第31話 挑戦状
CM出演から二週間後。
拓真は、雷牙からのDMを見ていた。
『燈、俺たちと勝負しないか? ガチンコ配信対決』
「勝負……?」
拓真は首を傾げた。
『どういうこと?』
返信を送ると、すぐに返信が来た。
『同じ時間に配信して、同時接続数で勝負。負けた方が、勝った方の言うこと一つ聞く』
「……面白そうだな」
拓真は笑った。
凛の部屋に向かう。
「凛、これ見て」
拓真はスマホを見せた。
「……雷牙らしいね」
凛は笑った。
「やる?」
「やろう」
拓真は即答した。
「負けられないけどな」
「当たり前でしょ」
凛も笑った。
***
一週間後。
ガチンコ配信対決の日。
Twitterでも話題になっていた。
『燈遊里vs雷牙刃』
『どっちが勝つ?』
『楽しみすぎる』
視聴者たちも、盛り上がっている。
午後八時。
両チーム、同時に配信開始。
「はーい! みんなこんばんは! 日里燈だよー!」
「東遊里です」
『きたああああ』
『勝負頑張れ!』
同時接続数は、開始一分で三十万人。
一方、雷牙と刃の配信も。
「おっす! 赤羽雷牙だ!」
「黒崎刃だ」
『きたああああ』
『頑張れ!』
こちらも、三十万人。
拮抗している。
「今日は、雷牙と刃との勝負だ!」
燈が宣言する。
「同時接続数で競います!」
「負けた方が、勝った方の言うこと一つ聞く!」
遊里が説明した。
『燃える!』
『絶対勝って!』
「ありがとう! じゃあ、今日はいつも以上に楽しくやっていこう!」
ゲームが始まる。
今日はAPEX。
視聴者参加型だ。
「よし、どこに降りる?」
燈が聞く。
「安全エリア」
遊里が即答する。
「え、なんで?」
「今日は勝負なんだから、確実に行く」
「でも、激戦区の方が盛り上がるだろ」
「盛り上がって死んだら意味ないでしょ」
「でも……」
「安全エリア」
遊里が強く言う。
「……わかったよ」
燈は渋々承諾した。
『遊里が珍しく慎重www』
『勝負だからね』
降下。
安全エリア。
「よし、物資集めるぞ」
燈と遊里は、視聴者と一緒に物資を集めた。
装備を整える。
「よし、戦いに行くぞ」
「待って、燈。まだ安全エリア確認してない」
「あ、そうだった」
『燈適当すぎるwww』
安全エリアを確認して、移動を始める。
その途中で、敵チームと遭遇した。
「敵だ!」
戦闘が始まる。
燈と遊里、そして視聴者たちで連携して戦う。
「よし、倒した!」
「次!」
次々と敵を倒していく。
そして、最後の一チーム。
「よし、これで決まりだ!」
一斉射撃。
敵チーム、全滅。
『CHAMPION』
「勝った!!」
燈と遊里は喜んだ。
『おめでとう!!』
『強い!!』
同時接続数は、四十五万人に達していた。
一方、雷牙と刃の配信も盛り上がっている。
でも、同時接続数は四十万人。
僅差で、燈と遊里がリードしていた。
***
三時間後。
配信終了。
最終的な同時接続数。
燈と遊里:五十万人
雷牙と刃:四十八万人
「勝った……」
拓真は呟いた。
「やったね」
凛も笑った。
そのとき。
雷牙からDMが来た。
『燈、負けた。お前らの勝ちだ』
「……」
拓真は返信を打った。
『いい勝負だった。ありがとう』
すぐに返信が来た。
『こちらこそ。で、何を言うこと聞かせるんだ?』
「……」
拓真は考え込んだ。
「なあ、凛」
「なに?」
「何をお願いしようか」
「うーん……」
凛も考え込んだ。
「何でもいいんだよね?」
「うん」
「じゃあ……」
凛が何か囁く。
「……それ、いいな」
拓真は笑った。
『次、一緒にコラボしような。四人で』
返信を送る。
すぐに返信が来た。
『……それでいいのか?』
『ああ。俺たち、お前らとのコラボが楽しいから』
しばらく間があって、返信が来た。
『……ありがとな。じゃあ、次は絶対負けねーからな』
『こっちこそ』
拓真は笑った。
***
翌日。
