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 ヨイが己は所謂天才肌だと気がついたのは、勉強を始めて程なくしてからであった。最初こそは慣れない勉学に気疲れしていたが、知らないことを知っていくことに快感を見いだしてどんどんとのめり込んでいったのだ。一度見聞きしたことは忘れないし、直ぐに応用も効いた。難解な問題集も楽々解けるようになり、村長のお墨付きをもらったヨイは満を持して都へと向かうことにした。

 行商人の隊列に混ぜてもらってやって来た都は、ヨイにとって未知数な場所であった。書物で得た知識として都の様子は知っていたが、こんなに高い建物が本当に存在していることに驚いた。だがいつまでも呆けてはおらず、直ぐに目標の達成に努めることとする。彼は観光もそこそこに、官吏採用試験を受けるべく宮殿に向かった。

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