【創作BL】黄金の薄明

さおとめ

第1話路地裏のねずみ

アーサー・ウィートリーについて話そう。


アーサーは金髪碧眼の優男である。

顔には似合わない漆黒の眼帯が鎮座しているが、整っている方だと思う。左腕は昔従軍時に無くしたと聞いた。余った袖をはためかせ、残った右目を細めて笑っていた。



路地裏のねずみ



 アーサーがこの村に訪れたのは2年前の丁度1月の事だった。戦場から足を洗い、失った故郷からあてもなくフラフラしていたら、腹を空かせて倒れ、この教会の神父に拾われて、慈善活動を手伝うのを条件に余っている小屋に住まわせてもらっている。


 慈善活動は捨て子の世話、炊き出しなどが主に行われている。子供達に囲まれて感謝され、お年寄りからは温かい対応をされ、少し気まずくも優しい日々を送れていたが、年老いた神父は最近腰をやり、慈善活動が出来なくなってしまった。


 アーサーは片腕がない。左腕が関節から少し先を残して失われている。両手が必要な程の重いものを持ったりするのは、専らこの神父であった為、アーサーとシスター達は困り果ててしまった。

 教会は都市から少し離れた村にあり、村は神父と同じくらいのお年寄りか、数名の子供しかいない限界集落であった。しかも若い男手は都市に働きに出ている為、この真昼に丁度良い男手は誰一人として居なかった。

 そこでシスターの一人、メアリーが言った。


「何でも屋を雇ってみてはどうでしょうか?」


 何でも屋……一抹の不安を感じた。何でも屋の質はピンキリだという。しかもこの教会は金銭が不足しているので、多額の報酬はとてもじゃないが払えない。

何かあった時、守れるのは左腕を失った僕しかいない。

そんな不安を他所にシスター達がそうしよう、と話が進み、結局何でも屋を雇う事になってしまったのである。

アーサーではどうすることも出来ないので、当然の結果であった。


・・・


オルデリオン王国の都市ノクティアの市場に着いたアーサーとメアリーは呆然としていた。


スリである。


 メアリーが教会のお金を管理していたが、完全にスられていた。メアリーには心当たりがあった。それは、アーサーと談笑しながら店を周っていた時に、一人の子供とぶつかったのを覚えていた。人混みの多い中、突然の衝撃に一瞬無防備になったところをやられてしまった。


 メアリーは顔を青くしながら、どうしましょうと震えて居た。アーサーにも金はあるが、正直心許ない。

 何でも屋の相場は1日40000ルクスが平均になっているが、手持ちには20000ルクスしかない事を考えると、正直かなり条件を下げないと見つからない金額であった。


しかし、今日見つけないと慈善活動に影響が出てしまう。


「メアリー、とりあえず、僕がお金を払うから何でも屋を紹介してもらおうよ。」

「アーサー様!そんな、大丈夫なのですか?」

「大丈夫...ではないけど、そんな事言ってられないよ。とりあえず憲兵にスリにあったことをを相談。それから炊き出しの準備を手伝ってくれる人を紹介してもらおうね。」

「わかりました...。」


半泣きであったメアリーも、鼻を啜りながら頷いた。


・・・


憲兵曰く、

「ここ最近、見慣れない子供が増えた。服もボロボロだし、おそらく捨て子だろう。治安が悪化しているから、十分に気をつける事。」

だそうだ。もうすでにスられているこちらとしては、笑ってリアクションすることしかできなかった。


 なんやかんだでギルドに着いた二人は、まず相談所へ足を運んだ。並ぶ覚悟は出来ていたが、丁度数名しかいなかった為比較的早めに相談ができる事になっていた。


 相談所の窓口にいたのはスクエア型のメガネをかけた、七三分けの細目の男であった。何となく、話しかけづらい雰囲気のある人物で、メアリーが何となく落ち着きがない。

窓口の男が、前者の対応を終えこちらへ視線を向けた。


「さて、次の方...どうぞ。名前と出身地、予算と目的をどうぞ」

「アーサー・ウィートリー、出身地は東の方のサリオス。予算は20000ルクス以内。1日、金銭を払えば何でも受ける傭兵を探している。」

「ア、アーサー様!?なぜ傭兵を?!」

「個人経営でピンキリの何でも屋より、審査と信用が担保されたギルド所属の人材の方が安全だと思って…。」

「そ、それはそうですね。安全性だとそちらが良いかと。」


 傭兵という言葉にメアリーは驚きを隠せなかったが、アーサーの説明を聞いて納得した様子。

しかし、そんな様子を他所に細目の男は顔を顰めた。


「なんと、20000ルクスとは厳しいですねぇ...1日は難しいかと」

「...最悪、1日じゃなくて良い。一番忙しい朝の準備と昼の片付けさえいてくれれば良い。」


そう準備と片付けだけ居てくれれば良いのだ。荷物の運搬されすれば後は自由にしててくれて構わない。それで20000ルクスなら、割と条件的に悪くないのかもしれない。

細目の男はアーサーとメアリーを見ると、

「最近入った傭兵がいるのですよ。」

と話し始めた。


「傭兵になり初めの頃は、人々に依頼されるように信頼を得る為、年寄りの相手や軽い討伐も受けたりするのですよ。しかし、その最近入った男はそのセオリーを知らないようで…。信頼を得るステップアップと言いますか、まぁその男雇って下さいよ。」


