第3話 休職の中で見つけた“生きる意味”——人の心を救うエッセイストへ
休職した最初の数日は、正直怖かった。
朝起きても行く場所がない。
「周りは働いてるのに、自分は何をしてるんだろう」
そんな罪悪感と空白の時間に押しつぶされそうだった。
けれど、ある朝ふと気づいた。
「今日は少し、太陽の光がきれいだな」
その瞬間、心が少しだけ動いた。
あの日Sさんに言われた言葉が浮かんだ。
「歩けていること、それだけで幸せですよ。」
その言葉を思い出すたび、胸の中の重りが少しずつ軽くなっていった。
少しずつ、何かを書きたいという気持ちが戻ってきた。
SNSに、自分の感じたことを投稿した。
「他人の目を気にして生きると、心はすり減っていく。自分の心に正直に生きると、世界はやさしく見えてくる。」
そんな小さな言葉に、見知らぬ誰かが「いいね」をくれた。
たったそれだけのことで、涙が出そうになった。
あぁ、自分の言葉でも、誰かの心を少しは動かせるんだ。
そこから私は、毎日少しずつ文章を書くようになった。
書くことで、自分の心が整理されていく感覚があった。
落ち込む日もある。
それでも、画面の向こうで誰かが共感してくれる。
それだけで、生きる理由が少しずつ見えてきた。
気づけば、私の中で“生きる理由”が変わっていた。
以前は、「何のために生きているのか分からない」と思っていた。
でも今は、「誰かの心を救いたい」と思えるようになった。
Y先輩の電話があの日私を救ってくれたように、
Sさんに教えてもらったひすいこたろうさんの言葉が私の心を照らしてくれたように、今度は私が、誰かの希望になりたい。
鬱病を二度経験した私だからこそ、伝えたいことがある。
「立ち止まってもいい。逃げてもいい。
それでもあなたは、生きているだけで価値がある。」
あの頃、会社に行くことも、生きることもつらかった自分が、
今はこうして“生きる意味”を語っている。
ほとんど嘘みたいだけど、本当に起きた私の物語だ。
もしこのエッセイを読んでいる誰かが、
「もう少し生きてみようかな」と思ってくれたなら、
それだけで、私の生きてきた意味になる。
——生きることを、もう一度信じられるようになるまでの、ほとんど嘘みたいで本当の話。
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