一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版

たまご

第一章 異世界探索。

第1話 なんて事してくれたんだ!!

「相田つかささん。あなたは不慮の事故により……」


 あ、これって異世界転生か。


 死にたての私に話しかけてきているのは、ゆったりとした白いドレスを着た若い女性だった。

 多分、女神様なのだろう。

 どこがどうとは言えないが、人間ではない気配がした。

 ふんわりとウェーブのかかった金色の髪が揺れているのをぼんやりと眺めながら、どこか冷めた気持ちで彼女の話を聞いていた。 

 

 こちとらアラサーだ。

 異世界の冒険より、元の世界で死んだ後の事が気になる。

 明日、資源ゴミの日だったんだよな。隔週だから、捨てそびると……。


 そこまで考えて、一番重要な事を思い出した。


「猫!!」


「は?」


 説明の途中で突然叫んだ私に、女神様が不思議そうな表情になった。


「うちの猫達、どうなった!?」


 両親の残してくれた古い一軒家で、私は8匹の猫達と暮らしていたのだ。


「私が死んだら、猫達はどうなるのよ!?」


「ああ、それなら……」


 にっこりと笑う女神様に、何だか嫌な予感がする。


「ご一緒に来てもらいました」


 そのどや顔は、どういう事だ!?


「……どういう事?」


 なるべく冷静になろうと努めて、女神様に話しかける。


「つかささんが亡くなる瞬間、強く思ったのが猫さん達の事だったので、一緒にきてもらいました」


 うん、確かにそうだった。

 あ、これ死んだな、と思ったその瞬間、頭に浮かんだのは「猫達のご飯、明日からどうしたらいいのかな」だった。

 ネコバカだなぁ、私。いや、ただのバカ?


「もちろん、本人さん達にも許可をもらいましたよ。一緒に行きますか? って」


 本人? 本猫? と首をひねっている女神様を見ながら、私はちょっと感動していた。


 うちの子達、一緒に来てくれるって言ったんだ。

 ……ん?


「で、猫達は?」


 その瞬間、女神様の目が分かりやすく泳いだ。


「それが、その……」


 おい、何やらかしやがった、アホ女神。


「つかささんの手続きが終わるまで待っててって言ったんですけど、みんな好き勝手に……」


 猫に「待て」が出来るわけないだろ!


「外に出てしまって……」


「はあ!?」


 うちは完全室内飼いなのに、なんて事を!!


「止めたんですけど……」


 女神様は半泣き状態だ。


 だから、猫に待てはムリだって!!

 って、ちょっと待て、ここって異世界だよな。


「この世界って、魔物とか……」


「普通にドラゴンとかいます」


 なんて事してくれたんだ!

 うちの猫達に何かあったら、例え神様相手にだって容赦しないからな?


 睨み付ける私に気付き、女神様は慌てた様子で言葉を続けた。


「だ、大丈夫です。転生するにあたって、猫さん達にも能力を授けましたから」


「そうなの……?」


 能力ってチートとかいうアレだよな。

 なら、ちょっとは安心かな。

 いや、ドラゴンがいる世界なんだから、やっぱり心配に決まっている。


「ドラゴンなんかに負けません!!」


 ……は?


「猫さんに能力を授けるのは初めてだったので、気合い入れました!!」


 何言ってんの、女神様。


「お一人でも、国一つくらい滅ぼせます!」


 お一人? お一匹? と女神様は、またもや首をかしげている。


 なんて事してくれたんだ!!(2回目)










 

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