初回限定価格でご案内します。とにやりと笑い、そう言った。もう僕らに選択肢は無かった。


・・・


空が白み、太陽の光が村を包み始める頃、一人の大男が教会の前に立っていた。


「ボロっちい教会だな」


 赤胴色の短髪の大男スコル・ヴァルガンは、都市外れの村にある教会を見た第一印象はそれだった。


 指定された朝の6時。のどかな村には余りにも浮きすぎる大男が現れた。腕は丸太のように太く、胴を覆う黒い鎧は、朝の爽やかな空気を切り裂く冷たさを孕んでいる。背丈は2メートルにも迫る大きさ。赤胴色の短髪に、鋼色の瞳が鈍く、鋭く教会を見据える。

 

 あの受付と男に突然ここに行けと指定されて来たものの、何をやるかは全く聞いていないのだ。こんなチンケな教会だから、碌でもない仕事だろうと少し落胆していた。


(とっとと終わらせて帰るか...)


教会の扉を開こうとした、その時――突然扉が開いた。


「うわっ!?」


現れたのは金髪碧眼の男。顔には、平和ボケしてそうな驚愕した顔とは似合わない眼帯が付けられており、残った右目の碧眼が自分を捉えた。


「う、えっと...君が?依頼したスコルさん、で合ってる?」


オドオドした態度に少しイラつきながら肯定すると、途端にヘラっと笑い、


「はは!おはようございます。スコルさん大きいですね、びっくりしちゃいました。今日はよろしくお願いします!」


自然なことのように右手が差し伸ばされる。握手を求めているのだろう。渋々握り返すと嬉しそうに握り返されるのを感じた。


ところで—


「ところで、依頼内容は?」


え、と再び驚愕顔で動きが止まる。


「聞いていないのですか?」

「聞いてねぇな」

「あー...説明します。」


・・・


 仕事内容は分かった。やはり碌でもない依頼だったので受付の指示に抗議すれば良かったと後悔した。

 要するに自分は格安の何でも屋扱いされたのだ。

 あの細目の男のツラを思い出して苦々しい気持ちになる。

傭兵とは信用と実績の商売だと言っていた。信頼を得るには日々の積み重ねだと。他の傭兵は討伐以外にも依頼をこないし、信用を得るよう躍起になっているようだが、スコルにはプライドがそれを許さなかった。


 過去、派遣された傭兵軍にいた時、国家の騎士にならないかと打診をされたほど。己の剣技には自身があった。

この評価は過大評価ではなく、正しく真っ当な評価である。体格に見合った大剣を振り回し、剛そのそのの剣技は、その評価に値するものであった。


 しかし、傭兵を続けるには、信用が足りなさすぎるのだ。

剣技は素晴らしく、実績があるがそれは誰かの評価でしかない。高くつく傭兵という買い物は、人々を慎重にさせるのだ。

 実際にその人が来るまで、傭兵というのは人としての輪郭が曖昧すぎた。

堅物で粗暴、無愛想なスコルは、見た目だけで避けられる事が多く、個人の契約が極端に少ない傾向にあった。

 個人の契約――しかも仕事が荷物の運搬とは、スコルを落胆させるには十分すぎたのだ。

 

・・・


 子供達が見た事のない大男に群がっているのは、村人にとって目を疑う光景であった。

鎧を無邪気に叩く子供、大男の腕の筋肉を観察する子供。


(......子守も含まれるとか聞いてねぇぞ...)


 スコルの眉間に皺がより、顔が一層凶悪になる。無邪気に遊ぶ子供達とのギャップが凄まじく、大人達の警戒心を強めるとこになっているとはつゆ知らず、スコルは貧乏ゆすりが止まらない。

 聞いていた業務は呆気なく終わった。本当に荷物運びだけだった。野菜袋等の運搬。持ってみて、こりゃ女には無理だなと感じる重みを軽々と持ち上げ、運ぶスコルに子供達は目を輝かせていたが、こんな事になるとは思ってもみなかった。


 男手が足りないから助かると微笑むシスター達を見て、気付いたことがあった。金髪の優男、名をアーサー・ウィートリーと言うらしい。

男手がないと言う割に、アーサー・ウィートリーは大型荷物の運搬はしていないように見えた。しかしよく見ると左腕が袖を余らせている――腕が無いのだと察した。左腕の残りと、右腕を駆使して荷物運びをしているのを見て、苛立つ事も出来なかった。

