第26話

 男達が、まるで壊れそうにない結界を叩いている。

 結界の中の少女二人は、怯えるでもなく、カバンから、ペットボトルの紅茶を出して飲んだ。

「しつこいですわね」

 金色の髪を耳に掛けながら呟いた。

「兄さんに連絡したから、割と早く来てくれると思う」


 凪とエリーは、勉強も兼ねて、太陽騎士団の青年達と市内を巡回していた。

 始めから、なんとなく感じの悪い人達だったので、警戒していたら、これである。

 彼らは、最初から凪とエリーを襲う気でいたのか、建物の奥まで来ると、二人を襲ってきた。

 

 肩に手がかかる前に、青年達は弾かれた。


 静が凪にプレゼントしたブローチが、まわりに結界を作り出して、二人を守っている。

「さすが、六等星のお守りですわね」

「兄さんが、プレゼントしてくれたの」

 凪は、兄がくれた物が自分を絶対に守ってくれると、疑っていないが、エリーは少し、怖かった。

 結界が壊れたら、どうなるのか、考えるとゾッとした。


「店長さん、ぼくちょっと凪の所に行ってきます」

 静が、なんだか、怖い感じだ。

「何があった?」

「今、北口の元ショッピングモールで、太陽騎士団の男の人に、襲われてるそうです」

 葵と六花は、手にしていた商品を、棚に戻した。

「…ちょっと、穂波に連絡するよ。それから、今日はもう、仕事は終わろうか」

「そうね…」


 穂波は、直接来ると葵が言うので、三人はショッピングモールに行った。

 2階の奥に凪達を見つけると、六花が素早く筆で、捕縛の文字を書き、男達を捕らえる。

「凪、エリーさん!無事で良かった…」

 二人の元へ行くと、凪が抱きついてくる。

「兄さん、来てくれてありがとう」

 静は柔らかく微笑んで、子供をあやすように、背を軽く叩く。

「エリーさんも、怖かったでしょう?」

「…はい」

 エリーは、静の服の裾をつかんだ。

「もう、大丈夫だからね…」

「あの、本当に来てくれて、ありがとうございます」

 小さな声で、エリーが言うと、静はとても優しい声で、大丈夫だからね、と言う。

 自分より小さいけど、静はお兄さんなのだと実感して、エリーは静に抱きついた。

 静が背中をポンポン叩く。

 この、安心感はなんだろう……。

「落ち着いた?」

「はい」


「なら、二人は私と店に行きましょう」

 六花が二人を外に連れ出した。

 代わりに、穂波がやってきた。何も言わなくても、怒っているのがわかる。

 凪達の気配が、完全に建物内から消えると、穂波から、炎が吹き出した。

「貴様達!よくも私の顔に泥を塗ってくれたな!!」

 穂波のまわりに火の粉が、舞いはじめた。

「穂波さん、こいつらには、襲われる怖さを体感してもらいましょう?」

「そんなこと、可能なのか」

「可能だよ。ここいらには、他の生物に産卵する生物がいるんだ」

「でも、あれは犯罪者にしか、使えないだろう」

「静君、その薬くれるかな」

「…どうぞ」

 静は、素直に薬を渡した。

 受け取った葵は、どこかに連絡して、青年達のまわりを結界で囲む。

「穂波、君は店に行っててくれるかな。今ごろ、六花君達が、お茶会を開いているからさ」

「わかった。こいつらを、必ず後悔させてくれよ」

葵が、悪い顔で笑う。

「それは、もちろんだよ」


 男達は、恐怖で震えた。

 


 

 

 

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