邂逅

 とある日の帰り道。

 妖精屋敷から出てきた黒い妖精さんと、目が合った。


 今まで妖精と目があった事など無かったし、極力目を合わせないように意識していたから、この事態には驚いた。

 目が合う。

 私が視えていると言う事が、妖精側に認知されてしまった。

 ただ、それが良いことなのか悪いことなのかは分からない。

 幽霊と目が合うのは駄目ってよく聞くから、妖精もそうなのかなの思って目を合わせてなかったけど、何か起きちゃうのだろうか。

 小心者故にドキドキしてしまう。

 恐怖からなのか興奮しているのか、それとも両方か。


 黒い妖精さんは目が合うと、妖精屋敷に戻っていった。

「どうしよう」や「何かするべきなの?」とか「あの妖精さんは初めて視たな」なんて思考がグルグルと巡り、私はその場から動けず、立ち尽くす。

 体感数秒。

 ハッと我に帰り、急いで帰ろうとすると、ドアの開く音がした。


 ドアの方に振り返る。

 そこにはさっきの妖精さんと、50代くらいの女性が立っていた。

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