 非力な女達、そしてハンデを抱えた男に何も言えなかったのだ。

配膳を手伝うアーサーを鋭い目で見つめながら、子供達の良いようにされていると、アーサーと親しげに話していた、確か、シスターメアリー?がやって来た。


「本当に助かりました!男手が足りなくて本当に困っていたのです。貴方のような逞しい方に依頼できて良かった。もしよろしければ、食べていって下さいね!」


 シスターメアリーはスコルの前に野菜がゴロゴロ入ったスープを差し出す。別に断る理由はないので頂くとしよう。短く相槌を打ちながらスープとフォークを受け取る。

しかし気になることがもう一つある。


「シスターメアリーだったか?」

「はい、そうです。メアリーです。」

「あんた、あの優男好きなのか?」 

「ウェ!!!!!!!!」  


・・・


 遠目で慌てふためくシスターメアリーが見える。アーサーは、ひと段落したことでようやく周りを見ることが出来た。スコルとメアリーはいつの間にか仲良くなったらしい。スコルの口角が意地悪っぽく笑うのを見て、少し安心した。

 正直言って、スコルを見た時警戒した。巨体で鋭い眼差しに少し慄いてしまっていたのだ。ギルドの審査を通っているのだが信用しきれていなかった。何かあった際には、自分が前に出る必要がある。

 しかし、握手を返してくれた事で少しだけ肩の力が抜け、ある程度の友好は気付けるのではと安心したのを思い出した。

 その時、メアリーがこっちに気付いたらしい。メアリーはスコルに挨拶してから、こちらに小走りに近寄って来て言った。その顔は少し思いつめたような顔で、何かあったのかと心配していると、メアリーが大きさを抑えた声で話し始めた。


「アーサー様、配膳している時、気になる子供がいました。昨日のスリでぶつかって来た子供。覚えていますか?」


 アーサーはぶつかって来た子供の顔をよく覚えていなかった。メアリーの悲鳴が聞こえた時には、子供はすでに姿をくらましていた。小柄で、素早く、何かを抱えて体に沿わせる影は、ほんの一瞬で人混みに溶け込んでしまった。

 メアリーの視線を左へやったのが見えた。アーサーはその視線を追って、目をやると、ボサボサの髪の毛と所々ほつれた服を着た、細身の子供が居た。

 それが男か女か見分けは付かないが、唯一特徴を覚えているメアリーが警戒しているので、こちらも警戒しておくに越したことはない。

 アーサーはメアリーに、そっと耳打ちをした。


「メアリー、今は話しかけない方がいい。日が経ってしまった場合は、現行犯でないと捕まえるのは難しい」


メアリーもそれに頷く。

 子供を警戒しながらの炊き出しは、少し張り詰めた空気の中行われた。

アーサーは子供達の様子を気にかけてつつ、視界の端で怪しい影を追う。メアリーも同じようで、時折耳打ちで注意を促す。二人はいつも通りを装いながらも、無事に炊き出しを終えた。時間はすでに11時になっていた。

 結局子供は、人混みに紛れ捕まえることは出来なかった。しかし、アーサーもメアリーも無事に業務を終え、少しだけ肩の力を抜くことが出来た。


 スコルの力を借り、無事に村の広場から撤収できたアーサー達。他のシスター達に細かい後片付けをお願いして、スコルとの挨拶をしていた。

 アーサーは荷物を下ろすと、スコルに向き合い、


「スコルさん、今週も無事に炊き出しが終わりました。本当にありがとうございました。」


 スコルはフンッと鼻を鳴らし、「もう雑用で呼ぶな、戦闘が必要な時にしろ」と悪態を吐き、都市までの道を歩いて帰っていった。


 アーサーとメアリーはスコルが都市まで続く林に入り、姿が見えなくなるまで見送った後、教会の前まで戻って来ていた。太陽の光が教会の壁を照らし、白い壁が眩しく光る。ここ周辺はすっかり静かになっていた。


「...今日も無事に終わりましたね。」


 メアリーがそっと胸に手を当てて言う。アーサーも頷きながら、荷車の取っ手を下ろした。


「そうだね。でも気になる事があって。」


 メアリーは、「...子供の事ですか?」と不安げに尋ねる。そう、子供のこと、とアーサーは返答した。


「今日一日中、動向を警戒しながらやってたけど、気のせいである可能性はあるのだけど、あの子供、何かに怯えているようだった。」

メアリーは少し沈黙し、

「あの子供、—ただのスリでは無いのかもしれないという事ですか?」

「分からない、分からないから、明日、ノクティアの市場に行って見て回ろう。もう一度確かめたい。」


アーサーの言葉にメアリーは頷いた。

 風にのって、村からの人の笑い声が聞こえてくる。アーサーの胸の内には、まだざわめきを残したままだった。

――明日、確かめよう。

その違和感が気のせいである事を願いながら。


・・・


 アーサーとメアリーはさっそく首都ノクティアの市場に来ていた。市場は昼前にも関わらず、賑わいを見せており、屋台の食べ物の香りが漂っている。二人に視線の先には昨日村の広場で発見した子供に集中していた。

