第63話 島津斉宣
「其方達はオランダ人では無いと聞いたが誠か?」
島津斉宣がディエゴに問う
「あ〜、私はポルトガル人で、こちらの船長はアメリカ人、学者女史はエスパニア人で後ろの護衛はブリタニア人とアメリカ原住民になります」
唯一ジパング語の話せるディエゴが代表して答えるが、斉宣はそもそも中年男性のディエゴこそが、ピラータ一達の代表責任者だと勘違いしていた
以下の会話は基本的にディエゴが通訳している
「では、あの船は一体何処の国の船なのか?」
「アタシ達は何処の国にも属さない自由な海賊さ」
「自由とな?」
「アタシ達には海こそが故郷、船が我が家、船に居る仲間は全員家族さ!船乗りの大半はアフリカ人だし、フランス人も乗ってる」
「ほう …… 海を
「ディエゴ、ローニンって何?」
「仕えるべき主を持てない侍の呼び名ですよ」
「それって強いの?」
「統治者の率いる軍隊との戦争では、あまり役には立ちませんね」
「何だ、じゃあアタシ達の方が強いじゃん」
「なに、侍より強いと申すか?」
「アタシ達は自分の意思で、『誰か』に仕える事を選ばない自由人よ、仕える事が出来ない出来損ないと一緒にしないで欲しいわね?アタシが合図したら、この城を瓦礫の山に変えられるわよ?」
ピラータが得意のハッタリをかます
実際に鹿児島港に停泊中の船からこの城まで砲弾は届くが、自分も巻き添えに攻撃するほどバカでは無い
「それでは其方も死んでしまうでは無いか?」
「だから、そうしない意味を考えなさいって言いたいんだけど?」
「ふむ … あくまでも平和的交渉が望みであるか」
斉宣はこの時、若干16歳
「ディエゴとやら、先ほどからこの女子は随分と偉そうな口を効くが、一体何者なのだ?」
「ピラータは『アン王女の復讐号』の船長であり、我等海賊団のリーダーです」
「なんと!この様な小さきオナゴが其方等の主君であると!?」
ディエゴが通訳しなくても、何となくバカにされた気がしてピラータは斉宣を睨みつける
ジパングに上陸してから、ずっと感じていたのは、この国では男が女より上に立ちたがる変な意識に凝り固まっている国だと言う違和感だ
実際には男は女を蔑ろにするのでは無く、女子供を大切にし、女は男を支えているのだが、政治に関しては武士が独占している為に、女性が口を出す事は無い
斉宣としては集団のリーダーが少女である事実が信じられなかった
「おい、テメーだってガキじゃ無えか?アタシをバカにするならこの街を焼き払っても良いんだよ!?」
ディエゴは流石にそのままを訳せず言葉を濁して誤魔化そうとしたが、若い斉宣はピラータの言いたい事を直感で見抜く
「言うたな!?出来るものならヤッてみるが良い!」
そう言い放って斉宣が立ち上がると、小姓が掛けて在った槍を手渡し、隣室や通路に控えていた武士達が襖を開け放ち一斉に抜刀する
アルケが聖剣を構え、ティチャナバもトマホークを手に立ち上がる
ピラータも両手にペッパーボックスを構え、斉宣に向けるが
「何だその短筒は?火縄に火すら着いて居らぬではないか」
火縄銃しか知らない斉宣が嘲笑うと、ピラータは斉宣の頭上、後ろの壁に向かって一気に8連射して見せた
ダダダダダダダダンッッ!!!
撃ち尽くした2丁を捨てると、ホルスターから別の2丁を抜いて今度は斉宣を狙う
斉宣は撃てる筈が無いと思い込んでいたペッパーボックスに、しかも怒涛の8連射をされて呆気に取られ文字通り腰を抜かした
「なっ、何だその鉄砲は!?一体何なのだ?」
「全員動くなよ?アンタ等の大将が蜂の巣に為るぜ!!」
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