第2話血。受け継がれるべくして受け継いだ
目玉が悲鳴をあげている。裂き裂かれるかの如く嗚咽混じりに快感の声と絶叫共に細胞壁に存在するDNAを引きちぎりたくなるほどの衝動。
傑作
これが似合うのは私だけであれ。
これが許されるのは私だけであれ。
これが凡作であるのは私だけであれ。
これ以上私の高貴なる血を
汚すな 汚すな
汚すな汚すな 死ね!
汚すな 汚すな 汚すな 汚すな
汚すな 死ね! 汚すな 死ね!
汚すな 死ね! 汚すな 汚すな
死ね!
「私は王女!世界で一番美しく、高貴で!気高く!可憐で高嶺で芸術そのもの!この私こそが、世界の女王!間違ってなどいない!この私を不正解と侮辱する愚か者には
粛清を! 死を! 罰を! 鉄槌を!
愚かなりぃぃ!」
叫び荒れ狂うこの醜い怪物は今なお自身が人間の中で一番だと主張し続けている。彼女には何も特別な血など流れてはいないどころか、血すら枯れ果てた体であるはずなのに未だ生きながらえてるその姿こそ価値があるといえよう。
変わりたいのではない。
本来あるべきところに戻せと望んでいるだけだ。
だがその望みは嘘で偽られた虚実、虚言、迷走を塗り替えながら正走すらことを望んで望んで砕けそうな体を支えながらあゆみを止めるどころか走り出す。
中枢機関破裂寸前網膜損傷内部破壊自己破壊中継続中歳月年月幾億年達成成功者誕生自己回復開始心臓部稼働開始標的指定照準安定精度確実血脈感知王族眷属対象搾取血性摘出準備開始後
( 血を )
飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ飲み尽くせ
やっとだ。
長い空白の歴史に終止符が打たれた。若かりし頃、それはもう美しすぎた。だがあの時あの地獄の日が始まってから体は老けて枯れていた。枯れ果てていた。
それもおさらばだ
感動しか言葉で表せない。それほどまでに洗練された肉体美、艶のある肌。軋むことのない膝肘。嬉しい限りであろうそうであろう。
今思えばあの頃、あの若い頃すら簡単に凌駕するほどの美しさ、愛おしさ、可愛らしさを兼ね備えた。
「……あ……あぁ。」感嘆の声を漏らしたそれすらも美しすぎる。涙が止まらない。こんなに嬉しいものなのだと喜びを隠し切れなかった。
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