 服装を見ると昨日と変わらない服装をしており、風呂に入っていないのだろうか、所々顔に汚れが付いているのに気が付いた。

見るからに怪しげな挙動をしているその子供は、市場の賑わいを利用し、前に歩いていた女性のカバンから、スッと財布を抜き取る瞬間をとらえた。子供の瞳は怯え、周囲を何度も見渡す。アーサーはそっとメアリーに耳打ちした。


「メアリー、今は声をかけない。慌てると逃げられる」


 メアリーは頷き、子供から視線を離さない。

 その時、子供がさっと大通りから外れた、路地裏に逃げ込んだのが見えた。

メアリーは小声で、「アーサー様、路地裏へ行きました。あとを追いま―「何してんだお前ら」


 二人が声の方に目を向けると、路地の入り口で腕組みをした大男が立っていた。黒いの鎧をまとい、鋼色の瞳を細めてこちらを見下ろす。スコルだった。


「……お前ら、何してんだ」


 呆れ顔で言うその声に、アーサーとメアリーは思わず顔を見合わせた。


「ス、スコルさん……ちょっと事情を説明させてください」アーサーは手を上げながら声を出す。

「……話は聞く」スコルは腕を組んだまま、無言で促す。

 アーサーは小声でメアリーと目を合わせ、息を整える。


「昨日、村の広場で同じ子供を見かけました。どうやらスリをしているようです。まだ確証はないのですが、今日も市場で同じ行動をしていました。」


 メアリーも付け加える。


「もし逃げられれば現行犯で捕まえるしかありません。子供は怯えているように見えたので、大人に脅されている可能性もありますが、今のところは推測にすぎません。」


 スコルは少し眉をひそめ、鋼色の瞳で路地の先を左に曲がり、視界から消えた子供の姿を確認する。

 アーサーはスコルの腕を掴み言った。


「スコルさんも付いてきてくれませんか?何もなければ良いけれど、裏に大人がいた場合、僕らじゃどうにも出来ません。報酬はお支払いしますので!」


報酬、という言葉を聞いてスコルは少しばかり口角を上げ言った。

「契約だな、報酬はそれなりに寄こせよ。」


 スコルは子供が走り去っていた後をつけ、路地裏へ入っていく。その後にアーサーとメアリーが続いていく。狭い路地は、日差しが斜めに入り、日差しと日陰のコントラストをはっきりさせる。どこか寒々しい雰囲気に、不安が募る。

 子供が消えたあの左の角に差し掛かったところで、スコルの足が止まった。

アーサーはスコルの背中を軽く叩き、小声で聞いた。


「スコルさん、何かあったんですか?」


スコルは小さくシッとジェスチャーをし、喋らないよう注意した。この先で何かが起こっている事は明白であった。アーサーがスコルの隙間から見えた光景。路地を曲がった先に少し開けた路地裏が広がっていた、そこには先ほどの子供と4人の大人。皆、鉄パイプやナイフ、メイスなどで武装しており、威圧的な雰囲気を放っている。子供は怯えた瞳で後ずさりし、その震える手には先ほどスったピンクの財布が握られていた。


「めんどくせぇな、全く……」スコルの雰囲気が変わった。近くにいるだけで皮膚がピリつく。鋼色の瞳が大人たちの動きを鋭く見定め、戦闘の準備を整える。

アーサーは自分がこの場で出来ることを考えていた。ある程度の防衛術は従軍時に嫌になるほどやらされて、いまだに体に染みついている。左腕のない今では一対一がやっとだろう。下手に足を引っ張るわけにはいかない。

 戦闘の技術を持たないメアリーは状況を理解し、少しずつ後退して、相手に勘付かれないよう現場から離れていく。


「アーサー様、子供を守ってください。でも、無理はしないで。」

「大丈夫だよ、メアリー。何かあったら逃げて憲兵を呼ぶんだよ。」


 メアリーを励まし、アーサーはスコルと共に現場を確認し突入すタイミングを伺った。


・・・


「早く出せやガキ!!」という怒号と共に、鉄パイプが地面を殴る鈍い音が響き渡る。少年は音に驚き後ずさりした。

 震える手で財布を差し出すと、ズカズカと近寄ってきた丸刈りの男に奪われ、中身を確認される。


「チッ、シけてんなァ…1500ルクスかよ。ボクちゃん、お小遣いじゃねぇんだよ。ナァ!!?」


 耳元で威圧され、思わずぎゅっと瞑った。目に溜まっていた涙がボロリと零れた。その様を見て大人がゲラゲラ嗤う。「ボクちゃんナイチャッタァ!ヘハハ!!」「怖いでちゅねー、嫌ならそれ相応の金持って来いよグズ」


