第11話 キラキラ絵本を開こう!



第2王子ハロルド様にバイバイして、ぼくは侍女さんwith絵本3冊とともにお部屋に帰還。

……ふぅ、急な王子様との遭遇、心臓に良くない。


「サファさま。ハロルド殿下にこご本選びを手伝っていただいて、よかったですわね」

「うん」

それはそう。なんか親切っぽかった。


「殿下ともうあんなに仲良くなられて!」

「……うん」


仲良く……? いい人そうではあったけど。今のとこ、いきなり罪を被せて、しょけー!とか言い出さなさそうではあるけど。


「あーーー!」

「……!? どうなさったのですか、サファさま?」

「えん――」


あの本、探すの忘れた……。


「はい?」

「あ……ううん。なんでもない。はやく、絵本よみたいな~って思って」


冤罪を晴らす本……。


「まぁまぁ、そうですわよね。でも、先にお夕食をなさってからにしましょう」

「うん」

「お聞き分けがよろしくて、偉いですわね」


次! 次こそ探すぞ! 冤罪を晴らす本、絶体絶命を切り抜けて大逆転する本、あと……なんかそういうの!


「さあ、サファさま。お夕食の準備が整いました。こちらへどうぞ」

「はーい」


とりあえず、おなかすいた。



***


「サファさま、今日はどのご本を読まれますか?」

ご飯とお風呂を終え、寝るようの服を着せてもらってベッドの中。あとは絵本を広げるだけ!の万全の体制。


「お月さまの!」

もう決めてました! 一番はあれしかない。


「こちらですね。はい、どうぞ」

「わぁぁぁ」

薄くのばした金をちりばめたみたいな、キラキラ光る表紙の絵本を手渡される。


「よろしければ、お読みしましょうか?」

「ありがとぅ。でも、いいの。今日は自分で読んでみる」

「承知しました。それでは、私たちは控えておりますね。おやすみなさいませ」

「うん。おやすみぃ」



「ううう、たのしみぃ」


『おつきさまのポケット』、とキラキラの不思議な文字で書かれた本をじっくり眺める。

複雑な暗い青色に染めた夜空の表紙に、ぽっかり浮かぶ大きなお月さま。こちらを見てニッコリしてる。


「ポケット、なにが入ってるんだろぉ?」

お月さまのお腹にはポケットがあって、中からキラキラ光るなにかがちょっとだけ見えている。


「やっぱりあれかな? お星さまかな?」


わくわくとうきうきで胸がポカポカしてくる。少し重たい表紙に手をかけて、ゆっくりと本を開いた。

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