第7話 これは単なる偶然の重なりかそれとも必然か
GW後半の四連休の初日、可愛い妹陽菜が
「お兄ちゃん、今日何かする予定有る?」
「特に無い。部屋で本でも読んでいようと思っていた」
「そう、ねえ、お兄ちゃん」
妹が少し上目遣いに手を後ろに回している時は大体が頼み事だ。でも我が妹ながら滅茶苦茶可愛い。
「何をして欲しいんだ?」
「流石、私のお兄ちゃん。陽菜ね、今日渋谷に行ってヘアクリップ買いたいんだけど、友達は用事が有って行けないって言うの。だからね…」
「分かった。付いて行けばいいんだろう」
「うん」
嬉しそうな顔をする妹に自分自身がチョロいと思いつつ、付き合う事にした。我が家の最寄り駅から電車で一本。簡単に行ける。ホームから地上までエスカレータばかり乗るけど。
陽菜が行きたい所は、宮下パークにあるショップらしい。地下からここに出るのは中々ややこしいが、慣れてしまえば問題ない。
陽菜は三階にあるショップに行くと
「お兄ちゃんこれどうかな?」
とか言って、ヘアクリップを髪の毛に当てながら聞いて来る。俺なんかに分かる訳ないけど冷たい言葉は掛けられない。
「陽菜なら何でも似合うと思うよ」
「それじゃあ駄目なの。お兄ちゃんが良いって奴を選んで」
なんという難しい問題を俺に言ってくれるんだ、可愛いい妹よ。でもここでお兄ちゃんがお兄ちゃんである真価を発揮しないと。
真面目に見て回ってヘアクリップにエナメルの花柄が付いた物を選んで見た。陽菜が自分の髪に付けてみるととても似合っている。
「流石、私のお兄ちゃん。これに決める。後シュシュ買うから待っていて」
「うん」
陽菜が喜んでくれて良かった。その時、視線を感じた。その方向に向くと、えっ?!学校一の美少女と言われている綾瀬琴音さんがこっちを見ていた。
友達と来ているみたいだ。チョコンと頭を下げると彼女も下げた。なんというラッキーな。
そこに陽菜が帰って来てシュシュを持っている。クリーム色のリボンみたいな形をしている。
「お兄ちゃん、これどうかな?」
「おう、とっても似合っているぞ」
「ふふっ、じゃあ決まり」
陽菜が、俺が選んだヘアクリップと自分が選んだシュシュを持って会計に行った。
§綾瀬琴音
また広瀬君と会った。背の高い可愛い妹さんと一緒の様だ。彼がヘアクリップを妹さんに選んであげるなんて。また彼の印象が塗り替えられた。
妹さんは可愛いシュシュを手に持つとさっきのヘアクリップと一緒に会計に行った。この前の映画の時も妹さんと一緒。
あの時も妹さんからねだられて来ているのが分かった。そして今日も妹さんと一緒。妹思いの広瀬君か。学校で見る彼のイメージがどんどん塗り替えられている。
私は友達のお付き合いで来ているだけだ。でも不思議だな。GWだけで三回も彼と会うなんて。
妹の陽菜のご機嫌がいい。その後は二人でトドールに入って陽菜はオレンジジュース、俺はアイスコーヒーを飲んで家に帰った。財布が寂しいと言っている。お母さんに補給を頼むしかない。
俺は翌日部屋で静かに本を読んだ後、三日目は映画を見に行く事にした。この前は陽菜と一緒にロナンを見たが今回は俺が見たい映画だ。
一昨日渋谷に出た事も有って、今度は二子玉の映画館に行く事にした。ガヤガヤ艦隊南極大海戦だ。
公開されてから少し経っているのでチケットのWEB予約も席が空いている。午後一時半の上映時間だから、今からだとまだ早い。〇ックでお昼を食べた後、本屋で時間を調整すればいい。
二子玉は隣駅。電車に乗って直ぐに着いた。改札を出て右にある〇ックに入る。今日もイベントをやっているが、今日は映画を見た後は寄る事も無いだろう。
ハンバーガーとナゲットそれにポテトとコーラのセットを頼んで二階に上がると、えっ?!なんと綾瀬さんが男の子と言ってもこの前見た子と一緒だ。
邪魔しては悪いと思って席を探したのだけど、彼女の隣しか空いてなかった。知らない振りして食べればいいか。
静かに座ると彼女がこっちを見た。
「広瀬君」
「綾瀬さん、済みません。ここしか空いてなかったから。食べたらすぐに退きますから」
「えっ?」
「デート中ですよね?」
「えっ?」
何故か男の子の方を見るとその子が
「お姉ちゃん、この人ってこの前ダンク決めた人だよね。知り合いなの?」
弟さん?確かに若い感じはしていたけど飛んだ勘違いだった。
「康太、広瀬君は学校の同じクラスの人」
「へーっ、そうなんだ。この前凄かったですよね。バスケしてるんですか?」
押しまくって来る弟君に
「いや、俺はバスケしていないんだ」
「えっ、でもあんな事出来たじゃないですか?」
「康太、広瀬君は食べに来ているのよ。邪魔しない」
「えーっ!」
綾瀬さんの一言で何とか食べ始める事が出来たのだが、緊張していつもの様に食べれない。
何とか食べ終わってさっさと席を立とうとすると
「お兄さん、もう帰るの。何か用事が有るの?」
突っ込んで来る弟君に
「いや、映画が始まる迄、本屋で時間潰そうと思って」
「えっ、俺達と同じじゃないか。お姉ちゃん俺達も本屋行こう」
「う、うん」
§綾瀬琴音
何と言う事かしら。この前宮下パークで会った。そして今日もGWで四回も会うなんて。一回、二回ならまだしも四回も会うなんてこれは偶然にしては出来過ぎ。でもどうして…?