――「おい、テメェら」


 前方にいる嘲笑う大人たちとは違い、地を這う地の底から揺らすような声が響いた。

大人達の笑い声がピタリと止まり、なんなら狼狽えている。少年は声のする方に目をやった。――そこには悪魔が居た。

 赤胴色の髪、鋼色の瞳、背丈は2メートル近く。腕は丸太のように太く、僅かな動きだけで周囲を威圧する。大人たちを遥かに見下ろすその姿は、まるで空間そのものを支配しているかのようだった。赤銅の悪魔の視線は鋭く、大人たちの動きや武器の位置を一瞬で把握する。風もないのに、彼の存在が空気を震わせ、地面すら微かに振動しているかのようだった。


赤胴の悪魔は鋭い目で大人達4人を見つめる。


「テメェら寄ってたかってガキ1匹に何やってんだって聞いてんだよ。」


 問う赤銅の悪魔に、丸刈りの男が吠え返す。「テメェには関係ねぇだろうが!!どこのどいつだクソ野郎!!」と大股で迫り、次の瞬間、丸刈りの男が宙を飛んだ。目を疑った。人って本当に飛ぶのか。吹っ飛んだ丸刈りの男は、壁に強く打ち付けられる。衝撃で砂利が舞い上がり、残りの3人も思わず一歩後退する。


赤銅の悪魔の腕はわずかに振られただけだ。だがその圧力と存在感は、4人にとってもはや逃げ場のない威圧となった。残る大人たちは武器を握り直すが、指先がわずかに震えている。

少年は思わず地面にへたり込み、震える手で財布を抱えたまま見上げる。赤銅の悪魔の鋼色の瞳に捉えられた瞬間、彼の体内の恐怖で縮み上がった。


「――さあ、次は誰だ?」


・・・


 戦闘が始まった。混乱に乗じて、子供を安全圏へと避難させる必要がある。アーサーは戦況を確認した。圧倒的なスコルの暴力で、ナイフ、鉄パイプ、メイスをもろともせず、背負っている大剣を抜かずに戦っている。しばらくはスコルに任せておいて大丈夫であろう。

 まずは子供の安全確保――スコルがナイフを持った男と、鉄パイプを持った男を相手取っているうちに――「君、こっちへ!」

 驚愕した顔の子供の腕を掴み、無理矢理立たせてメアリーのいる方へ子供を連れていく。


「メアリー、子供の相手を頼む!」

「はい!」


 メアリーが子供を受け受け取ったのを確認し、すぐさま角に待機する。スコルがメイスを持った男と、鉄パイプを持った男へスコルが雄たけびを上げる――


「うおおおおおおああああああああ!」


 ビリビリとその場を支配する咆哮——

 二人に殴りかかるため、握った拳を構えた時、スコルの背後でナイフが煌めくのを見た。

 それを見た時、アーサーの体は勝手に動き始めていた。視界の端から突然やってきた訪問者にナイフを持った男の驚愕した顔が見える。

 

 ナイフを構えていた腕を思いっきり蹴り飛ばし、その衝撃でナイフが明後日の方へ飛んでいく――怯んだ男の顔面を右手で殴り飛ばした。鈍い衝撃、殴った右拳に固い骨の感覚と痺れを感じた。男は壁にぶつかり呻き声を上げ、地面に崩れ落ちるのを見て、呆然とする。

 退役して暫く、戦闘をせず、平和な生活を送っていた。左腕を失い、もう自分には守る力はそれほどないと思っていた——「おい」

 スコルの呼びかけが聞こえた。視線をやると、スコルが自分と倒れたナイフの男を交互に見て、


「なかなかやるじゃねぇかよ」

 

 それが賞賛の言葉だと理解するのに数秒かかった。


「あ、え、ありがとう?護身術を昔やっていて...」


 ふーん、と品定めしているのか、もう興味をなくしたか、分からない表情で見てくるスコルから、居た堪れなくなって少し距離を取った。そんなアーサーの反応を見てククッと笑うスコル。


「何で笑うんですか!」

「いや、分かりやすいなと思ってな。」


 戦場であった場所とは思えない和やかな雰囲気が流れるそこに、アーサー様!スコル様!とメアリーが飛び込んできた。


「もう問題ないと判断して、参りました。お二人ともよくご無事で...」と安堵した表情でメアリーは、二人を労る。アーサーとスコルはメアリーにそれぞれ相槌を返した。

 そんなメアリーの背後から、あの子供がチラッとこちらを伺っているのが見える。それはスコルも同じようで、赤銅の髪をガシガシと掻いてから、子供に向け、「おい、ガキ」と声をかけた。途端にビクッと震え、完全にメアリーの後ろに隠れてしまった。