ガチンコ配信対決が、Twitterでトレンド入りしていた。
『燈遊里vs雷牙刃』
『燈遊里が勝った』
『でも雷牙刃も強かった』
『いいライバル関係』
コメント欄には、両チームを称賛する言葉が溢れていた。
そして、その日。
雷牙と刃が、Twitterで発表した。
『次回、燈と遊里と四人コラボやります! 楽しみにしててくれ!』
『楽しみ!!』
『夢のコラボ!』
『絶対見る!』
視聴者たちは、大喜びだった。
***
一週間後。
四人コラボ配信。
「はーい! みんなこんばんは! 日里燈だよー!」
「東遊里です」
「赤羽雷牙だ!」
「黒崎刃だ」
『きたああああ』
『四人コラボ!!』
同時接続数は、開始三分で五十万人を突破していた。
「今日は、四人で楽しくゲームしていきます!」
燈が宣言する。
「この前は勝負だったけど、今日は仲良くな」
雷牙が笑った。
「おう」
ゲームが始まる。
今日はマリオカート。
四人でレースをする。
「よし、今日は絶対勝つ!」
燈が意気込む。
「俺も!」
雷牙も意気込む。
「お前ら、いつも負けてるけどね」
遊里が冷たく言う。
「同意」
刃も同意する。
「お前ら!!」
燈と雷牙が同時に抗議する。
『www』
『ツッコミ役も息ぴったりwww』
レースが始まる。
最初のカーブ。
燈と雷牙、同時にコースアウト。
「ぎゃああああああ!!!」
二人の悲鳴が重なる。
「ほら」
「やっぱり」
遊里と刃が冷たく言う。
『www』
『予想通りwww』
『バカ二人www』
配信は、そのまま続いた。
燈と雷牙が暴走して、遊里と刃がツッコむ。
その掛け合いが、視聴者を大いに楽しませた。
***
四時間後。
配信終了。
「お疲れ様!」
四人は、お互いに挨拶した。
「楽しかったな」
燈が笑う。
「ああ、また機会があったらやろうぜ」
雷牙も笑った。
「その時は、また勝負しような」
「おう!」
四人は、笑い合った。
***
その夜。
拓真と凛は、リビングでお茶を飲んでいた。
「なあ、凛」
「なに?」
「雷牙と刃、いい奴らだな」
拓真は笑った。
「うん」
凛も笑った。
「ライバルだけど、仲間でもあるね」
「ああ」
拓真は頷いた。
「こういう関係、いいな」
「うん」
凛も頷いた。
「これからも、切磋琢磨していこう」
「おう」
二人は拳を合わせた。
***
翌日。
四人コラボ配信のアーカイブが、再生数五百万回を突破していた。
Twitterでも話題になっている。
『四人の掛け合い最高』
『また見たい』
『いいライバル関係』
コメント欄には、温かい言葉が溢れていた。
拓真と凛は、スマホを見ながら笑っていた。
「よかったな」
「うん」
「また、やりたいな」
「うん」
二人は笑い合った。
***
その日の夜。午後八時。
いつもの二人配信。
「はーい! みんなこんばんは! 日里燈だよー!」
「東遊里です」
『きたああああ』
『今日も楽しみ!』
『昨日のコラボよかったよ』
「ありがとう! 雷牙と刃とのコラボ、楽しかったでしょ?」
燈が嬉しそうに答える。
「これから、また機会があったらやりたいね」
「いいライバルがいるって、楽しい」
遊里が笑った。
『そうだね』
『切磋琢磨してる』
「ありがとう! じゃあ、今日も配信頑張るぞ!」
「今日は何する?」
「視聴者参加型のゲーム大会!」
「また燈が勝手に決めた」
「勝手じゃねーよ!!」
『もう喧嘩www』
『安定してる』
配信は、いつも通りのペースで進んでいく。
喧嘩して、笑って、また喧嘩して。
でも、視聴者たちはそれを楽しんでいた。
世界一うるさい青春は、まだまだ続いていく。
いいライバルと切磋琢磨しながら。
いい仲間と笑い合いながら。
拓真と凛は、これからも走り続ける。
喧嘩しながら。
でも、お互いを信じて。
そして、仲間と共に。
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