すすきの
熊笹揉々
第1話飲み勝負
男とキャストが飲み勝負を始める。店は儲かることなので、それを盛り上げる。男の連れは心配している。シャンパンが一本、二本と空き、テキーラがすぐに空になる。男はいう、「ビールはやめろよ、薄いからな!」。キャストも負けてはいない。グラスに入ったワインを一気飲みして、まだまだ行けると息巻く。
それはなんと閉店まで続く。深夜2時になって、店長がもうやめたらどうですかといってきたところで、どちらもべろべろになっている。他の客たちもだいぶ盛り上がっていたが、一人帰り、もう一人帰りして、最後には男の連れまでも眠いといって帰ってしまった。他のキャストたちは完全に帰り支度を済ませている。勝負相手のキャストの仲のいいキャストがキャストの介抱を申し出る。男はといえば、豪華なソファの上で大の字になっている。
店長が「お客さん、お会計すごいことになってますけど、大丈夫ですか?」と聞くと、男はひらひら手を振って、「オーケー、オーケー」といって、札束をバッグから取り出して見せる。店長は少しほっとしながら、男を起こそうとする。
そのとき、男と勝負相手のキャストの立ち上がるタイミングが一緒になる。それで、二人は頭をぶつける。「イタ!」という大きな声とともに二人はかたや店長に、かたや仲のいいキャストに倒れ込む。「おいおい、本当に大丈夫か?」と店長がいうと、二人は同時に「大丈夫!」といい合う。
しかしその後に男もキャストも互いを見合って動かなくなる。それは一つの混ざり合いなのだ。そして彼らは急に真顔になって、連絡先を交換する。店長も介抱をしていたキャストも何のことかわからない。ただ、勝負をしていた二人はこそこそと何か打ち合わせをしている。時計はもう午前3時を回っている。
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