 すぐにアーサーとメアリーは子供の相手をしてどうにか怖くないよ、と安心を与え続け、ようやくまた顔を出してくれた。

 さて、ここから本題に入る。

 子供の証言は以下の通りだ。

・スリは脅されてやっていた。

・名前はルゥ、9歳の男児。

・父親は炭鉱夫だが、事故に巻き込まれたと言われたっきり、帰ってこない。母親は自分を出産時に亡くなっている。

・スリをしろと言われていたが、目的は知らされていない。

子供も精神的に限界なのか、これ以上の証言は取れなかった。

 スコルが背後の伸びている男達を親指で指して言う。


「コイツらは俺らじゃ裁けないし、証言を聞いた所で勝手に潜入なんかした日にゃ、逆に俺らが罪に問われちまうぜ。」


 それもそうだ。証言をとった所でこの男達が正しい事を言うとは限らない。何でもない、全く関係ないところに侵入した場合、罪に問われるのは自分たちだ。

 アーサーは、スコルの言葉に素直に納得し、


「そう、だね。すぐに助けたい気持ちはあるけれど、証言だけじゃ証拠が少なすぎるし、リスクが大きすぎる。——憲兵に通報するよ。それまでにスコルさんは憲兵とギルド用に、その人達からある程度証言取っといてもらっても良いですか?」


 スコルは近くに丁度いた丸刈りの男の襟首を掴みながら、「別にかまわねぇよ。お前ら早く行ってこい。」と承諾してくれた。


「はい。行くよ、メアリー。ルゥくん。」


・・・


 憲兵を引き連れて戻った時には、三人とも正座でスコルの尋問を受けていた。

スコルが男達から聞き出した証言は以下になる。

・自分たちは下っ端の下っ端に過ぎない。

・回収した金は組織の資金になると知らされている。

・ノルマのため、孤児を使ってスリをさせていた。

・末端を束ねるリーダーの顔は見たことがあるが、それ以上の情報は知らない。

・アジトは転々としているが、特に使っているのは旧三番倉庫。


 アーサーは憲兵が証言だけで動くか不安だったが、憲兵の目の前で自分たちの罪を語らされた男たちは、大人しく連行されていった。ルゥも一時的に憲兵の預かりになるだろう。ルゥは憲兵に一緒に連れて行かれた。不安そうにこちらを振り返るルゥの姿に、アーサーの胸は痛んだ。

 気づけば、周囲には野次馬が集まっていた。それを察したスコルは、「早くずらかるぞ」と声を上げ、足早に歩き出す。アーサーとメアリーもその後を追った。


・・・


 アーサーとメアリーはスコルの後を追い、足早に街の路地を抜けていった。やがてたどり着いたのは、スコルが所属しているギルドの建物だった。重厚な木製の扉の向こうには、傭兵たちの声や物音が響き渡っている。

 スクエアメガネの受付の男——あの時の人が、アーサーとメアリーに、「一昨日ぶりですねぇ。新米傭兵さんはどうでしたかァ?」と問う。

 スコルはキッと受付の男を睨みつけ、アーサーへこんなやつ気にすんな、と言い、受付に続けた。


「コイツと今日契約した。業務は果たした。——そのせいで厄介ごとが出来たちまったから、後で話す。オメェが嫌いな憲兵沙汰だぜ。」


 受付の男はゲェッと鳴き、顔を顰める。スコルはフンッと鼻を鳴らし、ギルドの扉を押し開け、アーサーたちを中へと案内した。


 一瞬、あれだけ騒がしかったギルド内が静まり返った。視線が見慣れない二人——アーサーとメアリー——に注がれる。しかしスコルの存在に比べれば二人は小さく、誰も長く興味を持たない。やがて喧騒はいつもの調子で戻っていった。

