第4話杉沢村生徒生産工場

ガーベラが犬鳴村の戦いで指揮を執っている頃、髑髏ドクロの形をした岩と所々色が剥げ落ちた朽ちかけた鳥居の下に存在するとある小さな集落、その名を杉沢村と云う(因みに途中に有る『ここより先に入る者、命の保証はない』と云うバレバレな看板は夢見ヶ丘生徒イレギュラーハンターに発見されない為に撤去した)其処に金色のカールのツインテールをした高身長の女性が鳥居を潜ってゆっくりとした足取りで村に向かって歩を進める

漆黒の腕が無数に生えた異形な姿をしたこの女性こそ多腕の格闘家の二つ名を持つ異名持ちネームドのダークアクシズ遊撃兵エリナである

少し前は夜間しか村に入れ無かったのだが、ダークアクシズの誇る科学技術を用いた空間転移門テレポートゲートの技術を応用した鳥居ゲート作成クラフトで昼夜問わず侵入が可能になったのである

「ハルオさん、進捗は如何でしょうか?」

かつて虐殺の血が着いていた小屋も今やすっかり改装カスタマイズされて機械的メカニカル工場地帯プラントエリアへと変貌を遂げていた

「ヌフ?エリナ殿ではゴザラヌか!久方ぶりでゴザルな!!」

「いえ、まだ十一日ぶりですが…」

エリナは瞬間永久記憶能力エターナルノンストップインプットを生来から備えているので正確無比な永久記憶エターナルログが可能なのだ

「ムフフ、細かい事は良いではゴザラヌか、朋あり遠方より来る、というヤツでゴザルなあ?進捗はイイヨォ?此処は都市伝説に拠るウワサの流布のお陰で心霊ざいりょうがいっぱいでゴザルとも」

魂を加工して生徒せんしの命である生命スパーク生産クラフト出来るならば心霊スポットに秘密の工場シークレットプラントを建てれば沢山の迷える子羊タマシイ、即ち幽霊を確保して生命スパークを大量生産して軍事力の拡充が可能なのではないか?そう考えたハルオは自身の配下である浦安みつりん機甲師団総出で青森中の森林地帯を大規模捜索する事で噂に聞く杉沢村を発見したのである

「ヌフフフ、そうしてこの杉沢村に空間転移ディメンションゲートを拓いて蔓延る亡霊レイス達を捕獲キャプチャーして生命スパーク加工カスタムする工場プラントを建てた、というワケでゴザルよ?」

「まあ、とても素敵な企てですわ、大幹部の皆様もとても喜びです」

普通に現世を彷徨う哀れな幽霊タマシイを強制的に捕獲してあろう事かソレを生命スパーク作成クラフトの為の素材にして、生徒せんし生命スパークの増産と云う控えめに言っても命を弄ぶ腐れ外道な行いをしている狂気の科学者チョコレヰトヤツなのだがエリナはまるで自慢の息子を褒めるが如く無邪気に喜んでいる

糾弾者ツッコミ不在の独裁政権きょうふとは正にこの事を云うのだろうか…狂った生徒イレギュラー同士の為か馬が合うようだ(類は友を呼ぶと云うヤツである)

「ヌハ、そう言えばガーベラ殿が何やら準備をしていると聞いているでオジャルが?」

ハルオの言う準備とは現在行なわれている犬鳴村襲撃作戦の事である、しかし情報が古い、既に襲撃は開始されている真っ最中である

「嗚呼その事案は既に実行に移っておりますわ、それよりも、わたくしがこちらに参りましたのは最高幹部達の間で会合がありまして、ハルオさんも今回の成果報告に参加するようにと」

つまり要約するとそろそろ結果を報告に顔出せと云う事である、研究に没頭するあまり成果報告を長い間蔑ろにしていた為の注意喚起である

「フムフム了解でゴザルぞ?最高の報告を楽しみにしておいて欲しいと、伝えてもらえるでオジャルかな?」

悪びれる様子はないがいつもの事なのかエリナは笑顔で「勿論ですわ」と答える、ダークアクシズ最高幹部が集結しようとしていた

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