俺と綾瀬姉弟と一緒に本屋に行った。なんと綾瀬さんはラノベを読むという事で俺も好きだと言ったら、驚いていた。なんで?
上映時間が近付いたので三人で映画館に入ったのだけど、見る映画が同じだった。弟君の趣味に付き合ったらしい。
流石に座る所は離れていてゆっくりと見れたのだけど、上映が終わった後帰ろうとすると通路で弟君に呼び止められた。
「広瀬さん。ちょっと待って」
「えっ?」
「お姉ちゃんがトイレに入っているんだ。出て来たら三人で話そうよ?」
「でも綾瀬さん、この後用事が有るんじゃないのか?」
「ないない。彼氏もいないし、連休はいつも俺と一緒。虫よけもあるけれどね」
そこに綾瀬さんが戻って来て
「康太。何、人のプライベートな事ばらしているのよ」
「いいじゃないか。事実なんだから。それよりお姉ちゃん、いつもの喫茶店に行こうよ。あそこの紅茶美味いから。広瀬さんも良いよね」
なんとあの学校一の美少女と呼ばれる綾瀬琴音さんと一緒に紅茶を飲むとは。
弟君が言っていた喫茶店は、本館にある超有名な紅茶専門店。どうも弟君は中々の通のようだ。
入ると俺の知らない紅茶の名前を注文している。俺が迷っていると
「広瀬さん、オレンジペコなんかどうですか?」
「俺分からないから弟君に任せるよ」
「康太って呼んでいいですよ」
俺の前の前に綾瀬さんが座って居る。この状況をどう説明すればいいのか。弟君と話すのは抵抗が無いが前にいる美少女に話しかけるなんて無理。
黙っていたら
「広瀬君って、学校と全然イメージが違うね」
何を言いたいんだろう?
「そうですか。何も変わらないと思うけど」
「そんなことないよ。教室では誰とも話さないし。本宮君とだけでしょ話すの」
「あいつは中学時代からの親友ですから」
康太君がそこに爆弾発言
「お姉ちゃん、広瀬さんと友達になりなよ。そうすれば俺の役目も終わるしさ」
「役目?」
「うん、虫よけ」
そういう事?
「康太、無理言わないの」
「えっ、いいじゃないか。広瀬さんはかっこいいし、妹思いで運動神経抜群。背も高いし、将来彼女にして貰ったら」
いきなり紅茶を吹き出しそうになった。そして弟君が
「まあ、最初は友達からで」
何故か綾瀬さんが顔を真っ赤にして下を向いてしまった。なんで?
§綾瀬琴音
康太が飛んでも無い事を言った。彼氏なんて過去一度も出来た事がない。好きな人はいたけど、その人は彼女がいたから。
確かに広瀬君は康太の言う通りの人だけどまさか、彼女発言までするとは思わなかった。
「広瀬君、ごめんなさい。弟が馬鹿な事を言い出して」
俺はなんと答えればいいんだ。
そこに弟君が
「広瀬さん、お姉ちゃんの友達になってあげて」
ここは断る勇気がない。
「綾瀬さんさえ良ければ。でも俺なんかで良いの?」
「お姉ちゃん、なんか答えなよ。顔真っ赤にしていないでさ」
「誰の所為だと思っているの。あっ広瀬君。宜しくお願いします」
「は、はい」
という訳で何故か学校一の美少女綾瀬さんのお友達になってしまった。これからどうすればいいんだ?
―――――
書き始めは皆様の☆☆☆が投稿意欲のエネルギーになります。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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