第15話 暴かれた影
夜の校舎は冷たく、沈黙が辺りを支配していた。
崩れ落ちた書類と封印テープの音声が、まだ部屋に余韻を残す。
凌、真帆、瑠奈は、犯人の告白を聞きながら、静かに資料を整理していた。
「……でも、これだけじゃまだ全部は見えてこない」
凌は言い、監視カメラの映像や出席簿、封印テープを何度も照合する。
犯人が動いた足取り、被害者の行動、計画の隙間――その影に、さらに誰かの存在を感じた。
「……やっぱり、他にも関わっている人がいる」
真帆が指摘する。
資料の中で、行動時間や計画書の承認記録に微妙な不一致があったのだ。
犯人一人では説明がつかない部分が、確実に存在していた。
瑠奈は恐怖に震えながらも、勇気を振り絞って口を開く。
「……彩音さんを……襲ったのは、あの人だけじゃない……?」
その声に、部屋の空気がさらに緊張する。
凌は深く息を吸い、冷静に分析を続けた。
「封印テープの録音をもう一度聞こう……声のトーン、微妙な間、背景の音……。
彩音さんが録音した音の中に、もう一人、存在が隠れているはずだ」
犯人は膝をつき、頭を抱えたまま沈黙する。
しかし、その目の奥に、さらに暗い影があることに凌は気づいた。
ただ一人ではなく、計画を支え、彩音を襲わせた“もう一人の黒幕”――それが生徒会内部に潜む、真の脅威だった。
「……見つけなきゃ」
凌の声は低く、決意に満ちていた。
真帆も頷き、瑠奈は震えながらも後押しする。
「……もう、逃げられない……でも、真実は明らかにする」
その瞬間、部屋の奥から微かな物音が響く。
誰かが、息を潜め、部屋の隅に潜んでいる。
影がゆっくり動き、光の下に姿を現した瞬間、三人の心臓は一斉に跳ねた。
そこに立っていたのは、生徒会会長――霧谷颯馬。表向きは穏やかで冷静だが、計画の全てを知る人物だった。
その冷たい瞳が、凌たちを射抜く。
「……よくここまで来たな」
声には、計画の維持者としての冷徹さと、何か計り知れない策略の匂いが混じっていた。
凌は拳を握りしめ、声を低くする。
「……あなたが、この学校の計画の裏で動いていた全ての黒幕だな」
颯馬は微かに笑みを浮かべ、しかし表情の奥には警戒と苛立ちが混じる。
「……まだ何も始まっていない。だが、ここから先は君たちも覚悟が必要だ」
夜の校舎に張り詰める緊張、そして明かされる生徒会内部の“真の影”。
凌たちは、封印テープと崩れた資料を胸に、次の戦いへと踏み出す覚悟を固めた。
夜風が廊下を吹き抜け、校舎全体を震わせる。
真実を暴くための戦いは、まだ始まったばかりだった――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます