悪役王子は人生ツラたんっ!
@uruki
第1話
未来の自分のお嫁さんに今日会うんだ!と昨日父上から聞いた時からソワソワしつつ楽しみにしていたのに。
初邂逅時、うわぁっ!こんな可愛い子が僕のお嫁さんになるんだ!!って内心大喜びだったのに。
…そんな僕の目の前で。
僕の弟と、僕の婚約者の筈の令嬢がお互いに一目惚れした。
———…ありえねーだろ?
余りに余りな衝撃で、思わず前世を思い出しちまったじゃねーか。けっ!
だって俺ってば未だ6歳児だぜ?
しかも相手は自分の婚約者の筈なのに、初恋した瞬間失恋とかマジ耐えれんねーって。
え、今世の俺本気で可哀想過ぎるだろ。
周りで見てる大人もさぁー、何か言えよなぁ。
ちびっ子な俺でも気づいたんだから大人なお前らがこの異様な雰囲気に気づいて居ないわけがねーだろって思ったのに。
なーにが、
「交流を深めればいずれ…」
「レバンヌ嬢を大切にしなさい」
だよ。
いや、俺こんな婚約者嫌なんだけど。
あっちも嫌だろうし弟とくっつけてやれよ、としか。
でも何か大人の事情だか何だか知らんけど結局婚約者が変えられる事は無かった。
いや、俺転生者で中身大人だけれども。
こんなの、歩み寄れんよ。としか。
精神の上澄みは俺なんだけど。
深層部分の幼い今世の俺がすんごい悲しんでるので俺はお前ら全員を敵と見做す。
まずは情報分析からって思ったけど…これってあれじゃん。
俺ってば乙女ゲーの馬鹿王子転生かましてんじゃん。
…ほら、良くあるアレ。
お前とは婚約を破棄する!って宣言するやつな。
まあこんなツラたんな過去があったんならそりゃあこの婚約嫌がるわ。
婚約者を悪役令嬢に仕立てたけど結局冤罪バレてざまぁされ返されての王子様廃嫡エンドなぷぎゃら未来を迎える王子様って、考え無し馬鹿だなーって思ってたけど。
こんな事でもしなきゃ別れられないんならやるしかないな。真顔。
…だってこいつら、事あるごとに密会して慰め合うんだぜ?
こんな捻くれ位可愛いもんだろ。
悲恋で秘恋な逢瀬を今後も見せつけられる俺ぇ、マジ可哀想過ぎる件。
でもでも王命だから好きじゃなくても健気に頑張る!じゃないんだよなぁ〜〜。
いくら俺の弟とは言え他の男と会ってる時点でアウトだろ。
しかも好きあってる同士だからな。
こっちからしたらマジうぜぇーの一択過ぎる。
何一人で悲劇のヒロインごっこしてんだって話な訳。
…俺の方が悲劇だっつの。
親もそんな状態で放置しといて最後はこっちをあっさり切り捨てるんだから弟…ラトラスの婚約者におさめといてやれよ、と思う。
———まあこっちは?思い出しちゃったんで。
深層部でギャン泣きして大暴れ中の幼い俺を慰めてきますかね。
大丈夫大丈夫。
俺ってば普通の一般ピーポーではあったけど。
VRMMOの廃人ゲーマーだったからさぁ。
乙女ゲーの世界観は魔法ありきのファンタジーものだったと記憶しているし。
正直もう一回幼い頃から人生やり直すのは微妙だから主軸はクラスト(今世の俺)に任すけど。
あいつら関係と、断罪後の生活は俺に任せてくれて良いぜ?
俺は前世の残り滓だし。
でもお前が理不尽に不幸になるのは許せねーからちゃんと助けるぜ。
よろしくな、相棒?
※ ※ ※
———この後、王になる方向で協力してよ!なクラストと、前世平民な俺が王とかマジ無理。ってか、王になっても良い事1つも無いだろ。このまま断罪廃嫡されてからの冒険者生活していこうぜ!な前世人格との間で大揉めするよ。HAHAHA⭐︎
…でも、大人の利で丸め込んで勝利。大人気なく。
……折角のファンタジー世界、旅して楽しみまくりたいじゃん?
前世の俺、ゲーム時代ワールド1位の猛者。
身体づくりや戦闘パートはマジ任せろ、と思っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます