読書メモ『右園死児報告』

 『近畿地方のある場所について』で書籍におけるモキュメンタリーって面白……と思って次に読んだのって何だったかなあと読書メモを見返してみたら『右園死児報告』でした。


 この作品は本当にたまたま書店で出会った作品で、友人と待ち合わせしている際に近くに三省堂書店があったので覗いたんです。そしたら、昨今のホラージャンルブームに関するコーナーが出来ておりまして、『近畿地方のある場所について』が並んでいたので同じように面白い本があるのではと色々手に取っていたのです。

 その中で、これぞ「資料提示型モキュメンタリー」ではないか!と思って即購入したのがこの本でした。この作品もカクヨム発だったんですねえ。例の如く後から知りました。


 自分がモキュメンタリーを書くようになって気付いたのですが、カクヨムってモキュメンタリー書きやすいですよね。Web媒体の中でもかなり「Webです!」って感じのビューワーなのもあって短い話の乱立がしやすいというか。1話1話をしっかりと途切れさせられるというか。

 モキュメンタリーは色々と発売されていますが、資料提示をしっかりと形作っているモキュメンタリーの殆どがKADOKAWAから発売されているカクヨム書籍化作品なんですよね。


 と、モキュメンタリーへの愛を語ったところで『右園死児報告』の感想です。

 例に漏れず、ネタバレ注意です。



 前半は「名前」そのものが「アノマリー」の異常存在、というか異常概念の様々な事案の報告書から始まります。どうやらこのアノマリーは遥か昔からあるようで、戦前から日本が秘密裏に対策を取っていたことが段々と分かってきます。某財団とか好きな人は絶対好きな感じです。

 しかし、後半は本当に怒涛の展開なんですよ。インターネットで感想を見ると「後半呪術回線」とか「異能モノ」とか言われていますが、本当に”戦闘モノ”というかアノマリーを使った”戦闘作戦の遂行”がメインになります。

 それがまた、面白いんですよね。あくまでも資料という形を崩さずに「戦況報告」として戦場の様子が描写されていくんです。二作目に読んだモキュメンタリーがこれって私はだいぶ拗れてしまったのではと思うレベルに独特な構成です。


 こちらも続編である『右園死児報告 久』も読了済みですが読書メモはまたの機会に。


 著者様のXアカウントでは右園死児に関する現代日本人の反応が掲示板形式で投稿されていたりと、カクヨムや書籍以外にも考察の種が散りばめられていますので是非見てみてはいかがでしょうか。


 関係ない話なんですけど、プレイヤーネームに漢字が使えるゲームで絶対この名前にしてる人いるだろ、と思っているんですがいまだに出会ったことはありません。

 何だか「ツナカユリコ」みたいですね(オカルトマニアなら伝わるよね?)

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