 スコルに案内され、二人は奥のテーブルに腰を下ろした。近くでは酒の匂いと鉄の音が混ざり合い、外の空気とはまるで別世界だ。

 スコルは椅子の背にもたれ、腕を組んで口を開く。


「今回の件は、憲兵とギルドに任せとけ。書類が揃えばギルドも動く。テメェらはもう首突っ込むな。」


 ぶっきらぼうにそう言い放つスコル。

 けれどその声音の奥に、どこか気遣うような響きがあった。

 ——やっぱり、この人は見た目と態度が粗暴なだけで、本当は優しい人なんだ。

 アーサーはそう感じて、小さく息を吐いた。ほっとしているアーサーの横からメアリーが言う。


「今回の事はお任せします。ですが、あの子...ルゥくんの事は、神父様とお話しして教会で引き取れないか相談いたします。」

「ガキの事は勝手にしろよ。俺は知らん。」


 スコルはそう言い捨てるようにして、そっぽを向いた。

 その様子を見たメアリーは、思わずくすりと笑い、静かに言う。

「ありがとうございます、スコル様。」

 感謝の言葉に、スコルは気まずそうにこちらを向き直し、眉をひそめた。


「……それ、やめろ。」と静かなスコルの声。スコルは続ける。


「様って言うの、やめろよ。俺にそう言うの、鳥肌立つんだよ。」

「では...」

「スコルで良い。」

スコルは二人の顔を、その鋭い目で見つめる。


「ス、スコル...さ、ん!」


 メアリーは緊張気味にスコルの名前を呼ぶが、性格なのかどうしても敬称が付いてしまう。そんな様子を見て、アーサーは、はははと笑っていると、


「何笑ってんだ、オメェもだよ。敬語やめろ。」


 どこか人ごとだったアーサーは、キョトンとした顔でスコルを見た。そして、何を言われたか理解したアーサーは、スコルを真っ直ぐ見つめ、「分かった、スコル。僕の事はアーサーで良いよ。」と返事をした。


スコルは鋭い目でを細め、


「アーサー」


しっかりとそう言った。


・・・


「あわわわごめんなさい、教会では規律でお酒は禁じられているのです!え?教会の外なら良いのかって?そんな事ないです!いつでもどこでもお酒は飲んではいけないのです!」

「かってぇな、シスター。」


 メアリーが酔っ払いに絡まれている。あの後、昼食を取っていなかった事を思い出した僕らは、ギルドで食事をする事にした。食事を摂っていると、スコルの知り合いが同席してきたから、はちゃめちゃになってしまった。僕は、シスターじゃないし、神父でもないし、何者でもないから規律はない事を理由に酒を浴びるほど飲まされ、めちゃくちゃ潰れています。

 昔からお酒は嗜む程度しか飲まず、潰れた経験はなかったので、こんなにしんどいとは思わなかった。頭がぐらぐらして、世界が溶けそうだ...。

 だからこうして、唯一のシラフのメアリーを庇う事も出来ない。

「アーサー、テメェも断れよ。押しに弱すぎる。」

 呆れたスコルの声が聞こえる。だって何だか気分が良くなって、嬉しくなってしまったんだもん!

「そういや、報酬の話、忘れてないよな。」

「ハッ!!!」


——酔いが、覚めた。


そうだ。報酬を支払う必要がある。しかも値段交渉していない。色々後処理も任せているからマズい!

 勢いよく飛び起きると、スコルの嫌なニヤついた顔が見えた。これは本当にマズイかも知れない。


「よくも前回格安で使ってくれたなぁ。」

「あ、あれは受付の人が提案してくれて——」

「100000ルクスな。」

「ヒェ!!」


貯金が消し飛ぶ!!


・・・


酷い目にあってぐったりしているのはアーサーだ。金髪も、なぜか少しくすんで見える気がする。


前回の依頼に引き続き、今回も依頼費を自腹で支払ったアーサーは、財布の中がすでに空であることに落胆していた。手持ちに100000ルクスはなく、先に支払った20000ルクスを差し引けば、残りは貯金から下ろすしかない。食事代は出してもらえたが、マイナスである事実は変わらなかった。


貯金を下ろせば残りの80000ルクスは支払えたが、酒のせいで体力は底を尽き、もう歩く気力もなかった。ぐったりとした体をルクスに支えられ、アーサーは家路へと向かう。


「おい、起きてるか。金も払えねえし、歩けないなんて…」

「アーサー様、大丈夫ですか?お水、買ってきましたよ。」


 遠くでルクスとスコルの声が聞こえるが、頭には入ってこない。眠くて、歩く気力も残っていない。こうしてアーサーは、スコルに世話になっている。ギルドで聞いた話では、スコルは23歳らしい。見た目だけならもっと大人に見えたのに、意外と若くて驚いた。

 対して僕は、28歳四捨五入すれば三十路。酒で潰れて、若い男の子に世話されるなんて、よくない大人だ。

 考えがぐるぐると巡り、ついスコルの広い背中に額を擦り付けてしまった。背中の筋肉が少し硬くなったような気がしたけれど、男にこんな事されたって嬉しくないだろうな。


(そういえば、僕が28歳だって言った時、スコルかなり驚いていたな。)


