やがて現世うつしよを離れてこちら側へと移住してきた。


 数百年以上前から、この幽世ではあやかしや八百万やおよろずの神々が人間ひとのように暮らしており、他にも龍神やら有名な神様やらが存在しているらしいが、それらは滅多に姿を見せることはない。


 永久という意味から死後のセカイでもある幽世。天界と黄泉の国、どちらにも通じる道があり、神と名の付くものたちがふらりと立ち寄ることも稀にある。中には天界には戻らずに留まる者も存在し、真の姿を偽って、幽世での暮らしを各々楽しんでいるようだ。


 曖昧な境界にある狭間のセカイ。


 当然、この神域内に普通の人間、ましてや"普通の男子高校生"がやってくることなど、絶対にあり得ない。あり得ない、はずだった―――。



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