第5話 事実を知る。

おっさんとヒヨと俺で2階へ上がり、順番に部屋を見て行くと3つ目の最後の部屋の隅に、スーツを着たサラリーマン風の男が立っているのを発見。

ヒヨは、普通の死霊相手に魔力をぶつけて良いのか悩む。

俺が念話でヒヨに、話しを聞いてみたら良いと言うと念話で話を始めた。


その間俺はおっさんに、サラリーマン風の男が居る事を説明。


「なぜうちに?」


そこでヒヨが。


「ただ居心地が良いからだってさ」

「子供も話しが出来るとは凄い。だが本当なのか私には分からんからな」


だろうね。

逆の立場なら俺でも半信半疑だろう。

おっさんも視えるように出来たら良いんだけど……あっ。


「ちょっと失礼」

「何をする気だ?」


おっさんの後ろに回り、背中に手を添える。

本当は添えなくてもいいが、それっぽく見せるためだ。

俺は念話の応用でおっさんに視えてるものを共有し、サラリーマンが言ってる事を聞かせる。


『……それでたまたまここに流れ着いて居心地が良いので、居座ってました』

「っ!?」

「視えてるし聞こえてるだろ?」


おっさんはサラリーマンを視ながら言う。


「これが幽霊……他人に見せる事が出来るとは……さっさとこの霊を祓ってくれ」

「ヒナ」


ヒヨは頷きサラリーマンに今すぐ他所へ行くように念話で伝えると男は、頭を下げてスッと姿を消した。


「消えた……」

「他の部屋にはもう居ないから問題無い」


おっさんから手を離しながら言うとおっさんは、微妙な表情をしながら下へ戻る事に。

階段を下りようとしてふと上に気配を感じたので、ヒヨと俺が見上げると天井に、おっさんの右肩に憑いてたようなモノが数匹居たので、ヒヨが魔力弾を飛ばして消滅させる。


『おお、魔力だけで倒せるのは楽だね』

『悪霊の類は、魔力で消滅させられるっぽいな』

『異世界にはあんな存在居なかったのに、何で日本にあんなのが居るんだろ?』

『地球特有の存在かもな』


異世界にも特有の魔物は居たし、地球にも他の世界に存在しない生物が居ても不思議ではない。

念話で会話をしながらおっさんに付いてリビングに戻り、ソファに座るとおっさんが。


「もうすぐで用意出来る。それまでゆっくり寛いでいてくれ」

「じゃあそうさせてもらうよ」

「あっ、お手洗い貸して?」


おっさんが若いスーツの男を見ると頷き。


「こちらです」


ヒヨがソファから降りてその男に付いて行き、リビングにおっさんと2人のスーツ男、そして俺だけになったところでおっさんが口を開く。


「君達は外人か?」


種族的には外人だけど、中身は日本人なんだよなぁ。


「日本人だけど? 佐藤康太って名乗っただろ」

「フッ、偽名というのはすぐ分かる」


康太は本名なんだけど?

こいつらに身分証を用意してもらう……のは無理か。

今後何かするにも身分証は必要になる。

さて、どうしたものか……東京に行ってから考えよう。

なんて話をしてるとヒヨが戻って来ると同時に、家を出て行ったスーツ男が帰って来てリビングに来ると、懐から分厚い茶封筒を取り出しおっさんに渡す。


「ほら、約束の100万だ」


更に男がポケットからチケットを取り出しテーブルに置く。


「これは羽田までの航空チケットだ」

「飛行機か」

「最短で行くには飛行機だからな」

「今日の?」

「残念ながら今日は既に埋まってた。これは明日の朝7時の便だ」

「どうも……」


お礼を言ってお金とチケットをポケットに入れるフリをして収納。

すると一緒に出て行った別の男が、スマホを2台テーブルに置く。


「おお、スマホ」

「俺の連絡先だけ入れてある」

「なぜ?」

「金をまた売りたくなったら連絡しろ」


もう連絡する事は無いと思うけど。


「まあ、売りたくなったらね」


スマホを取り、1台をヒヨに渡す。


「あっ、空港ってどうやって行けば良い?」

「明日の朝、車で送ってやる」

「この辺りにビジネスホテルってある?」

「今日はうちに泊まれば良い」


とおっさんが言う。


「良いのか?」

「ああ、先程の礼も兼ねてな」


除霊の事ね。

なら明日の朝までお世話になると伝えると、数人の男達は家を出て行く。


「そう言えばあんたの名前を聞いても?」


黒スーツに聞く。

真眼で視てるので知ってるけどな。


「俺は『志村』だ」

「志村ね。後藤さんの部下?」

「ああ、護衛も兼ねて雇われてる」

「つまりカタギじゃないと」

「まあ……」

「えっ!?」


そこでヒヨが声を出したので見ると、スマホを見て驚いていた。

すると念話で。


『8年前の記事を見て!』


と言うので俺もスマホで『8年前 GFW』で検索すると、最初に出た項目が。


『フルダイブ型VRMMOの全プレイヤーが行方不明に!?』

「はっ?」

「どうした?」


おっさんに聞かれたので。


「8年前、プレイヤーが行方不明(・・・・)ってどういう事?」

「あれか……私の妻と息子もそれで行方不明になったんだ」


そう言って暗い表情をするおっさん。

行方不明?

俺達はゲームの中から異世界に飛ばされた。

ならこちらの身体は残ってるもんだと思ってたけど、地球にあった身体も消えたって事か?

なぜ?

身体はどこに消えた?


『キジ君、私達の身体はたぶん、異世界に転移した時の器になったんじゃないかな?』


とヒヨがスマホを見ながら念話で言う。

器になったって……。


『地球の身体がこのキジ丸の身体になったって事か?』

『たぶんだけどね。だってデータでしかない私達が、現実に存在するには肉体が必要でしょ? その肉体はどこから来たのかずっと疑問に思ってたけど、もし地球の身体が器として使われてたなら納得出来る』


確かにそれは俺も思ってた。

データだけの俺達がなぜ現実に存在してるのか?

てっきり神的な何かの力で造られた身体だと思ってたけど、まさか自分の元の身体だとはね。


『異世界に渡る時、肉体がゲームのデータによって上書きされて変化したんだと思う』

『そんな事があり得るのか?』

『現にいま起きてるじゃん』


まあ、確かに?

じゃあ……住人達の身体はどこから来たんだ?

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