 そんな事を考えている間に、スコルの動きが止まった。

 「オラ、着いたぞ降りろ。」とスコルの声がしたので、うん、と返事をする。運動を拒絶する身体を無理矢理動かして、どうにか地面に降りた。


「スコル、本当にありがとう。」


 スコルからの返事はない。代わりに少し呆れた顔をされた。結局教会の前まで送ってくれたようだった。メアリーじゃこんな僕を連れて帰れないからな、優しいな。

 まだ、回らない頭でアーサーは続けた。


「今日はね、君と仲良くなれた気がして、嬉しかったから呑んじゃったんだ。」


「……酔っ払いが」と、吐き捨てるようでいてどこか柔らかい声。思わず笑ってしまった。


「スコルさん、ご迷惑をおかけしました。謝礼は後日必ずお支払いします。本当にありがとうございました。お気をつけて。」


メアリーがそう言うと、僕の背を支えながら、小屋まで歩き始めた。


・・・


 気が付いたらベッドに横たわっていた。スコルと別れた後、メアリーに支えられながらも、どうにか小屋のベッドまで辿り着いたらしい。彼女には、大分迷惑をかけてしまった。

 こじんまりしたこの小屋は、ベッドとクローゼットでいっぱいになってしまうくらいの狭さでだが2年近くここに住んでいて、心地よさを感じていた。カーテンの隙間から淡い月明かりが差し込んでいるのに気付き、時計を確認すると——1時23分...微妙な時間に目が覚めてしまったようだ。

 目を瞑れど、何となく眠れず、2時になって結局散歩に繰り出した。


・・・


 夜は、春とはいえど、どこかひんやりとしていて、肌を撫でる風に小さな寒気を覚える。

眠れぬまま歩くうちに、いつの間にか教会の前に立っていた。

 何となく入りたくなって、重厚な戸に手をかける。

軋む音を立てて扉が開くと、古い木の匂いがふっと鼻をくすぐった。

ふと、視界に入った——椅子に座る誰かの後ろ姿。

ステンドグラス越しに降り注ぐ月明かりに人影が照らされて、その輪郭がやっと分かった。

 アーサーはその人影に声をかける。 


「……あの、すみません。」

「……」


返事はない。

アーサーの声だけが、教会の静寂に吸い込まれるように反響する。

少し迷った末に、もう一度呼びかけた。


「こんな時間に……どうしたんですか?」


その問いかけに——頭が、こくりと右へ傾いた。

続けて、人影がのそりと立ち上がる。


背丈は自分とほとんど同じ。いや、少し高いかもしれない。

目を引いたのは、背中を覆うほどのネイビーの長い髪だった。毛先が腰に届くほどで、月明かりを受けて静かに光を返している。

不思議なほど整っていて、まるで夜気の中に溶け込むような艶やかさだった。


やがて、その人がゆっくりと振り返る。


——息を呑む。

こんなにも美しい人間がいるのかと、思考が止まった。

白く陶器のようなシミ一つない肌、服装は簡素だがどこか聖職者のような印象を与える。

一番目を引いたのは目――猫のように吊り上がった黄金の瞳がこちらを捉えた瞬間、喉が凍りつき、言葉が出なかった。

ぼうっとしているアーサーは、美しい人が口を開くのが見えた。


「何?」


――ハスキーな声が教会内にひっそりと落とされた。女性の高さでもない、男性の低さでもないどちらにも似つかない不思議な声。声を聴いた衝撃で反応が、少し遅れたアーサーは、「ア、アーサー…アーサー・ウィートリーって言うんだ。君は?」と問う。

 アーサーの自己紹介を聞いて、少し間を置いて”彼女”は話し始めた。


「シアン」


 シアン……”彼女”に合った美しい名前だと思った。月にかかった雲が晴れ、その光はシアンに降り注ぎ、より一層神秘さを増した。何だか目の前がぼやける、少し立っているのが辛い。――シアンは、アーサーに問う。


「明日、またくる?」


 アーサーは急な眠気と戦い「……う、うん」と曖昧な返事をする。そんなアーサーを見て、シアンは一論の白い花を取り出し、アーサーへ差し出した。


「—————」”彼女”が何が言っている。

しかし、アーサーの意識はそこで途絶えた。


・・・


アーサーが目を覚ましたのは、体の不調からであった。四肢の末端は冷え切っているし、どうも体が痛い。頭はガンガンするし、完全に二日酔いであった。しかも目を覚ませばいつもの狭い天井ではなく、宗教画の描かれた豪奢な天井が見える。


……教会だ。ここ。  

 昨日散歩した時に入った教会で眠ってしまったのだ。木製の長椅子から起き上がると大きく伸びをすると、関節からパキパキと小気味い音が鳴る。体が重い。  

 シャワーも浴びていないし、何だか体が気持ち悪いので、教会の孤児院にシャワーを借りに行こうと立ち上がった時、アーサーの膝から何かがこぼれ落ちた。  

 ――白い一輪の花。ふと思い出す。昨日ここで”美しい人”と会った。途中で会話が出来ないくらいの睡魔が襲ってきてそのまま気を失ってしまった。

 もしかしたら、あの人が僕を椅子へ寝かせてくれたのか? 花を拾い上げ、そっと太陽の光にかざす。


(明日また、会えるだろうか)


外から、子供達のはしゃぐ声が聞こえだした。――今日も一日が始まる。


To be continued


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