『お前のバフはゴミ同然だ』と追放された『最適化』スキル、実は最強でした。~価値を見抜いた聖女様に拾われ、なぜか溺愛されています~
楽園
第1話 役立たずのサポーター
じめつく空気が肺を満たす。
『腐臭の洞窟』。Cランクパーティである俺たち『赤き流星』が、Bランク昇格を賭けて挑んでいるダンジョンだ。
「チッ、しぶといな!」
リーダーのカイ・グランデルが、舌打ちと共に大剣を振るう。
対するは、この階層の
重厚な
「カイ、下手に突っ込まないで! 詠唱の時間が稼げない!」
「マルコ! カイの
後方から魔術師のリナ・フロストと、僧侶のマルコ・ベイルが叫ぶ。
カイはパーティの
それが『赤き流星』の基本戦術だ。
そして俺、アレン・ウォーカーは――そのさらに後方で、
俺の職業は『
主な仕事は、荷物持ち、素材の鑑定、そしてごく初歩のバフ魔法だ。
「アレン! ボケっと突っ立ってないで、鑑定はどうした! 弱点はまだか!」
カイの苛立った声が飛んでくる。
「今やってます!」
俺は慌てて魔物に集中し、スキル《鑑定》を発動する。
>>
オーク・ジェネラル
状態:興奮
弱点:左脇腹の鎧の隙間。古い傷があり、装甲が薄い。
>>
「カイさん! 左脇腹、鎧の繋ぎ目です! そこが弱点です!」
「そんなこと見りゃ分かるんだよ! ライト・ストレングス さっさと寄越せ!」
了解、と心の中で呟き、俺は一番得意な(しかし、一番地味な)支援魔法をカイに向かって放つ。
「
淡い、ほとんど目に見えない光がカイを包む。
これぞ俺がパーティにいる最大の理由。
……の、はずなのだが。
「チッ、こんなゴミみたいな
カイはそう吐き捨てると、再びオーク・ジェネラルに斬りかかった。
(違うんだ、カイさん……)
俺は心の中だけで反論する。
俺は転生者だ。前世はシステムエンジニアとして、「効率化」と「最適化」の鬼だった。
その知識があるから分かる。
俺の支援は、単なる「微増」じゃない。
パーティ全体の動き、スキル同士の連携、魔力の流れ……その全てを無意識に『
リナの詠唱がコンマ数秒短縮され、マルコの
だから、格上のオーク・ジェネラルとも、こうして戦えている。
だが――その事実は、地味すぎて誰にも理解されない。
「オオオォァァァ!!」
オーク・ジェネラルが雄叫びを上げ、巨大な
「カイ、危ない!」
「させるかよ! これが俺の全力だ! 《レイジ・スラッシュ》!!」
俺の『最適化』バフを受けたカイの大剣が、紅い軌跡を描く。
それはまるで吸い込まれるように、先ほど俺が指摘したオークの左脇腹――鎧の隙間へと突き刺さった。
「ギ……ゴアァァ……」
巨体が地響きを立てて倒れ伏す。
静寂。
そして――。
「フン。大したことなかったな」
カイは剣についた血脂を乱暴に振り払い、
「きゃー! さすがカイ! 今の《一閃》、キレッキレだったわ!」
「すごいよカイくん。まさかオーク・ジェネラルを一撃で仕留めるなんて」
リナとマルコが駆け寄り、カイを称賛し、Sランクへの道には絶対に俺が必要だとカイは胸を張り自分の力を鼓舞する。
「ああ。俺の剣技が、また一段と冴えてきた証拠だ」
(……いや、今の、俺のバフと鑑定があったからなのに)
その言葉は、喉まで出かかって、消えた。
言ったところで、「お前のおかげじゃない」「勘違いするな」と一蹴されるだけだ。
「おい、アレン!」
「は、はい!」
「いつまで突っ立ってる! さっさと素材を剥ぎ取って《鑑定》しろ! 荷物持ちがサボるな!」
このパーティにいればSランクへの道へと進めるのだと自分に言い聞かせ「すぐにやります!」と俺は慌てて
ドロップアイテムの
それが、このパーティにおける俺の「本当の」役割。
Bランク昇格が見えてきたことで、カイの態度は日に日に傲慢になり、俺への当たりは強くなっていた。
(いつまで、これが続くんだろう……)
転生して手に入れたチート能力(の、はず)が、誰にも認められない。
前世と同じだ。縁の下の力持ちは、正当に評価されない。
そんな一抹の不安と
突然、はじまりました異世界転生ものです。本日は、昼に一話と夕方に一話入れさせてもらいます。よろしくお願いします。
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