第12話奮戦、昆虫師団

「まったくコテっちゃんは…」

重戦艦ウォーシップ【ネメシス】の司令塔ブリッジフネの指揮を取りながら薔薇の特性シルエットを身に宿すアカネは愚痴を溢す、コテツは昆虫師団を立ち上げ纏める間違いない師団長リーダーではあるものの、その性格上あまり全体指揮や管理職に向いていない気質な為(現場指揮ではそこそこ優秀ではある)、名目上はアカネが昆虫師団の指揮官と云う事になっている

とは云え不得意な仕事に変に口出しするよりも、出来る仲間に任せると云うのは決して間違いではない、問題はソレ等雑務を押し付けて師団長の立場の者が戦場で好き勝手暴れている事であるが…

「困ったもんね?」

そう呟きながら今も激戦が繰り広げられている【ノア】の甲板の映像ビジョンに目を移す、口では色々と言うがコテツの実力を疑う生徒せんし等昆虫師団どころかダークアクシズ内でも殆どいない、それ故に好き勝手もある程度許容されているのだ


輸送探査戦艦【ノア】の艦上は絶賛激戦の真っ只中である、夢見ヶ丘生徒イレギュラーハンターダークアクシズ両陣営による激突で激しい火花を散らしている

「のり子、俺等が援護するからなんとか外壁を破って艦内に潜り込め!」

コテツの怒号が飛ぶ、しかしそこに次々と攻撃が飛んで来る、夢見ヶ丘イレギュラーハンター大総統、若松都が参戦したのだ

目標複数捕捉ターゲットマルチロックオン一斉射撃フルバースト!!」

次の瞬間、数で圧倒していたはずのダークアクシズの生徒せんし達があり得ない速さで連続して撃破される、大総統は複数の敵を同時に捕捉ロックオンしてその動きを先読み計算しつつ撃破する、単騎で戦況を打開出来る程の凄まじい攻撃力を有しているのだ

情報ウワサでは聞いていたがマジか、みんな動き回って狙いをつけさせるな!」

この状況ではそれしかない、目の前で最硬の防御能力を持った黒硬象虫クロカタゾウムシ特質モチーフを宿す生徒せんしであるダークアクシズ装硬兵のジンでさえも防御を突破されて損傷ダメージを負っている

「どこを見ている!」

しかし無駄に動き回ると云う事はその分スキが生じる可能性が高まるもの、大総統の副官のアイアンによる無駄の無い適確な射撃で動き終わりのスキを突かれてまた数体の生徒せんしが爆散して逝く

「想定以上か夢見ヶ丘イレギュラーハンター、しかし俺達も手ぶらじゃ帰れねぇ!」

信賞必罰を掲げる以上はここで何の成果も無く敗走したと有っては重罰は確実である、部下達の為にも目に見える成果をなんとしても挙げなくてはならない


一転して窮地に陥る昆虫師団、しかし彼女達も幾つもの窮地を突破して来た猛者揃いである、極限状態に有っても死地を前に恐れを抱く生徒せんしは一体たりとて存在しない

「ジンくん、立てるかい?」

仲間意識チームワークが希薄なダークアクシズに於いて撃ち抜かれた同胞を気遣うのはコテツの右腕を務めるダークアクシズ特殊戦闘兵のナミダである、精鋭部隊スエサイドチームである深紅の暗殺部隊レッドポイズンを率いる実力者エースである

「大丈夫、平気」

男声と間違うような低音で話すのは先程大総統の攻撃で防御を貫かれたジンである、彼女は元居た部隊チーム夢見ヶ丘生徒イレギュラーハンターとの戦闘で壊滅し、コテツに拾われて部隊チーム入りした過去を持つ

「このまま、終われない!」

恩を返さずして命の源泉オールスパークには還れない、昆虫師団の奮戦が始まる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る